中国地方Tour22#6
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今日は最終日。まず大前提として、自転車行程を終えてから、輪行帰路の途中下車で広島にもう一度立寄り、お好み焼きを食べる。そして広島から東京まで、諸般の事情で溜まった新幹線エクスプレス予約のグリーン特典ポイントを投入し、普通指定席料金でのぞみグリーン車に乗る。
過去の経験から、お好み焼き屋は広島駅で十分に美味しく食べられるというのが私の持論であり、それがこの計画の前提でもある。
また、乗車距離に関係無いグリーン券特典を、例えば名古屋・東京間で使ってしまうと勿体無い。東海道新幹線に乗る機会が比較的少ない私が特典を有効に使うのに、広島・東京間の乗車は大変都合が良い。乗車直前まで予約を変更できるエクスプレス予約のメリットが活かせるという点から考えても、往路の品川・岡山でこの特典を使ってしまうことよりも帰路の広島・東京の方が圧倒的にトラベルチャンスだ。我ながらかなりキレイに填まった目論見なのだ。
そういうミッションがあっても無くても、山口県が日本に誇る秋吉台には行っておかねばならない。3年前に行った五島列島同様、小学校の日本地図では西日本に「秋吉台」の文字がダントツに目立っていた。まさか57歳の初訪問になるとは思っていなくても、いつかは訪れることになるのかなーと思ってはいた。まるで他人事の様に。
計画時、あまり何も考えずに秋吉台経由で描いたコースは、秋吉台の裾野を行ったり来たりしてやや念入り目に回ってから新山口へ60km、さらっと回って新下関へ90km。一方、新幹線は一番遅いパターンを想定して東京22時前着とし、広島17:50発の大型手荷物置場付席を押さえてある。でも旅程六日目の今現在、正直な気持ちとしては、できればもっと早い時間に帰ってゆっくりしたい。例えGW連休最終日の明日を、丸1日お休み日として確保していても。
ということで広島15:50発とし、広島でのお好み焼きの時間を含めると、終着は新山口にしておく方が無難だと思われる。一方地形図で眺める限り、新下関又は新山口への道に特に目立って楽しそうな道は無い。このため、今日の自転車行程終着は、秋吉台を見終えた時刻で決まると思っていた。
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中国地方Tour22#6 2022/5/4(水) 赤→新山口 山口県美祢市美東町赤 県道239 ほっとびれっじ美東にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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7:40、ほっとびれっじ美東発。昨日通ってきたサファリパークの分岐で秋吉台方面の県道242へ。
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そのまま県道242は山裾に取り付いてするすると山腹を登り始めた。
森の中を70mぐらい登ったところで道端の森が切れて放り出されるように周囲が開け、落ち込む谷から見上げる稜線まで斜面の草原となった。空には雲一つ無いので、上下に広がる草原の緑と空の青の大空間に、自分が包まれている。唐突に秋吉台が目に前に現れたのだった。
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中国地方Tour22#6 2022/5/4(水) 赤→新山口 山口県美祢市秋芳町青景 県道242にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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中国地方Tour22#6 2022/5/4(水) 赤→新山口 山口県美祢市秋芳町青景 県道242にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
秋吉台のすぐ麓に宿を予約して、どこかでそうなりそうな道を意図して通っているので、これは順当な展開だ。しかし、現実の空間はいつも想定を上回る。今日は秋吉台で時間を取るべき、とすぐ思った。頑張って新下関へ行ったりせず、穏当に終着は新山口で間違いない。決めてしまえば、もう先を急ぐ必要は全く無い。
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脚を停め停め谷と丘を見渡しながら、県道242で高度を上げつつ丘を巻いてゆく。谷を挟んでこちらも向こうも、斜面一杯の草原は明るい緑で爽やかだ。草原に無数の小さな白い岩がぼこぼこ突き出しているのは異様ですらある。下に鋭く落ち込む谷間は怖ろしいほどだ。そして彼方の山々へ続く低山と里山風景、その上に拡がる真っ青な空。
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陽差しは鋭いものの朝の空気はきりっと冷えている。8時とはいえ、まだ視界に人影をほとんど見かけない。静かな、しかし陶酔するような開放感の中、空の中を鷹みたいな猛禽っぽい鳥が悠然と舞っている。「これがカルストだ」と言われているような、文句の無い風景だ。さすが秋吉台。
