北海道Tour18#2 2018/8/10(金)
民宿地平線の根釧台地130kmコース-1

開陽→武佐→川北→上春別→豊原→中西別→上風連 →別海→豊原→当幌→俣落→開陽 (以上#2-1)
(以下#2-2) 区間2 (以上#2-2)
(以下#2-3) 区間3 (以上#2-3)
127km ルートラボ

ニューサイ写真 RICOH GRⅡ GR18.3mm1:2.8 A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路
 
 

 4時に起きると、草に降る音が響いている程雨が降っていた。まあ、天気予報通りではある。この後も天気予報通りなら、中標津だけじゃなくて標津、別海もお昼前まで雨のはず。とりあえず、昨夜覚悟した通りに202kmコースは今年も運休だ。
 一度寝て起きると5時。何だか外が明るい。雨が止んでいる。何だよ、と思いながらまああまり期待せずに、それでも飯を食い始めてみた。途中で再び外を伺うと、やはり空は再びかなり薄暗くなり、雨が降っていた。油断と希望的観測は禁物だ。
 しかし天気予報では、お昼頃まで小雨が断続するものの、午後には雨が上がることになっている。予報誤差の範囲で現実が良い方に転べば、走れないことは無いような気もする。まあしかし、近年は天気予報の精度がかなり高いため、あまり都合の良い展開は期待できない。
 飯を食ったりいろいろ考察していると、自分で自分が東京の暑さでかなり疲れていることにも改めて気が付いた。何にしても、思い込み無しで目の前の現実を冷静に捉え、できることをして楽しめれば、それが一番いいのだ。折角いろいろ調整して北海道にやってきたのだから。

 雨は降っているし、202kmコースへ出発するにはもう遅い。しかし北海道Tour17秋では、朝食を食べてから開陽台に延べ2時間以上も滞在しつつ、写真撮り撮りののんびりペースで100kmぐらい走れている。もし雨が上がれば、昨日石川さんに伺った130kmコースを走ってみるのはどうか。10時までに出発できれば、202kmコースと同じぐらいのペースで走ってどうせ霧で見えない最後の開陽台を省略して、17時までに戻ることは十分可能だ。
 ならば今はできることをやっておこう。というわけで、PCで130kmコースをルートラボ化したところで7時前。7時からは朝食へ同席だけしてコーヒーを頂きつつ、徒歩のお客さんお二人、石川さんとお話ししていたら、8時半になって何だか空が明るくなってきた。狙い通りの展開だ。

 日帰り向きに荷物をまとめ自転車に積んで、9時半、開陽「民宿地平線」出発。

 RICOH GRⅡ GR18.3mm1:2.8
 

 根釧台地の北側、一番山裾の町道北19を東に向かう。まだ牧草地や森はかなりじとっと濡れているものの、雨上がり特有の微風が吹き始めていた。空気にも何だか軽さが感じられる。これなら多少降っても、あまり深刻なことにはならないだろうと思われた。
 しかし早くも武佐への下り手前から、再び空気は霧っぽく霞み始めて、重くなり、そして気温ががくっと下がった。明らかに天気が違う空気の中に突入したのだった。さすがはオホーツク海沿いの山裾、天気がすぐ変わる。まあ、出発してしまったのだし、当面はこのまま進もう。とりあえずまだ雨具の必要性までは感じられず、寒さ対策だけでフリースを着込んでおく。フリースで済ませる意味合いには、雨具が必要な事態にまではなって欲しくない、という希望が当然含まれている。

 しかし武佐への下り途中で、辺りは完全に濃い霧雨となった。遠景の視界どころか、100m先ぐらいが霞んですらいた。

 

