下りでも、ここまで同様の細道がくねくねの急斜面に張り付いて続いた。斜度は当然の如く10%基調だろう。
頭上の開けた東岸と違い、密な枝の木々が道を覆うジャングル状態だった。
斜面が更に切り立っている分、時々海側の木々が開け、真っ青な海と遠くに霞む奈留島、そして行く手の斜面の森を眺めることができた。
急下りの急カーブで転倒すると、狭い道から飛び出しそうだ。気を付けてゆっくり目に下ったものの、海岸まで下りきって時計を見ると9:45。俄然若松10:30フェリーの確度が高まってきた。
その後は海岸際に細道が続いた。
真っ青な空から明るい光が、若松瀬戸と小島を明るく照らし、浅瀬の海は透明なのに、近くから遠くへほんのり青く色付いてゆく。
島もこちらの陸地も、緑も岩も海も空も、色彩が濃厚で鮮やかだった。
桐、横瀬、深浦と漁村と森が断続し、海岸を曲がりくねる道の風景はどんどん変わっていった。
海には漁船が通り過ぎ、道端では漁村の住民が家族で釣りを楽しんでいた。
ここまで眺めてきた、険しい表情の大空間とは全く違う、楽しく優しい人里の風景に心が和む。こういう風景が見たかった。そしてこういう風景を前に、今こそ行程の稼ぎ処なのがややつらい。
深浦、築地からは小さい岬越えが続き始めた。ほんとに小さな登り返しでも、その度にペースが落ちて分単位で時間を喰った。
しかし10時ちょうどに県道46に合流することができた。これはもう行けるぞ行けるぞ。
10:10前、若松大橋通過。
橋の上で一昨日眺めた若松瀬戸の風景を、北側、南側ともう一度眺めて若松島へ。
10:15、若松ターミナル着。到着してみれば、フェリーの時刻まであと15分もある。理想的だ。おれもやればできるのだと思った。
すぐに窓口へ、荷物受取証を書いて切符を買う。何日か前福江島と奈留島で書いた、五島旅客船書式が懐かしい。あれから何日かの間に海上タクシーも乗った今、今回は担ぎ上げじゃなくていいのが嬉しい。
フェリーターミナルの売店では食事もできるようで、定食が美味しそうだ。今日は流石に定食を食べている余裕は無いので、魚肉の揚げ物パックを買っておく。これがまた、雨の日に青方で買った奈摩の揚げ物との再会となった。
中通島か、何もかも皆懐かしい。何だか船ならではの良い気分だ。
10:30、フェリーオーシャン若松港発。
さっき渡った若松大橋をくぐって、さっき通った岸辺や、尾之上峠からの下りを眺めつつ、フェリーオーシャンは明るく色彩濃厚な若松瀬戸を南下してゆく。中通島、若松島ともお別れだ。
記 2019/6/15
#7福江島2-1へ進む
#7中通島5・若松島3-2へ戻る
五島列島Tour19 indexへ
自転車ツーリングの記録へ
Topへ