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面白いのは、これだけ人里離れした高原っぽい風景に続いて牧場がすぐ下にあるし、向こうの稜線近くには牧舎がある。その向こうには畑や里山が続いているのだ。そういえば確か宿に貼ってある観光ポスターに、「カルストは昔から農業に利用されてきた」というような事が書いてあったのを思い出す。実際に、農村まっただ中の宿からここまでほとんど走っていない。標高もこの辺でなんとまだ200m台。秋吉台が人里のすぐ隣、こんなに低い場所にあるのだということがよくわかった。
■この辺から、誰も居なかった路上にいつの間にかバイクが現れ、そして車が少しづつ増えてきた。自転車はあまり見かけない。サイクル県やまぐちなのにね。
■展望箇所的に道幅が拡がった場所があり、車やバイクが脚を停めている。少しづつ気温が上がってきたので、私もそこで上着を脱ぐことにした。
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左要素
谷間から立ち上がる斜面を巻いて高度を上げてきた県道242は、標高300mまで登ったところで縁を越えるように台地上に乗り上げた。
■台地上は開けた草原に無数の岩が突出ているという風景の基本構成は変わらないものの、斜面というよりは起伏のある平原(実際は傾斜はけっこう厳しそう)である。その台地を、県道242は大きな線形で時々小さい波を越えつつ進んでゆく。近くの草原には遊歩道らしい柵と、あまりハイキングっぽくない格好の人々が見え始めた。柵は平原の奥の丘へ延びている。そちら方面へ遊歩道を歩いて行ったら、山越え谷越え秋吉台を満喫できるのだろう。秋吉台ぐらいの広さだと、フルで回って全部で2時間弱ぐらい、いや、3時間以上かもしれない。今日は行かないかな。どこか安心できる場所にに自転車を置く必要がある。やはりこういうことを考えるときには地形図を見たい。
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行く手の縁に森らしい木立が見える。その辺りで草原は森に替わっていて、秋吉台の台地は麓へ下り始めるようだ。その辺りには宿泊施設らしい建物が何軒か建っている。多分秋吉台の端っこなのだろうな。
行く手の縁に森らしい木立が見える。その辺りで草原は森に替わっていて、秋吉台の台地は麓へ下り始めるようだ。その辺りには宿泊施設らしい建物が何軒か建っている。多分秋吉台の端っこなのだろうな。
まだ遠いと思っていたその辺りは自転車だと近かった。そして森に入るとともに、道がおもむろに下り始めた。「秋吉台がここで終わりなんだな」と思いつつ、県道242から脇道へ分岐し、そのまま道なりに展望台への分岐(という看板が立っていた)辺りを過ぎて麓まで下ってしまおうとして、それでもまだ9時半前。やっぱり折角なので展望台は観ておこう。
交通整理のガードマンさんが、自転車はこの先に停められると案内してくれた展望台下の駐車場へ向かう。木立に囲まれた道のせいでどこまで登り返す必要があるのかわからなかったものの、行ってみれば駐車場は下って来た道のすぐ上だった。そして自転車用と案内された駐車場は、いくつかあるうちの一番展望台に近い駐車場だったのが有り難かった。
中国地方Tour22#6 2022/5/4(水) 赤→新山口 山口県美祢市秋芳町秋吉秋吉台 秋吉台展望台にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
展望台からは、秋吉台のダイナミックに起伏して拡がってゆく草原が、県道242とはまたひと味違うアングルで見渡せた。というより、こちらが本来の秋吉台の展望なのだ。一面の草原、無数に隆起する小さく白い岩、訪れたことが無くても一目で秋吉台という事がわかるような風景。改めて、この風景がたかだか300〜400mぐらいの場所に拡がっていことが凄いと思う。四国カルストは標高1000m〜1500m、本当の高原だし。
そういう意味で、超一級の風景が誰でも行きやすい場所から楽しめるという、真の観光地たる条件(私的基準ですが)を、秋吉台は備えていると思った。ちなみに以前、上高地でもそういうことを感じた。
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左要素
展望台からの秋吉台には感動はしたものの、ちょろっと眺めて満足したような気になってしまったような気もした。やはり私はこういうのはニガテなのかもしれない。本当は歩道を奥まで歩けばもっと楽しいだろう。秋芳洞まで下っているというエレベーターにも興味がある。
でも初めての秋吉台にとても満足できたこと、全体的に最終日に相応しい今回の旅でも印象的な体験だったことは間違い無い。何しろ天気が抜群だったし、訪れた時間帯も良かった。そして行程と風景の展開が良かったから、宿も赤「ほっとびれっじ美東」で正解なんだろうな。まあ、我ながら面倒臭い奴だなとは思う。
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まだ9時台だが、新下関へ向かうと到着は15時を過ぎるかもしれない。広島でお好み焼きを食べて広島発17時過ぎ、東京着は21時過ぎ。計画としては成立する。明日はお休み日だから今日は帰りが遅くても大丈夫。