 町道が武佐へ下りきる途中で、130kmコースは道道975へ分岐。台地上で20m下って登る程度の僅かな登りでも、辺りが開けているため視覚的には登りか下りかよくわからないために、脚に感じられる登り負荷がやや鬱陶しい。さっきコース序盤で100m下りだったので次の登りがしんどいし、弱い向かい風も脚が重いことの解りにくさやストレスを助長している。まだ10kmも走っていないこんなところでしんどいこと、そのこと自体に先が思いやられる。まあこういう現象は、人生の諸々と似ているのかもしれない。
 そんなことに苛ついている間に、そろそろ雨具を着ようかという程度に霧雨の密度が濃くなってきていた。というより、明らかにタイミングを逸しつつある。仕方が無い、牧草地に森、または道から建物がやや奥まった牧場ばかりで、自転車を立てかけるような場所すら見つからないのだ。

 

 中標津・標津町界で、道端にやっと納屋を発見。見覚えがあるというより、オホーツク海岸から開陽へ向かう時にこの道は何度か通っていて、その際の町界の目印にしていた牧場がここだ。幸か不幸か周辺には誰もいない。こういう機会に軒をお借りすることになるとは思わなかった。しかしあくまで勝手に一方的に、何だかこの道に少し親しめたような気になれた。
 納屋の中で上下にレインジャケットを着込む。さすが出発直前に純正撥水剤処理したばかり。なかなか通気が良く着心地が自然ながら、寒さも感じない。こういう日に大変心強い。

 

 川北は10年以上前には補給ポイントとして重宝していた。初訪問は1986年、初北海道ツーリング。民宿地平線に連泊してトドワラへ向かった時に、この辺りで一番栄えていそうなこの場所で休憩したのだ。
 交差点周辺、商店やA-COOPの並びは意外に賑やかである。あれからもう30年以上経ってしまったな、等と暑くてふらふらになったその日を思い出す。現実に戻ると、今日の川北は雨。お店の軒から自転車にぽたぽた水滴が垂れている。雨はいよいよ本降りに変わりつつあるものの、まだ出発したばかり。この先上春別、中西別とセイコーマートには不自由しない。何となく表敬訪問的に缶コーヒーを買い、お店の軒下で一気に飲み干し、とりあえずまだ先に進んでみることにした。

   RICOH GRⅡ GR18.3mm1:2.8

 130kmコースは川北から標津の低地へ進んでゆく。少しづつ標高を下げてゆくこの辺り、私的には東西方向に既済経路が何本かある。南北方向の道を訪問し始めたのは、ここ10年ぐらいのことだ。実はつい最近まで、私の持っていた「標津」「別海」の地形図は昭和50年代のもので、現在の道がことごとく未通だったために掲載されていなかった。そのため、この辺りのコースを決めるときに、いつも手っ取り早くわかりやすい何本かの道だけがイメージされたまま、詳細検討でもあまりその経路から大きく外れることが無かったのだ。私の場合、こういう現象は根釧台地全般でありがちだった。
 130kmコースは、202kmコースの外側を通っている。202kmコース、100kmコースの経路も、鬱蒼とした森や低湿地、のんびりした牧草地が続く標津らしい風景を楽しめた。こちらは牧草地がやや多めで、やや整った印象が感じられる。
 しかし、適度に現れるカーブと勢いで登ってしまえるぐらいの起伏による風景の変化は、100km~202kmの3コース共通の、この辺りの特徴だ。それは中標津特有の、牧草地に道と防風林が描く直交グリッドが、標津では道が曲がったり平行移動して、ややイレギュラーに崩れ始めるためであり、根釧台地がオホーツク海岸へ下ってゆく地形や、海岸に向かって太くなる川と河岸段丘が、道の線形の原因となっているように思われる。実際に道を通るとそんなことも体感できるということが理解でき、これらの道が酪農のためにあることも改めて気付かされる。

 

 雨が降り続いているので、中標津・標津町界からついつい地図交換をしていない。大きな川をやや立派な橋で渡った時の風景に過去の訪問を思い出し、現在位置も理解できた。確かここは標津川の河口付近。風景には標津到着の印象がある。そう言えば、朝ルートラボを組んだときにも、標津市街の手前を掠めるのだ等と思っていたな。内陸の農道を経由すると、川北から標津へは以外に近いのだ、と思った。

