北海道Tour18#6
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仁宇布→上徳志別
(以上#6-1)
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雨がなかなか弱くならないので、いい加減しびれを切らし、9:20、上徳志別発。歌登の盆地では雨は上がるはずだ。
しかし、上徳志別とは8の字型盆地の南北関係にある北側の志美宇丹で、早くも雨が綺麗に上がってしまった。のみならず、道道120で数少ない自販機ポイントのバス停で雨具を脱いでいると、急に蒸し暑さが感じられ始めた。気温が上がり始めている。道北も北部まっただ中だというのに、20℃は越えているかもしれない。ひょっとして、これから急に天気が好転するかもしれない。
とは思ったものの、結局その後空が晴れることは無かった。
志美宇丹峠を下った歌登の盆地南端の辺毛内でも、道は乾いているものの雲は全体的に濃いのであった。
9:55、歌登着。とにかくセイコーマートへ。
しっかり朝食は食べたので簡単に、それでもいろいろ食べたり飲んだりする。道北ももうまっただ中、ここまで来れたという感覚が嬉しい。空を見上げてみると、内陸方面の空は、明らかに重い色で、その辺の山のすぐ上まで下がってきているように見える。今、ここ歌登では、なんとか保っているだけなのかもしれない。しかしどこへ行っても、こんな感じなのかもしれない。
歌登からは再び道道120で、標高230mの兵知安峠を越えて中頓別へ向かうのが、今日は都合が良い。その先まで含めて、一番静かな道で最短経路を経由できるからだ。それに私的道北縦貫道道の基幹をなす道道120、折角仁宇布から歌登まで下ってきたのだ。ここは更に中頓別まで辿りたい、という気持ち上の理由もある。
他の選択肢はどうか。道道12・小頓別・国道275の内陸側経路は、やや大回りだしここ2〜3年何度か使っている。道道12・枝幸・国道238の海岸沿い経路は、大分長い間使っていないし久しぶりならそう悪い選択でもないと思うものの、やはりやや大回りだし、好き嫌いで言えば道道120兵知安峠の方が断然好きだ。
必要性と空模様を勘案してみたつもりだが、結局は好き嫌いなのかもしれない。今日はこれ以上天気は悪くならないでほしい、というやや一方的なお願いを込めて、今日は兵知安峠へ向かうことに決定した。
その間、何だかこちらをずっとちらちら眺めているライダーに気付いていた。だって、話しかけたくて仕方無い雰囲気を全身で発散しているのである。新手のスタンド使いなら失格だ。そしてやっぱりそのうち、人が物を食べている真っ最中に話しかけてきて、聞きもしないのにオホーツク海沿岸の道の状況を話し始めた。行かねーよそんな方と思いつつ、適当にあしらっておく。私は旅人には意外と冷たい男である。地元のお婆さんお爺さん子供達は大好きなのだが。
10:15、歌登発。町の西側で道道120へ。
谷間の牧草地から茂みのような森へ次第に高度を上げ、谷のどん詰まり手前で一気に高度を上げ始める、典型的道北最北部の峠である。兵知安峠の標高は230m。丘のような高さだが、峠手前で斜度ががつんと上がる。また歌登・中頓別間は30kmとやや距離があり、毎回通過にはそれなりに時間がかかる。
更に峠周辺、特に中頓別側の山間には、意外な程の山深さが漂う。中頓別側に比べると穏当な歌登側でも、谷間両側の山が低いため「切り立った谷」というより「浅い谷」という印象が勝つものの、道の周囲を覆う森や茂みは山深くブキミだ。対岸の川岸にいつヒグマが現れても不思議じゃない気がしてならない。
11:00、兵知安峠通過。
今日のように雲が低く空が暗いと、中頓別側はまた一段と山深い。相変わらず山は低いのに、歌登側とは段違いに谷の狭さが迫ってくる。ずっと標高が高い、美深松山峠や西尾峠の上徳志別側より山深いのではないか、と思わせられる。
キタキツネなども路上に現れ、折しも空がますます暗くなって水滴などぱらつき始めると、何だか壮大に化かされているのではないかという気になってくる。とにかく、早く通り抜けてしまいたい。
谷間から放り出されるように兵知安の牧草地に出て、ほっとした。相変わらず雲が低く薄暗いものの、空間が一気に拡がる、静かな開放感が毎度感動的である。
兵知安で道道647が合流し、中頓別まで更に9km。
この間緩い下りではあるものの、なかなか辿り着かなくて毎回馬鹿にならない、道道120の最後の区間だ。
12:05、中頓別セイコーマート着。歌登から2時間かかっていない。仁宇布から歌登までは時間が掛かったし、上徳志別では疲れていると思っていたが、意外に普通ペースではないか。
時間はすっかりお昼。昼食的な物資をセイコーマートの軒下で食べながら国道275を眺めていると、山方面から降りてくるオートバイは全て完全雨具装備である。兵知安峠が雨じゃなくて助かった。国道275は道北の名峰敏音知の裾を通っているため、雨が降りやすいのかもしれない。
こういう状況だと、今日はもうこの後知駒峠などという選択肢は全く無く、終着鬼志別へ直行ということになる。オホーツク沿岸部で国道238経由とかじゃなくてずっと裏道経由だとしても、まあ直行と言っていい。ならばあと60kmぐらい。普通にずっと地道に脚を動かして浜鬼志別まで3時間。天気予報は浜頓別で15時枠が雨、猿払村はずっと曇りだったから、余裕で回避できるだろう。
時間に余裕があると思うと、何となく急に眠くなってきた。やはり疲れているのかもしれない。セイコーマートの軒先からぼうっと眺めていた国道275の反対側に、何と都合良く屋根付きのバス停小屋があるではないか。
早速小屋へ行って時刻表を見ると、次のバスまで2時間。これならバスのお客さんにも迷惑は掛からないだろうと思い、この際自転車を中へ入れさせていただく。扉を閉めれば、昼寝にこれ以上の場所は無い。
結局12:30〜12:50まで昼寝20分。どんなだったか起きたら忘れてしまったぐらいの軽い夢から覚めると、そこはすっきり爽やかな現実世界だった。
記 2019/2/10
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