浜頓別→(町道・農道他)ウソタン→(道道586)下頓別
→(国道275)中頓別→(道道120)兵知安
→(道道647)上頓別→(国道275)小頓別
(以上#9-1)
→(道道12)毛登別→(道道764)本幌別
→(道道220・道道12)歌登
(以上#9-2)
→(道道120他)仁宇布
124km
RIDE WITH GPS
歌登から数km続く平野では、朝の低かった雲が去り、雲がやや高く、明るくなってきていた。そして空気はここまでより明らかにからっと乾いていた。
歌登の平地は辺毛内で終了、志美宇丹峠への短い登りに移行する。谷間が狭くなると低い雲がやってきて、空気中に水滴が何となくぱらつき始めた。以前辺毛内の健康回復村うたのぼりグリーンパークホテルで泊まったとき、「歌登が晴れでもこの辺は雷雨なことも多いんです」と教えて貰ったことを思い出す。しかしやはり、空の明るさは朝の中頓別・上頓別辺りとはもう次元が変わっている。とりあえず希望は持てていた。
結局、志美宇丹峠を越えると、再び空気中の水滴は消えた。
志美宇丹では山間に再び広々と牧草地が拡がる。かなり広々とした歌登とはまた空間のスケールが違って、山に囲まれた盆地の、何とは無しの安心感を伴う拡がりが居心地が良い。盆地の形が赤塚不二夫のお巡りさんの目のような関係にある上徳志別とペアで、私の道北でのハイライトとなっている。
さて、志美宇丹の脇道へ脚を向けるチャンスだ。しかし、西側のオフンから100mぐらいの小山を越えて上徳志別へ降りる道には興味はあったものの、さっきの曇りを見た後ではどうせ急に雨になるんじゃないかという心配があり、峠への密な茂みを前にして何となく熊が怖くなっていた。
というわけで、お手軽に盆地東側、黒単線含みの牧草地の道に向かうことにした。
開けた広々と開けた牧草地の丘を登ってゆく道は、地形図上で黒単線なだけあり巾6〜4mぐらい、細目の道だ。牧草地の中に続いてはいてもやや高い茂みに囲まれていて、その茂みに囲まれたやや閉ざされた空間に、途中牝鹿が仁王立ちしていた。極めつけは、道のど真ん中にヒグマの糞がこんもり。それも一昨昨日札久留峠でみかけたようなかなり巨大なものが、ほんとに道のど真ん中に鎮座していた。早々に、ここは外様が興味本位で踏み込むような道ではないのだ、と理解できた。道道120、坂は緩くても毎年通ってはいても、やはり侮れない山奥の道なのだ。
道道120から40mぐらい登った頂部で開けた牧草地からの展望は、それだけになかなか感動的だった。緩斜面に拡がる草原、その向こうに小山がぽこぽこ並び、まさにこの谷間の空間感覚。お天気が快晴なら、尚良かったかもしれない。また来るかどうかはわからないが。
日差しは再びやや薄くなり始めていた。一旦谷間はやや狭くなって、赤塚不二夫のお巡りさんの目のくびれ部分、風烈布へ向かう道道1023との分岐を過ぎ、徳志別川沿いに緩登りを開始。再び谷間が拡がって上徳志別へ。
同じ盆地とは言え、拡がりの中にやや起伏がある志美宇丹と打って変わって、上徳志別はほぼ完全に平坦な盆地となっている。ただ、何故かこちらの方が人口密度が少なく、ほぼ一面が牧草地と牧場だ。
途中の元校舎っぽい建物が印象的な上徳ツーリストキャンプ場では、以前見かけたはずの看板が無かった。中に車は2台停まっていたものの、もう営業を辞めてしまったのかもしれない。テントは無くても校舎には泊まれそうだったので、一度セイコーマートで一杯買い込んで泊まったら楽しそうだなと思っていたのだが。
上徳志別の外れから大曲へは40mひと登り。
早速雲は低く空はやや暗くなり始め、これから仁宇布への本格的山間区間が始まるのだ、という気にさせられる。
そして軽い坂を登っている途中でやはりぱらぱらと軽い雨が降ってきた。しかし路面の色が変わるということは無く、服が濡れるという事態にも陥る事はない。