 
北海道Tour18#2 2018/8/10(金)民宿地平線の根釧台地130kmコース 標津町茶志骨にて - Spherical Image - RICOH THETA
   RICOH GRⅡ GR18.3mm1:2.8

 標津からもうしばらく南下が続いている。雨は時々強かったり弱かったり、基本的に本降りのまま推移していた。というより、次第に強くなっていた。お昼には止むはずの天気予報だったものの、現実は予報より悪化していて、今日はもう午後、或いは夕方前まで雨なのかもしれない。武佐の手前からずっと続いている西北の強い横風も、天気が不安定であるという印象を尚更強めていた。

 位置としては、もう茶志骨から上春別へ向かう区間である。何だか見覚えのある道と直交し、武佐から202kmコースの外側だった130kmコースが、この辺りで202kmコースを渡って内側に入ることを思い出した。この辺りから202kmが130kmの外側を大きく回り始める、つまり、130kmコースと202kmコースの差が出始める、そんな位置なのだ。
 しかし、なかなか上春別に着かない。私は上春別を何となく中標津のすぐ南みたいに思っている節があるが、こうして上春別へ向かってみるとやはりすぐ南という訳にはいかない。旧標津線では中標津・抜海の中間だったし、さすがは別海町に属するだけのことはある。

 周囲は標津の低地から再び根釧台地の内陸部に移行しているようで、道はイレギュラーなカーブ、小さな丘越えアップダウンとともに、やや迷走気味に南下してゆく。腹が減ってきた。上春別にはセイコーマートがあるのを昨日バスから確認した。上春別はまだなのか。と思いながら、雨の牧草地をとぼとぼと進んでゆく。
 雨は一向に弱くなる気配が無い。雲も相変わらず極端に低く、行く手は霞み気味で、まるで雲の中を進んでいるようだ。上春別で折り返すべきかもしれない。雨の中、そんなことを思い始めた所で気が付くと、前方の茂みの向こうに住宅が何軒か現れた。遠目にはまだ牧草地の集落っぽかった印象のその辺りに、近づくとともに意外にも急に小さな町の生活感が漂い始めた。
 10:45、やっと、そして唐突に上春別に到着したのだった。

 

 道道8を渡って逃げ込むようにセイコーマートへ。とりあえずびしょ濡れで水滴ぼとぼとの雨具上下を脱ぐ。ほっとしてカップ麺やらゆでトウキビやらを仕入れながら考えた。もうこの辺が潮時だ。ちょうどお昼で区切りはいい。もう今日は帰ってしまえ、どうやって帰るかは問題だが。それにしても今年の道東はひどいな。近年の天気を考えると意外なことでもないとは言え、もう商売上がったり状態だよ。
 とりあえず腹を満たそう。カップ麺にお湯を入れて軒下に出てきたら、なんとあんなにしつこく降り続きそうだった雨が弱く、いや、よく見たらすっかり止んでいる。流石に道路やその辺はまだぬらぬらのびしょ濡れだったが、空も少し明るくなり始めているぞ。
 時刻はお昼前。急に雨が上がったのは意外だったものの、気付いてみればきれいに天気予報通りの展開となっている。これなら走るべきだ。今帰ろうと決めたところだったが、先へ進もう。


 11:05、上春別発。道道8から西側の内陸へ。

 相変わらず霧雨が空気中に漂っているにも拘わらず、急に路面が乾き始めた。のみならず、防風林の陰には、完全に乾いている場所すらみられた。武佐からずっと続いている西北の風は強い。霧雨もかなり密である。木陰だから雨が当たらないということは考えにくい。道の乾き方から言えば、雨が降り始めたばかりか、或いはここだけずっと雨が止んでいるかのどっちかと思われる。まあ、過去には土砂降りの中半径100mぐらいの範囲で局地的に雨が止んでいるという状態を、根釧台地で見たことはある。

