北海道Tour18#6
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仁宇布→上徳志別
(以上#6-1)
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13:00、中頓別発。
しばし国道275を浜頓別方面へ。強向かい風から横風、強追い風まで何でもありの風に、良くも悪くも影響されることが多いこの道、今日は僅かに向かい風だ。
寿で9600と国産戦闘機を横目に眺め、旧天北線をオーバークロスしていた陸橋でがくんとペースが下がる。やっぱり多少疲れているかもしれない。もう鉄道は無いのだから、オーバークロス陸橋なんて撤去して平坦にしてほしいのだが、もう長いことこの無意味橋はそのままだ。ここを自転車や徒歩で通過する人の数を勘案すると、解体費用を掛けるほど橋を無くすことに意味は無いのかもしれない。そして道内各地にこういう陸橋は多い。昨日通った二の橋でも、名寄本線を越えていた橋がそのまま残っている。
下頓別で国道275を離れ、既知の裏道で常盤へ。牧草地の中に続く細道農道では、やはり車が少ないことそれだけで、自分の周囲の空間が牧草地、そして雲の低い空へ続いてゆくのを感じる。これが国道275だと、いくら交通量が少なくても所詮幹線国道、自分の外側30cm以遠は警戒すべき車のエリアであることが感じられる。意識しなくても、やはり身体が緊張する交通量なのだと思う。
のんびりした農道に油断したのか、舗装路面上にたまたま一つだけ転がっていた小石を踏んでしまった。ごりっという感触があり、案の上500mぐらい走ってタイヤがずりっと来始めた。スネークバイトのいつものパターンだ。おとなしく自転車をひっくり返してパンク修理とする。これでまた15〜20分ロスだ。
しかし所詮、今日は浜鬼志別終着でもう中頓別まで来ている。焦る気はしない。上徳志別での雨宿りの時のように、再び風景が停まって、自分の周りに静かに落ちついた空間が充ち、走っているときの風景との一体感より濃密に、自分が風景に溶け込み始める、そんな気になってくる。何も狙い定めた絶景ポイントじゃなくてもいい。ごく普通の田舎道こそ、こういう感覚を普通に味わえるのがいい。鉄道を撮っていた高校性の頃、線路脇から線路が見える田舎道で列車を待つ時、こういう感覚を何となく意識し始めていたことを、最近思い出し始めている。その時間と感覚が好きで、鉄道写真そのものからどんどん離れていったのだっけ。
チューブを替えてタイヤをチェックしながらこんなことを考えていたら、もうのんびりするしかない。結局14:00までのんびりした後、再び出発。
20分足らずの間に、雲はどんどん低くなり始めているではないか。そう言えば、散々のんびりした結果、天気予報で雨マークだった、浜頓別15時の場所と時間帯に、もう入っているではないか。ということは、いつ雨が降り始めてもおかしくないのだった。まあ、今日はもう緩めに行こうぜ。
前回声を掛けていただいた牧場農家を横目に眺め、農道で常盤へ。
オホーツク沿岸まで、去年通った経路の逆走である。国道と浜頓別を経由しない、内陸の静かな道道による最短経路。天気が冴えない今日は特に、これが最善の経路だろう。
段丘を一登り、牧草地が拡がる台地に乗り上げて丘を一越えし、しばし迷走のように農道を辿る。14:30、ポン仁達内着。クランクで道道84を経由、次は浅茅野への道道710へ。
北海道Tour18#6 2018/8/14(水) 仁宇布→浜鬼志別 北海道枝幸郡浜頓別町ポン仁達内 道道84・道道710分岐 - Spherical Image - RICOH THETA |
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牧草地と牧場とその間の森が、緩やかな丘にとともに広々と続いてゆく。道はそういう地形を無視して一直線に谷や丘を横断したり、俄然地形沿いに谷筋や丘の頂部に沿って曲がったりして続いてゆく。
時々、右側の霧と薄暗さで霞み気味の牧草地の向こう、クッチャロ湖の湖面が液体金属のようになんだか非現実的に、意外な近くに光って現れていた。左側の内陸側には低山が続いているはずだったが、低い雲で山裾の森から上は地形のボリュームが全く伺えない。
雨が一気に落ちてこないというだけの、ますます低く濃い雲の下、拡がる低地の緑は灰色の空と路面とともにほぼモノトーンであり、わずかな他の色を押しつぶしている。
こういう天気だと気温は低い。風もあまり強くない。何も今日みたいな天気が珍しい訳ではない。もともとこういう天気の日ばかりなので畑の作物が育たないから、道北オホーツク沿岸部は酪農が盛んになったのだ(という話をどこかで読んだ)。今日の天気は冴えなくても、過去の訪問時には晴れて爽やかな日もあった。雨っぽく風が強かったりする年もあり、まあそういうのを含めて北海道の旅なのである。
まあしかし、こう薄暗いと風景に鮮やかさが全く無く、少々気が滅入ることも確かなことではある。
記 2019/2/10
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