10:50、ストリートビューで予習した印象より、居心地の良さそうな雰囲気が漂う太古待合所へ。1日1往復しかない博多からのフェリー太古には、専用の、しかも平屋ながら新築の待合所があるのだった。しかし出発時間が近づくにつれ、待合室の外で待つ人が出る程お客さんがかなり増え、専用待合室は必要なのだと納得。それに博多からの太古は早朝だし。
いくら何でもそろそろ来るはずなんだがと思っていると、海上に点が現れ、すぐにそれが太古の姿になった。フェリーオーシャンでも思ったが、船というものは意外に速い。あっという間に現れて近づくし、乗ってみると海上を意外な程の勢いでどんどん進むのである。
近くに来るとやはり太古は大きく、しかし思ったより小さいようにも見える。後部車両タラップから自転車に乗ったまま乗船して、自転車を壁にロープで繋いでもらう。積載室はフェリーオーシャンと違い、完全に屋内である。海上の経路がGPSで記録できないとちょっと残念だと思った。しかし、問題無く記録できていたのは有り難いことだった。
積載室から船室に向かうと、乗客達は席の確保、次は出張販売弁当の確保で、かなりばたばた浮き足立っていた。一目で青函連絡船を思い出した。これは青函連絡船乗り継ぎ時の状況とよく似ているぞ。などと思っているうちに当然ながら出遅れてしまい、結局席は絨毯区画の空きスペースで何とか、弁当も人気の角煮弁当は逃したもののおにぎりを何とかぎりぎりのところで確保できたのは幸運だった。完全に青函連絡船の感覚を忘れている。いや、解ってさえいれば備えることはできたんだが。
まあ自転車だし、乗船ダッシュからは最初から別枠なんだから、仕方無いことなのかもしれない。それに乗船時間たった50分だし、小値賀島には市街があるしね。
12:10、青方発。
太古は青川港を回り込んで出港、進行方向左側に「空から日本をみてみよう+」で紹介されていた石油備蓄基地を通過し、中通島の西側をぐんぐん北上してゆく。右側には奈摩湾西側半島の切り立った岸壁が続いた。大きな岩がごつごつど迫力で立ちはだかり、中腹から上には林道が通っているのがよく見えた。昨日訪れる予定だった道である。やや広い海岸沿いには清掃工場が建っていた。多分林道から崖下に分岐する道があり、下りきるとああいう清掃工場や奈留島みたいに残土処分場があるんだろうな。
それにしても中通島、海岸から切り立つ斜面が急である。さっきから中通島を眺めていて、何となく違和感のような気持ちを感じていた。それが「危なっかしい」という気持ちであり、つまり中通島が今にも目の前でごろんと転覆して倒れてしまうんじゃないか、という危惧であることに気が付いた。そんなことがある訳は無いんだけどね。
そんな妄想も束の間、そのうちごろっと横になって昼寝したり、地図を見てコースを再確認したり、補給食と思って買ったおにぎりを食欲の赴くまま全部食べちゃったり。
途中トイレに行くと、我々の絨毯自由席はエンジン音が響いて振動しているが、上階の指定席と個室は驚く程静かで落ちついた雰囲気だった。そうか、1階は客室兼防音層なんだな、と思った。そういうところは青函連絡船より露骨な太古である。何はともあれ、次に五島列島に来る機会があれば、是非博多から太古の寝台を使いたい。
記 2019/6/2
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