それでもやっぱり、もう少し早く帰ることを優先したいというのが、今の気分だ。それに下関への道は里の県道を繋いでいる。全部が全部幹線県道じゃないにしても、少なくとも昨日の萩からの国道490や2日目の島根県山間みたいな細道ではあり得ず、言ってしまえば山陽エリアに近い分、昨日の萩まで通った県道より車は多いと考えるのが妥当だろう。行ったことが無い場所の想像ではあるものの。
ならばもうこのまま新山口へ下ってしまおう。お昼前に新山口、広島到着13時で15時には出発、東京着は19時台。
それじゃ、この後はもう新山口まで一下りだ。そうと決まれば、広島発17:07は15:07に変更予約しないと。などと考えながら展望台下で食べるソフトがまた大変美味しい。暑くなり始めている。
麓へ下り始める。こちら側には宿が集中していた。当初狙っていた国民宿舎、休館中YHの脇を通り過ぎ、その辺で少し難しい分岐で彷徨いつつ、一目散に下ってしまう。
広谷からはまだなくしてしまった地形図の範囲なのでGPSトラック頼りに進んでゆく。県道32では才ヶ峠ともう一つ丘陵アップダウンが、新山口まで一下りとか誰が言ったんだよ等と思う程続いた。
そして大田から移った県道28は周囲が農村の割に道幅が広い。
車はそれなりに多めだし、やや裁けた感じの路上は陽差しが厳しくて暑い。何かもう、早く新山口に着いてくれないかなあ、としか思えない。
妙に山深い二本木峠の一越えも、風景の割には車は決して少なくない。
やはり早く新山口に着いてしまいたい、退屈な気分が勝ってしまう。今年のGWツーリングハイライト、秋吉台の直後では、仕方の無いことかも知れない。
唐突に谷間から小郡の市街外れに出た。新山口までは、裏道をGPSトラックで選んでいる。
GPS画面の地図はごく狭い範囲なのだが、もう停まって紙の地形図を確認する気は無い。目印の幹線道路や鉄道が近くても直接見えない、町や地形の文脈も全く関係無い、ごく普通の見知らぬ住宅地や妙に古びた建物。トラックから外れていないこと、いつ新山口に着いても不思議じゃなさそうなことだけを意識しながら、次々と過ぎてゆく風景の中をひたすら受動的にのんびりてれてれ流してゆく。秋吉台から新山口までで一番楽しい道だった。
裏道は意外に長い間続いていた。建物が町並みっぽくなり始めたと思ったら、もう行く手の曲がり角の向こうが唐突に新山口駅前なのだった。
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11:25、新山口着。街の名前は小郡、駅名は新山口。新山口は元小郡駅なのだ。私には新幹線・山陽本線・山口線のどの駅としても小郡の方が耳に馴染みがあり、新○○などというと、何だか昔の武蔵野線の物寂しいホームで、寒い冬の夜に20分間隔の101系6両編成を待たなければならないような気がしてしまう。駅名改称は2003年のことだったようだ。
次の広島方面は12:01。のんびり輪行して移動時間込みでちょっと余裕もある。
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12:54、広島着。
前回確か2015年頃の訪問以降、広島駅の駅ビルはすっかり改装され、記憶に残っているかつてのレイアウトは跡形も無くなっていた。お好み焼き店のコーナーは更に充実している感じなので、今日のミッションにはそのこと自体は全く問題無い。とにかくお好み焼き店に狙いを定め、自転車を抱えて飲食店エリアのその辺りに力強く向かってゆく。
しかしGWのお昼時のせいか、駅ビルの飲食店街には凄まじい量のお客さんが押し寄せていて、大変混雑しているのだった。お好み焼きの各店にもそれぞれけっこう長い列ができている。GWの混雑がこれ程とは、むしろコロナ禍からの復調傾向として喜ばしいことかもしれない。現に自分でも、3年振りにGWのツーリングに来れているのだから。
お好み焼き屋はどこも大きく変わること無く美味しい(と思っている)ので、とりあえずその段階では一番並びやすそうだった「いっちゃん」へ並んでみた。列に並ぶときに待ち時間40分ぐらいと言われ、そんなに掛からないだろうとは思ったが、列に並んでいる間が20分、注文してから品物が来るまで15分強。結局40分近く掛かったと言える。
こういう状況では、店を変えてお好み焼き2枚を食べるのは至難である。しかし、お好み焼きならではの解決策として、2枚目をお持ち帰りにしてもらい新幹線車内で食べればいい。グリーン車でレーパンでお好み焼き、我ながらなかなかいい旅ではないか。
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席に着けた段階でお持ち帰りを注文すると共に、早朝に17:05広島発から15:05広島発に変えておいた帰りの列車を更に早めて14:05発東京着18:07に変更しておく。全く問題無くグリーンの大型荷物席が取れたことは有り難かった。
中国地方Tour22#6 2022/5/4(水) 赤→新山口 山口県美祢市秋芳町秋吉秋吉台 県道242にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
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記 2022/6/25