 西北の風は、概略南西向きの進行方向に対して横風気味だ。時々道の向きが変わって追い風気味になると、楽に30km/h巡航できて風を全く感じなくなる。かなり強い風だ。そして今のところは楽でも、この風向きのままだと、帰りにはそのまま向かい風となる。午後になって風が弱くなるとか、国道272の北側に行ったら風が弱くなるとか、そういう事態に期待するしかない。

 RICOH GRⅡ GR18.3mm1:2.8
 

 100kmコースでも通る豊原で、空気中の水滴が完全に消えた。100kmコース、130kmコースとも202kmコースの内側で、100kmコースは概略東西方向、130kmコースは南北方向に拡がっている。二つのコースの交差部分に位置する豊原はやや小規模の集落ながら、高いアンテナ的建造物や簡易郵便局、そして自販機が印象的であり、集落の人里っぽい佇まいや雰囲気が心に残る。幹線道道が無くて旧標津線沿いでもないのに、根釧台地中程にあってこういう集落は珍しい。豊原を両コースが通っているのは、自販機があるというだけでなく、それなりに理由があるのだ。
 130kmコースは南側で8の字を描いていて、豊原の南にその交叉部分がある。豊原は130kmコースの要所の一つなのである。

 

 12:55、中西別着。上春別から2時間かかった。根釧台地も内陸部まっただ中。景色の拡がりのみならず、地名が付いている場所の間隔が長いためか、移動していても時間の経過が早く感じられる。
 道道311~928で中西別をクランク通過するパターンは、昨夏を含めて近年比較的よく通っている。中西別は130kmコースの、というより別海北部の貴重なセイコーマートポイントだ。さっき上春別で休憩したばかりであまり買い込む必要は無いものの、折角のチャンスは逃す訳にはいかない。コーヒーととうきびを店の前でかき込んでおく。
 相変わらず雲はかなり低く、再び、道が濡れない程度の僅かな水滴が絶えず空気中に漂っていた。とうきびにかぶりつきながら店の前で眺めるのは、市街のやや鄙びた建物と時々車が通る国道243。もうすっかりツーリング中の、のんびりと寛いだ緩い気分になれていた。とうきびも甘くてぷちぷちと大変美味しい。

 13:05、中西別発。相変わらず雲は低く空に垂れ込め、辺りは薄暗い。ただ、空気中に漂っていた水滴は、殆ど消えていた。また、西北の風向きと道の向きが次第に揃って、横風~追い風の快調な行程に変わっていた。

 RICOH GRⅡ GR18.3mm1:2.8

 別寒辺牛の大森林手前、別海町内陸最深部と言っていいこの辺り。台地上の平面に続く道がコースに選ばれていて、行程は平坦基調で時々起伏がある程度だ。台地上には牧草地は広々と続けど、牧場はあまり見かけない。130kmコースは、牧草地と縁の森をかき分けてどんどん南下してゆく。最終的に202kmコースの手前まで南下するものの、202kmコースが脚を踏み入れる浜中町には、130kmコースは到達しない。さすがに202kmコースは、かなり外側に広く大きく回っているということも実感する。

 
北海道Tour18#2 2018/8/10(金)民宿地平線の根釧台地130kmコース 別海町上風連にて - Spherical Image - RICOH THETA

 南下区間の終端で、コースは折りすように再び東へ。やはり南北の既済経路に挟まれた、過去に通ったことが無い農道だ。
 ここまで台地上に続いてきた道の向きが直角に変わると、当然のように丘陵横断の連続となる。追い風気味だった西北の風も、道の向きが微妙に変わるとともに横風に変わり、やや進みにくい。そして、別寒辺牛の大森林に近づいているためか、空を覆う雲は更にどかっと低く、辺りは目に見えて暗くなってきた。
 とはいえもう別海も南部、地形が全体的になだらかになっていて、斜度もそう厳しくない。ややイレギュラーな地形に拡がる牧草地とグリッドを感じさせない一直線の道は、丘陵を横断しているというより、どこまでも拡がってゆく根釧台地のとてつもない広さが印象づけられる。

