北海道Tour19#1
2019/8/8(木)釧路空港→開陽-1

釧路空港→下雪裡 (以上#1-1)
(以下#1-2) →標茶 (以上#1-2)
(以下#1-3) →開陽 (以上#1-3)
119km  RYDE WITH GPS

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路と航路

 釧路空港到着が定刻通りの9:15。これなら早く出発できるかもしれないと思ってはいても、荷物受け渡しには15分ぐらいかかって9時半。自転車組立、準備にもまあそれなりに毎回の通りに時間が掛かり、結局今年も10:35釧路空港発。3時50分に行動開始していても、なかなか出発は早くならない。
 過去、釧路空港発で開陽まで行く場合、到着は18時〜19時前。毎年初日に開陽台に寄る余裕ができるといいなとは思っている。しかし民宿地平線の夕食に間に合わせるためには開陽台に寄る余裕は無い。そもそも近年は天気が悪くて開陽台に寄る気にならない。出発時刻がいつも通りで天気が曇り〜雨だと、ここまま今年も余りさえない展開になりそうだ。しかし、やはり北海道を走れていることは大変嬉しいことだ。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路
 

 まずは標茶へ、毎度の穏当パターン道道65へ。空港がある高台から釧路市街へ続く低地へ、西側の町道みたいに一気に下ってしまうことなく、少しづつ均等に高度を下げて水平距離を稼ぎ、山花の南へ出てしまう道だ。下り斜度は僅かであり、尚かつブレーキなど掛けることなく脚を停めて30km/hぐらいで速度が安定するぐらいの斜度である。つまり超経済運転で山花まで行ってしまう、大変効率の良い道なのだ。車も少ない。まあこれは釧路空港の便の少なさが影響しているのかもしれない。

 脚を停めて経済ペースで道道65を下ってゆく間中、雨粒は空中に漂い、撥水処理をした帆布バッグに水滴が付き始めていた。空港での手荷物受け取り中〜自転車組立中に希望的観測混じりで止んだと思っていたのに。これから山裾の丘陵を何度か越えても、まあ晴れに向かう要素は増えはしないだろうな。やはり今日はこうなるのだ。

 国道240を横断して南から北へ低地を横断する途中、道道65から名前が変わった道道952は平原まっただ中に築造されたコンクリート橋をくぐった。建設中の道東自動車道である。道東自動車道がいよいよ釧路まで到達たら、他の高速道路と同じようにスーパーおおぞらの息の根を止める日が来るのかもしれない。根室本線新得→釧路間の収益は、JR北海道の幹線としては比較的いいという記事をどこかで見かけたような気もするものの、とにかく頑張れJR北海道!いつかまた283系の振り子運転復活を!そして285系プロジェクト再開を!

 などと思いながら山花に着く頃には、路面は完全にしっとり黒々と濡れてしまっていた。さすが北側丘陵の山裾だ。これ以上雨にならないでほしいと願うだけ願っても、丘陵裾の山花でこれだと、これから谷間と丘陵の横断に向かうと、もはや雨からは逃れられないだろうとも思う。

 道道666で仁々志別川の谷間を北へ。どういうわけか今日の道道666は、何となく車が少ないように感じられる。この辺り標茶から阿寒までの丘陵では、どの谷も幅は広くなく、道は上流部で行き止まりとなるため、交通量、谷間や里の景色や雰囲気も変わり映えせず、どこの道が際だって好ましいということも無い。

 仁々志別で道道666から東へ向かう道道243へ。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 丘を一つ越えて幌呂の牧草地へ下り、丘陵裾側に続くやや背の高い白樺が印象的な一直線の道を上幌呂へ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 丘越えにかかるとやはり空気中の水滴が増え始め、雨具を着ようか迷い始めたところで丘を越えると、再び路面は乾き始めた。密度の濃い雲が低空に溜まっているのだろう。天気が外れ、というより夏の釧路地方毎度のパターンだ。何とかこのまま曇りに移行してほしい。今朝はまだ曇り予報だったんだし。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 上幌呂からはしばし道道53を経由。釧路・鶴居間の幹線道路として、釧路湿原に面した丘陵の外側裾を北上してきたこの道。15年以上前にはもう少し南を何度か通っていて、その度に交通量と登った分まるまる下るだけなのに波は大きなアップダウンに辟易したり、19時過ぎに鶴居で右往左往したりして、良い印象が無い。

 この辺では交通量はもうすっかり許容範囲ではあるものの、やはりいかにも幹線道路っぽい表情の道だ。ただ、少し南、下幌呂の宿房まきごやには長い間訪れていないので、また泊まって大変美味しい海藻ポークを食べたい。


