中国地方Tour22#6
2022/5/4(水) 赤→新山口-1

赤→秋吉台
(以下#6-2) →秋吉台展望台
(以下#6-3) →新山口

37km  RideWithGPS

ニューサイ写真 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 明るくなり始めた夜明けの空は、雲一つ無くすかっと晴れていた。青い影の山の上に陽が昇り、辺りを真っ赤っかな光でかっと照らし始めると、夜明けの風景が絵のように真っ赤っかになった。こんな色になるんだな等と思うほどだ。
 荷積みの時間にはまだかなり早いものの、外に出てみたら今朝も寒い。今回、毎日出発時は寒いのでレインジャケットを着ている。持ってきて良かった。そして自販機でコーヒーを買うお金は持ってきたのに、カメラを忘れてしまっていた。写真を撮っていなかったのが今となっては悔やまれる。

 今日は最終日。まず大前提として、自転車行程を終えてから、輪行帰路の途中下車で広島にもう一度立寄り、お好み焼きを食べる。そして広島から東京まで、諸般の事情で溜まった新幹線エクスプレス予約のグリーン特典ポイントを投入し、普通指定席料金でのぞみグリーン車に乗る。
 過去の経験から、お好み焼き屋は広島駅で十分に美味しく食べられるというのが私の持論であり、それがこの計画の前提でもある。
 また、乗車距離に関係無いグリーン券特典を、例えば名古屋・東京間で使ってしまうと勿体無い。東海道新幹線に乗る機会が比較的少ない私が特典を有効に使うのに、広島・東京間の乗車は大変都合が良い。乗車直前まで予約を変更できるエクスプレス予約のメリットが活かせるという点から考えても、往路の品川・岡山でこの特典を使ってしまうことよりも帰路の広島・東京の方が圧倒的にトラベルチャンスだ。我ながらかなりキレイに填まった目論見なのだ。
 そういうミッションがあっても無くても、山口県が日本に誇る秋吉台には行っておかねばならない。3年前に行った五島列島同様、小学校の日本地図では西日本に「秋吉台」の文字がダントツに目立っていた。まさか57歳の初訪問になるとは思っていなくても、いつかは訪れることになるのかなーと思ってはいた。まるで他人事の様に。
 計画時、あまり何も考えずに秋吉台経由で描いたコースは、秋吉台の裾野を行ったり来たりしてやや念入り目に回ってから新山口へ60km、さらっと回って新下関へ90km。一方、新幹線は一番遅いパターンを想定して東京22時前着とし、広島17:50発の大型手荷物置場付席を押さえてある。でも旅程六日目の今現在、正直な気持ちとしては、できればもっと早い時間に帰ってゆっくりしたい。例えGW連休最終日の明日を、丸1日お休み日として確保していても。
 ということで広島15:50発とし、広島でのお好み焼きの時間を含めると、終着は新山口にしておく方が無難だと思われる。一方地形図で眺める限り、新下関又は新山口への道に特に目立って楽しそうな道は無い。このため、今日の自転車行程終着は、秋吉台を見終えた時刻で決まると思っていた。

 7:40、ほっとびれっじ美東発。昨日通ってきたサファリパークの分岐で秋吉台方面の県道242へ。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 そのまま県道242は山裾に取り付いてするすると山腹を登り始めた。

 森の中を70mぐらい登ったところで道端の森が切れて放り出されるように周囲が開け、落ち込む谷から見上げる稜線まで斜面の草原となった。空には雲一つ無いので、上下に広がる草原の緑と空の青の大空間に、自分が包まれている。唐突に秋吉台が目に前に現れたのだった。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路
 

 秋吉台のすぐ麓に宿を予約して、どこかでそうなりそうな道を意図して通っているので、これは順当な展開だ。しかし、現実の空間はいつも想定を上回る。今日は秋吉台で時間を取るべき、とすぐ思った。頑張って新下関へ行ったりせず、穏当に終着は新山口で間違いない。決めてしまえば、もう先を急ぐ必要は全く無い。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 脚を停め停め谷と丘を見渡しながら、県道242で高度を上げつつ丘を巻いてゆく。谷を挟んでこちらも向こうも、斜面一杯の草原は明るい緑で爽やかだ。草原に無数の小さな白い岩がぼこぼこ突き出しているのは異様ですらある。下に鋭く落ち込む谷間は怖ろしいほどだ。そして彼方の山々へ続く低山と里山風景、その上に拡がる真っ青な空。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成
 

 陽差しは鋭いものの朝の空気はきりっと冷えている。8時とはいえ、まだ視界に人影をほとんど見かけない。空の中、鷹みたいな猛禽っぽい鳥が悠然と舞っている。静かな、しかし陶酔するような開放感と上下に拡がる空間ボリュームに言葉も出ない。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

記 2022/6/25

#6-2へ進む    #5-6へ戻る    中国地方Tour22 indexへ    自転車ツーリングの記録へ    Topへ

Last Update 2022/8/31
ご意見などございましたら、E-Mailにてお寄せ下さい。
Copyright(c) 2002-22 Daisuke Takachi All rights reserved.