登りは下りに比べてペースが半分かそれ以下であるにも関わらず、何故か体感通過時間は1.5倍とか、せいぜいそんなもんである。徳志別川を渡って、森に入って、丘に登って炭焼き小屋。記憶と目の前に現れる風景を照合しつつ、低い雲の不気味さを紛らわして進んでゆくのは、実は雨が降るまでのツーリング的楽みなのかもしれない。
そして何とか首の皮一枚で雨が降らなければ、なんだか自分でその危機を乗り越えられたような気になって嬉しくなるのだ。
懐かしい道北スーパー林道との分岐の先は織姫橋休憩所。ここで少しクロワッサンを食べておくことにする。道北スーパー林道方面に時々バイクの音が響いていて、2002年の訪問を未だに思い出させてくれる。空気中の水分はやや増していたものの、見渡す周囲の山々は済んでいる。どうぞこのまま、雨にならずに保って欲しい、お天気様。
天の川トンネルに入ればしばし雨からは避難できる。そしてトンネルの向こうでは、雨はとりあえず全く降っていなかった。少し助かった気になった。
トンネルの手前は徳志別川の谷間、向こうはフーレップ川の谷間。トンネル両側で標高差はほとんど無く、再び西尾峠へ約8km標高差200m足らず、緩急ある緩登りがだらだら続いてゆく。
▼動画11秒 毎年なれなれしくなって遂に併走するようになった道道120のキタキツネ
狭い谷間にずっと美幸線未成線が並行するだけあり、坂に弱い国鉄気動車向きの峠と言える。
最後の稜線部分がまたやや高原上の地形で、だまし峠っぽいピークと登り返し付きだ。こちらは地形図で標高を把握しているし、そもそももう何度も欺されているので、さすがにもう欺されない。
全体として今日は薄暗い空の下、茂みが全体的に圧迫してきてやや不気味で怖い印象の西尾峠越えだった。朝に毛登別であんな熊の看板を見たからかもしれない。それにしても、傑作の看板だったな。
西尾峠より少しだけ雲が高くて空が明るい仁宇布の牧草地も、やっぱり相変わらず曇りである。
しかしここまで自走で来れて、大変嬉しい。雨の不安に負けないで良かった、そんな気になれている。
嬉しくて畑や牧草地の写真を撮り撮りのんびりしていると、ぱらぱらっと弱い雨がぱらついて止んだ。今日は早く「ファームイントント」で酔っぱらうことにしよう。
15:10、仁宇布着。
▼動画30秒 仁宇布のソバ畑
更に写真を撮り撮り、15:30、「ファームイントント」着。
トロッコには十分間に合う時間だが、早めにお風呂に入らせていただき、1階の食堂で念願のビールに。この風景を眺めるのが楽しみでここまでやって来れたようなものだ。曇りでも文句は言うまい。などと思いながら明るいうちから酔っ払って道北山間の牧草地を眺める、最高に豊かで幸せな旅のひとときである。
明日の天気は夕方18時から雨。そして明後日へ向けて大雨になるらしい。仁宇布から大村へは、毎年朝食を頂いて普通に走って、18時前に確実に大村「美瑛ポテトの丘YH」には着けている。しかし、予報の雨が早まらないという保証は無い。それにおれは去年の旭川盆地のゲリラ豪雨をまだ忘れてはいないぞ。
何にしても明日の朝は少なくとも自走で出発できるだろう。天気の雰囲気次第では、昨年同様サンルダム・下川・岩尾内湖・於鬼登峠経由で旭川盆地に向かいたい。しかし途中で雨が降りそうなら、途中からの輪行を視野に入れて美深・幌加内経由で旭川へ向かう方がいい。どっちにしても多分明後日は大雨だから、明後日のYHから旭川空港へは、明日夕方時点の天気予報により自走かタクシーかを考える必要がある。
などと思いつつ、夕食のジンギスカンをお腹いっぱい食べて更に気分良く酔っぱらう、9日目の夜なのだった。
記 2017/2/20
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