 一旦路面は完全に乾き、何だか軽い風まで感じられていたのに、下雪裡で道道53から道道243に分岐して次の丘に登り始めると共に、再び霧雨が辺りに漂い始めた。

 今度のは密度が濃く、あっという間に服がしっとり濡れ始めたので、遂に観念して再び雨具を着ることにした。
 出発前にモンベル純正洗剤で洗濯し純正撥水剤により説明書通りに処理した上で、近所のコインランドリーで熱乾燥し、その場で小さく折りたたんでくるくる巻きにした6年物の雨具。東京の暑かった空気が、雨具を広げるとともに感じられるような気がした。

 雨具の調子はさすがに純正処理だけあり、撥水性と通気が抜群だ。今回で雨具を買い換えるつもりだったが、これならまだまだ行けそうな気になってきた。まあしかし、よく見ると表面層と内側の層が分離しかかっている。

 12:35、2004年に一度泊まったきりの町営どさんこ牧場通過。今も営業しているのかどうか、近年は確認したことすらないが、ステーキがとても美味しかったのが印象的な宿だ。今ならちょうど食事に寄ってもいい時間帯でもある。

 しかしまあ、釧路空港→開陽のパターンでここに立ち寄る余裕は無い。それに標茶まで保たせるつもりで羽田空港で弁当を2つも食べてしまっているので、腹がまだ減っていない。

 どさんこ牧場に昼食に寄ったり、下幌呂のまきごやを再訪するためには、旅程をがらっと変える必要があるんだろうな。

北海道Tour19夏#1 2019/8/8(木)釧路空港→中標津 北海道阿寒郡鶴居村下久著呂にて 道道243 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 クチョロ原野でコッタロ展望台・塘路方面へ向かう道道1052と交差し、道道243はコッタロ湿原への丘越えへ登り始める。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 かつてこの辺では珍しかった細道は、2020年目前ともなると大半が拡幅済みとなっている。しかし相変わらずくねくね気味の線形と頭上を覆う密森、そして押し寄せる吸血昆虫共に、往時の面影は充分残っている。

 鞍部区間がしばらく続くのも特徴的で、標茶まで近づいていることを感じさせてくれる道だ。

 ただ、もう標茶手前だと思っていると、下りきったヌマオロの先にはまだ2回半ぐらいのアップダウンが残っていて、標茶への距離感も修正されるのであった。

 沼幌橋の手前で路面が乾き始めた。風が吹き始め、一気に雨も止んだ。相変わらず雲は暗く低いものの、空と空気の雰囲気が何だかがらっと好調に変わり、もうこれで標茶までは大丈夫だと思えるぐらいになった。

 国道391合流手前、裏道に建つ味幸園温泉の看板が、新しいものに変わったな等と思って通過すると、敷地内から裏道にお客さんらしき車すら出てきた。観光的に全く引きを感じられない丘陵狭間、もともと住民が少なく、土地の印象としては国道が通過しているだけの印象しか無い場所で、こういう純地元向け温泉が賑わっているのは嬉しいことである。

 腹が減り始めていたので、ほんのちょっと戻ればいいだけの五十石方面の農道経由すらもう止めて、国道391経由の最短距離で標茶へ向かうことにした。

 どうしてもそれとなく国道っぽい道の表情は仕方無いとして、交通量はそう目くじらを立てるほどのものではない。

 

 それに追い風だし、朝に一杯食べておいたお陰で釧路空港からここまで保たせられて良かった。

 14:30、標茶着。14時半には標茶を出発したかったという希望出発時刻での到着であり、開陽台に向かうには明らかに延着気味だ。というより今日も開陽台は無理だろうな。そもそも、この雲の低さでは無理して開陽台に向かう気にもならない。むしろこの際先を急ぐよりしっかり補給しておく。せっかく北海道まで来てから初セイコーマートなのだし。
 パック野菜、トウキビ、おにぎり、プリンにヨーグルト、そして水。いい歳をして軒下の縁石に腰掛け、喉を通りそうなものから片付けてゆく。余ったものはサイドバッグに入れればいいと思って、予備も含めてやや買いすぎたかもしれない。しかしそんなことはどうでもいい。明日か明後日食べてしまえばいいと言うだけの話だ。セイコーマートのいつものメンバーが何だか無性に嬉しい。また北海道ツーリングに来れているのだ、と実感できる。薄暗い空の下、涼しいと言うより薄ら寒い風が吹いていて、移動せずにじっとしているのが大変居心地良い。


 

 15:00、標茶発。相変わらず低い曇り空の下、道道13で根釧台地への段丘へ。
 走り始めると、背中から上半身がぞぞっと寒いのに驚いた。防寒のため、急いで雨具を着込む。標茶まで雨具がやや暑かったほどなのに、今は雨具の中の空気が何だかほっとする。それ程寒いのだ。最初は休んでいる間に身体が冷えるとこうなるのか、と思っていたが、段丘の谷へ進むうち、単純に身体が冷えているだけじゃないことがわかってきた。明らかに雲が低く、そして辺りが薄暗くなっている。