 石川さんの手書き地図には「農援隊」という文字があり、Googleマップではその場所が確認できなかったのだが、現地で確認することができた。牧場の名前のようだった。

 RICOH GRⅡ GR18.3mm1:2.8

 既知の道道123に直角に突き当たり、コースは北上し始める。道道123はかれこれ20年以上、根釧台地内陸の私的幹線である。北上するにつれ次第に台地全体の標高が上がり、低地の谷を横断するアップダウンは大きくなってゆく。

 少し北上した豊原で、再び雨が上がった。初めて訪れた頃に比べ、道道123の道幅、道沿いの牧場の建物は大分変わった。20年以上前にはまだ営業していた豊原の商店も、何年か前から自販機が置いてあるだけになっている。まあ根釧台地では、自販機がある場所自体がかなり限られるので、それだけでも有り難い。

 国道243を横断し、コースは道道123を離れて町道となり、再び西へ向かい始める。国道243の南側では多くの道が概略南北方向に通っていたが、北側では方向が45°ぐらい北西向きに変わる。また、道の南北方向直交グリッドが崩れ、ランダムなパターンとなる。130kmコースのこの辺りも、南北方向の道はけっこう通っているはずだが、地形図頼りだと毎回どこを通ったか覚えきれず、結局未済経路なのか何なのか解らない道が多い。目印に乏しく地形が平坦で道を把握しにくい上に、道がわかりやすいエリアが南北にあるため、尚更よくわからない印象が強いのだ。

 豊原では、さっき往路に通った道を横断。メーターの積算距離も90kmを超え、名実ともにコースは次第に後半へ推移してゆく。まとまった集落も無く、途中クランクから農道細道へ入り込んだりして、道に任せて進んでいると方向感覚が全く無くなってしまう。
 幸い100kmコースも130kmコースも、根釧台地内部のこういう訪れにくくも美味しいところをたっぷり味わえるようになっているのが、大変有り難いところだ。


3D地図

 雲は相変わらず低いものの、雲の下の空気は急に澄み始めてきた。やっと、もう雨の心配は無さそうな気になってきた。
 国道272の横断箇所では、町道と農道のクランクを国道が斜めに貫いている。その国道をショートカットせず、例え1~200mでも静かな道に拘って敢えて国道を通らないのが可笑しい。

 
北海道Tour18#2 2018/8/10(金)民宿地平線の根釧台地130kmコース 中標津町豊岡にて - Spherical Image - RICOH THETA

 国道272北側の防風林を通過すると、突如北側の山裾へ視界が開けた。眺めが広々としているのは、防風林の森をピークに、北側に少し落ち込む地形そのせいもあった。別海北部の平坦な台地が、中標津南部の谷に移行しつつあるのだった。今日は根釧台地を覆う雲は低く、標津岳や武佐岳は見えない。山裾の一番下っぽい場所までが何とか見える。山まで見渡せれば、かなりの展望ポイントだろう。この辺りにこんな場所があったとは。

 当幌まで小さい川の谷によるアップダウンが続いた。細道農道らしくまともに谷間を横断する直登は、ここまで出会うことが無かった急な坂だ。

   RICOH GRⅡ GR18.3mm1:2.8

 当幌でやっと道道13を横断する。「当幌」という地名にあまり馴染みは無いね、などと勝手に思っていたが、実は旧標津線標茶方面の、中標津の次が当幌なのだった。だから当幌は中標津近郊とも言える。
 空はさっきより大分明るくなってはいて、もうあまり雨の心配は無い。しかし、やはり空一杯に雲は広がっていて、その雲は決して高いとは言えない。
 道道13の交通量は、上春別の道道8辺りに匹敵するぐらいに多い。さすが旧標津線沿いの幹線道で、中標津に近いだけのことはある。しかし、当幌にはセイコーマートは無く、バス停と自販機以外に何か立ち寄れそうな場所は見当たらない。それでも何も無いより何かコース上の区切りであるような気がして、とりあえず休憩所風のバス停に入って少し缶コーヒーを飲み、パンを食べてみたりする。

