北海道Tour20#7-2
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雨の中牧草地の丘を越えると、道がおもむろに下り始め、民家が現れ始めた。8:05、沼川着。雨はやや霧っぽくなったものの、間違いなく弱まっちゃあいないのが現実である。
A-Coopの軒に自転車を停め、降りてはみても腹は減っていない。A-Coopもまだ8時だと営業が始まっていないようだ。まあ、例によって何か切実に飲みたいわけではない。寒いというだけだ。カップ麺で温まれないのが残念だ、と思うほど寒いのである。こういう状況下、早朝あれだけ気を揉んだ腰痛が収まっているのは、有り難いことだ。どうやら身体を動かしていると腰も動かせるようだ。少なくとも旅を止めなければならない事態じゃないみたいで、まずはひと安心。
自販機コーヒーをぐいっと一飲み、そして天気予報を確認してみる。天気予報の世界では、相変わらず稚内市は既に曇りの時間帯に入っているとのことだ。現実世界では雨上がりが遅れている、というだけなのかもしれない。この辺りは一見平地に見えても、天気予報対象のサロベツ原野に比べると山地みたいな場所だし。予定通りこのまま道北縦貫道道を幌延まで向かおう。幌延に向かう間に、天気はどこかで変わるはずだ。
8:25、沼川発。沼川発で8時半前。道北縦貫道道の裏道農道で、沼川から幌延に向かって丘をいくつか越えてゆく。
過去の沼川経由コースで思い出せない、時刻の早さが画期的だ。今まで浜鬼志別から出発する場合に、宗谷岬方面に向かうか南下するかしかしなかったからだ。過去に無いパターンだけに、サロベツ原野でも日本海沿岸でも知駒峠でもどんと来い!という大きな可能性が、私の行く手に拡がっている。はずだった。
現実としては、今のところかなり雲が低くて周りの丘陵は霧っぽく霞んでいる。天気予報の終了予定を過ぎて未だに雨が一向に止まず、向かい風も吹き荒れている。一昨年霧雨の中、去年は晴れの明るい風景だったこの道、今年は順当に雨の番だ。
北海道Tour20#7 2020/8/12(水)浜鬼志別→中川 北海道稚内市声問村川南にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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丘を越えると、低地の牧草地の向こうに次の丘がすぐ現れた。別海辺りの丘陵に比べると、登りは緩く、丘の高さも低い。それに今日は暑くない。これだけなら丘が続いても、何か辛いようなものではない。
北海道Tour20#7 2020/8/12(水)浜鬼志別→中川 北海道稚内市声問村川にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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しかし今日は、もの凄い向かい風が吹き荒れている。牧草地の草原が波打ち、森の木も盛大に揺れ、時々ちぎれた葉っぱが飛んできたりもする。3連発で北海道にやって来た、熱帯低気圧由来の風なのかもしれない。身の危険を感じるほどの嵐である。
北海道Tour20#7 2020/8/12(水)浜鬼志別→中川 北海道稚内市声問村川南にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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有明に着くまでに、こりゃあもう避難すべきだと思った。有明からなら、セイコーマートがある豊富はそう遠くない。いざとなりゃあ宗谷本線へ逃げることもできる。腰痛で行程を断念する訳じゃないのだ、不可抗力なら仕方無いよね。うん。
有明に下って谷間の農道を西へ。道の向きが変わるとともに、向かい風の嵐は横風に、それでも微妙な道の向きで時々追い風基調に変わったりした。横風で相殺されてほとんど関係無いものの、僅かに下り基調なのはやっぱり楽である。今日はそれが特に有り難い。サイクリングって本来辛いもんじゃないよな、と思ったりもする。
追い越す車に豊富町役場という文字が見え、その車が少し先の橋で停まった。降りてきた作業服の人が小川をのぞき込み始めたので、私も橋から見下ろすと、川には溢れそうに濁流が迸っていた。初日と昨日の行程をパーにしやがった、熱帯低気圧の大雨によるものだろうと思った。2日間輪行の恩恵を受けて気付かなかった、過酷な大雨の実態を目の当たりにしたような気がした。
高速道路もどきの国道40バイパス区間をアンダークロスし、国道40に合流すると、すぐに豊富の町外れである。
セイコーマートを前方の景色とGPS画面で探して、店の軒下へ。
10:30、豊富着。とりあえずひと安心、もう10時半だからお10時にしよう。
Hotchefでビーフカレーを仕入れると、それは何年か前に美味しかったHotchefチキンマサラカレーの牛バラ肉版なのだった。カレーのみならずHotchefの弁当は、毎年少しづつ内容が変わっている。それが良くなる場合も、あれっと思う場合もある。今年のカレーは間違いなく当りだ。今年のセイコーマート休憩は、今後ビーフカレーで行こうと決めた。とはいえもう7日目。北海道でのセイコーマート休憩もそう多くはないこともわかっちゃあいる。いいのだ、私には茨城県が付いている。
相変わらず嵐は吹き荒れているものの、雨は大分弱まっていた。さすがに豊富は市街地だけあるね。食べながらほっと一息ついた気分で、それにしてもついさっきまでの大変な嵐を思い出す。沼川からたかだか30kmぐらいで2時間かかってしまっていた。いや、まだ風が凄いんだが。
天気予報を見直すと、6時までのはずだった雨マークが、何とお昼までに変わっていた。これなら、現況と比べて何の違いも無い。この通りならまだしばらく雨は続くだろう。そして天気予報では、風は終日北〜北西向きのままなので、予定コースのほぼ全区間で向かい風だ。また今日の終着中川では、16時から晴れることになっている。つまり走れる日中は雨、宿に着いたら晴れ始めるということだ。最悪の展開である。順当に天気が収まったら道北縦貫道道の後幌延から向かうはずだったサロベツ原野・日本海沿岸方面では、どう考えても雨と向かい風に悩まされるだけだろう。いや、夕方になっても晴れない可能性だってあるのだ。だって雨が止む予定の8時以降、まだ雨が残っているのだから。全く、我ながら何がどんと来いだ。
もう今日はこのまま輪行で中川に向かうか。それとも、日本海沿岸道道110経由の大回りコースを止め、宗谷本線沿いに幌延経由で中川に向かえば、中川までは最低限自走で辿り着けるのかもしれない。幌延まで国道40主体になってしまうものの、幌延から先は毎度の宗谷本線沿い道道経由でのんびり過ごすこともできる。まあ雨には降られるかもしれないが。
カレーを食べ終わって腰を上げようとすると、やはり腰が痛い。しかしゆっくりでも一旦動かすと、その後は随分楽になる。浜鬼志別からもう5時間、60km走って曲がりなりにも峠を越えている。運動して腰痛に影響があるようなら、既に動けないほど痛くなっていることだろう。しかし、痛みが増したかと言えば決してそんなことは無い。
それなら、この後中川へ自走しても、腰は大丈夫に違いない。到着する頃に目出度く晴天となるかもしれない。しかしその時間に晴れても、私に取っては後の祭りだ。今日は(も)もうビールでも煽って早く寝てしまえ。
記 2020/12/26
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