中国地方Tour22#6
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秋吉台の南側を麓へ下り始めると、こちら側には宿が集中していた。計画当初に目を付けていた国民宿舎、休館中のYH脇を通り過ぎ、その辺で少し難しい分岐で彷徨ったものの、その後は一目散に下ってしまう。
まだなくしてしまった地形図「山口」の範囲なので、多少スマホ地図を確認しつつ、GPSトラック頼りに進んでゆく。
県道32では才ヶ峠とその手前に丘陵アップダウンが続き、新山口まで一下りとか誰が言ったんだよと思った。
そして大田から移った県道28は周囲が農村の割に道幅が広い。
車はそれなりに多めだし、やや裁けた感じの路上は陽差しが厳しくて暑い。何かもう、早く新山口に着いてくれないかなあ、としか思えない。
妙に山深い二本木峠の一越えも、風景の割には車は決して少なくない。
やはり早く新山口に着いてしまいたい、退屈な気分が勝ってしまう。今回のハイライト秋吉台の直後では、仕方の無いことかも知れない。
唐突に谷間から小郡の市街外れに出た。新山口までは、裏道をGPSトラックで選んでいる。
GPS画面の地図はごく狭い範囲なのだが、もう停まって紙の地形図を確認する気は無い。目印の幹線道路や鉄道が近くても直接見えない、町や地形の文脈も全く関係無い、ごく普通の見知らぬ住宅地や妙に古びた建物。トラックから外れていないこと、いつ新山口に着いても不思議じゃなさそうなことだけを意識しながら、次々と過ぎてゆく風景の中をひたすら受動的にのんびりてれてれ流してゆく。秋吉台から新山口までで一番楽しい道だった。
裏道は意外に長い間続いていた。建物が町並みっぽくなり始めたと思ったら、もう行く手の曲がり角の向こうが唐突に新山口駅前なのだった。
11:25、新山口着。街の名前は小郡、駅名は新山口。新山口は元小郡駅なのだ。私には新幹線・山陽本線・山口線のどの駅としても小郡の方が耳に馴染みがあり、新○○などというと、何だか昔の武蔵野線の物寂しいホームで、寒い冬の夜に20分間隔の101系6両編成を待たなければならないような気がしてしまう。駅名改称は2003年のことだったようだ。
次の広島方面は12:01。のんびり輪行して移動時間込みでちょっと余裕もある。
12:54、広島着。
前回(確か2017年頃)の訪問以降、広島駅の駅ビルはすっかり改装され、記憶に残っているかつてのレイアウトは跡形も無くなっていた。お好み焼き店のコーナーは更に充実している感じなので、改装されたこと自体は今日のミッションには全く問題無い。とにかくお好み焼き店に全力で狙いを定め、自転車を抱えて飲食店エリアのその辺りに力強く向かってゆく。
しかしGWのお昼時のせいか、凄まじい量のお客さんが押し寄せていて、駅ビルの飲食店街は大変混雑しているのだった。お好み焼き各店にもそれぞれけっこう長い列ができている。GWの混雑がこれ程とは、むしろコロナ禍からの復調傾向として喜ばしいことかもしれない。現に自分でも、3年振りにGWのツーリングに来れているのだから。
駅のお好み焼き屋はそれぞれ個性豊かながら、どこも大きく変わること無く美味しい(と私は思っている)ので、とりあえずその段階では一番並びやすそうだった「いっちゃん」へ並んでみた。列に並ぶときに待ち時間40分ぐらいと言われ、そんなに掛からないだろうとは思ったが、列に並んでいる間が20分、注文してから品物が来るまで15分強。結局40分近く掛かったと言える。
こういう状況では、店を変えてお好み焼き2枚を食べるのは至難の業だ。しかし、お好み焼きならではの解決策として、2枚目をお持ち帰りにしてもらい新幹線車内で食べればいい。グリーン車でレーパンでお好み焼き、我ながらなかなかいい旅ではないか。
席に着けた段階でお持ち帰りを注文すると共に、秋吉台で17:05広島発から15:05広島発に変えておいた帰りの列車を更に早め、14:05発東京着18:07に変更しておく。全く問題無くグリーンの大型荷物席が取れたことは有り難かった。
記 2022/6/25