 15:15、当幌発。
 道道13を渡って農道へ。道道150手前の北側山裾まで、コース全体としても後半大詰めの区間だ。牧草地と防風林が断続するのは根釧台地共通の風景なのだが、別海では緩やかな丘が延々と続き、道の行く手には果てしなさが感じられ、中標津の台地上は広々と安定した平面で、牧場が多いためか人里っぽく親しみやすい。

 

 山裾から南北方向に続く谷沿いに、130kmコースは時々段丘を下ったり登ったりクランク状に平行移動して、台地のグリッドとは無関係に向きを変えてゆく。台地上では、自分がいる場所が見渡す山裾へ続いていることが、雲が低い今日でさえよくわかる。そして、山裾が次第に近づいてきて、北上していることがよく理解できる。これで武佐岳や標津岳、西別岳が見えたら気分が良いだろう。手描き地図のこの辺にも「絶景」と書いてあったのを思い出す。
 行こうと思わないとなかなか経路に選びにくい、しかも眺めの良い道が選ばれているのは石川さんの手による3コース共通の特徴だ。そして、山裾への風景を眺めながら山裾へ向かうことができるのは、この130kmコースの大きな特徴かもしれない。

 中標津市街から開陽辺りまでの距離に相当するだけあり、当幌から俣落まではやや距離が感じられた。根釧台地の距離感覚は、通ってみないとなかなか把握しにくいとつくづく思う。
 道端の牧場に「JAまたおち」の文字が見え始める辺りから、コースは西向き北向きを交互に繰り返してゆく。牧草地の道が延々と続いてはいても、直交グリッドをジグザグに辿ってゆく感覚は、別海辺りで感じられた、「迷走する道を辿って狙い定めて次の道を選ぶ」という感覚とは全く違う。

 RICOH GRⅡ GR18.3mm1:2.8

 段丘沿いの静かな細道から、山裾近くの既知の町道に合流して、コースはいよいよ東へ。開陽までもう10kmぐらい、最後の区間だ。

 町道北19の、開陽台分岐前の見晴らしポイントで根釧台地を見渡してみる。

 RICOH GRⅡ GR18.3mm1:2.8
 
北海道Tour18#2 2018/8/10(金)民宿地平線の根釧台地130kmコース 中標津町開陽にて - Spherical Image - RICOH THETA

 1時間前に比べると雨雲はもうかなり高くなっていて、遠景が見渡せる程になっていた。しかし、空はやや暗い。開陽台からは、根釧台地を見渡すことはできるだろう。晴れの日より、こういう曇りの日の方が遠景がくっきり見えることは少なくない。しかし、低い雲の下に一日身を置いた後で、この期に及んで薄暗い曇り空の開陽台に向かう気にはなれない。もう今日は宿へ帰ってしまおう。
 折角の開陽台を前にこんなことを思うのは、思えば去年の秋、快晴で最高の開陽台を楽しめたことも大きな理由かもしれない。

 RICOH GRⅡ GR18.3mm1:2.8

 16:20、民宿地平線着。
 開陽台往復約3kmを省略して127km、9時半に出発して気軽に7時間。途中雨宿りやセイコーマート休憩もしている。自転車向きのお手頃ボリュームだ。それでいて、特に後半90km過ぎから展望ポイントが多い。また、同じく中後半の細道に小坂が変化を付けてくれる。コースの起承転結が見事だ。
 到着後はすぐに町営温泉へ。何となく脚を回している内に時間が過ぎたような気はしていても、1日走ると流石に汗はかいている。走った後のひとっ風呂が大変心地よい。

 明日の天気予報も1日中雨。宿は札友内「鱒や」なので、最短なら50kmちょっと。どうせ1日雨なら、雨が弱くなった所を見計らって出発しよう。或いは午前中ずっと様子見しても、16時までには到着できる。
 などとこの時既に、翌日の雨運休を覚悟してはいた。

記 2018/12/9

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Last Update 2019/3/3
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