 弥栄では旧道を経由するのが何となく面倒臭く、そのまま道道を進んで久しぶりに丘越えへ。ここ何回か丘越えが面倒臭くて旧道へ向かうことがあったのに、ほんとに面倒臭いというだけのことなのだ、と我ながら可笑しい。もともと旧道が通っている集落真横の丘を震動が登った分、再び下って集落の向こうで旧道に合流するため、盛大な直登は丸ごと無駄になってしまう。しかし今回相対してみると、直登は見た目が盛大なだけで、実態は斜度が緩く、気に病むほどのものでもないことがよくわかった。

 弥栄の旧道合流点辺りで路面がしっとり濡れ始め、再び登り返す手前、つまり根釧台地への段丘を登る手前から空気中の水滴密度が目に見えて上がり、行く手が霞んで雨具やバッグ表面に水玉が付き始めた。そして周囲の丘を見渡すはずの辺りまで高度が上がると、水滴は完全に雨に変わり、全体として空気中を密に漂い、もう周囲の丘は全く見えないのであった。

 多和への登り区間でも、思っていたほど登りのボリュームは感じられなかった。ゆるっゆるっと暫時的に高度を上げてゆくのが、こういう雨の日に有り難い。

北海道Tour19夏#1 2019/8/8(木)釧路空港→中標津 北海道川上郡標茶町上多和原野にて 道道13 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 多和の縁を乗りこえると一気に周囲が開け、もうそこは根釧台地だ。

 最高地点のスノーシェッドをくぐって虹別への下り区間へ移行し始める。

 この段階でも雨は全く止む気配は無く、視界は200mぐらい先で灰色のガスに閉ざされている。多分開陽まで雨が続くのだろう。
 予定が押し気味なので萩野から道道885起点への迂回はやめて、16:30、虹別セブンイレブン着。一応缶コーヒーぐらい飲んでから、民宿地平線に18時頃到着の旨電話しておく。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 16:45、虹別発。道道885まで直登方向の40m登りが、毎度の如く意外と堪える。開けた風景の1本道が登りに見えないので、思うように進めないのが理由であることはわかってはいるのに、毎回とてもじれったいのは風景に開放感が一杯だからだろう。流石一番山裾の道である。丹頂鶴がガオー!と牧草地を低空飛行していった。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 道道885へ合流する頃には、そろそろ辺りが暗くなり始めていた。この時間で暗さを感じるということは雲が厚いからである。この分だとこの先雨は止まないだろう。いつの間にか路面の轍部分に水たまりができていて、もうどこをどうみても完全に雨天である。朝の天気予報が曇りだっただけに、してやられた気分である。まあ、去年は初日丸ごと運休したので、走れただけよしとせねば。それに去年の雨はもっと盛大に降っていたように思う。

 17:30、養老牛ながかわ商店着。大体普通に進んでここから開陽まで毎回1時間かかる。民宿地平線到着時刻は多分に希望的観測含みで18時15分〜30分というところか。まあ18時半には着くだろう。何にしても、下方修正は決定だ。

北海道Tour19夏#1 2019/8/8(木)釧路空港→中標津 北海道標津郡中標津町養老牛にて 道道885・150・505交差点 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 自販機でコーヒーだけ飲んでそのまま行程継続とする。やはりこのコース、開陽台に向かう余裕は無いかもしれない。自分の脚が無いと言えばそれまでの話ではある。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 
 

 旭新養老牛を過ぎ、北進の手前で再び民宿地平線に到着予定時刻の下方修正を連絡しておく。空も辺りも次第に暗くなる一方、次々静けさと共に現れる北進の、見知った風景はいい。そして意外に平坦だと思っていた箇所で、実は登りが多いことにも気が付いた。一応道道150区間で、北進で最高200mちょっとは越えるから、当然の話ではある。

 俣落まで下ってしまえばその後は開陽まですぐだ。とはいえ、牧草地やカラマツの中の別荘、現実の風景はいつも思い出す時ほどすぐに次々現れてくれない。やはり15分はかかったのであった。

 到着時刻はお知らせしていたので、焦ること無く落ちついて進むことができた。まあ、もう劇的に時間を稼げる脚も無い。

 18:30、民宿地平線着。
 荷物を降ろそうとして、指がかじかんでいることに気が付いた。寒かったのも当たり前、居間ではストーブが焚かれていた。気温は12℃とのこと。そりゃあ寒いよ。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 まずは温泉へ、その後に夕食。結局夕食を終えるのは20時半を過ぎてしまった。しかし、もう早く寝る必要はなくなっていた。15時まで、午後から様子を見て開陽台ぐらいには行けそうだったはずの明日の天気予報が、その後全道大雨に変わっていたのだ。中標津は1日で100mm、札幌などは180mmも降るとのこと。
 これほど諦めが悪い要素が無い天気予報も珍しい。全く躊躇無く、明日の終日運休を決めたのだった。根釧台地202kmコースは、早々と2年連続の運休正式決定である。
 こういう日が連泊だったのが、せめてもの救いかもしれない。

記 2019/10/14

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Last Update 2020/2/2
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