浜頓別→(町道・農道他)ウソタン→(道道586)下頓別
→(国道275)中頓別→(道道120)兵知安
→(道道647)上頓別→(国道275)小頓別
(以上#9-1)
(以下#9-2)
→(道道12)毛登別→(道道764)本幌別
→(道道220・道道12)歌登
(以上#9-2)
(以下#9-3)
→(道道120他)仁宇布
(以上#9-3)
(以下#9-4)
→(道道120他)仁宇布
124km
ルートラボ
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4時の段階で天気予報は昨夜と変わらず。浜頓別町、中頓別町で9時だけ雨、降水量は0mm。そして夜明けの空は意外に明るい。これなら今日のコースだとあまり山奥には踏み込まないので、多少降っても雨具で凌ぎ切れる。
5時に再び外を伺うと、予想以上に雲は厚くなっていた。雲は全体的にそれほど低くはないようでもある。どうせ行かない予定の知駒峠は、行ってもやはり霧の中か、山裾から雨になるだろう。やはり知駒峠が気になるのだと、我ながら思う。
荷積みに外へ出ると、やはり雲は低い。まだ雨は降っていないものの、何時降り始めてもおかしくはない雰囲気だ。天気は雨に向かいつつあるのかもしれない。少なくとも、予定が劇的にいい方に変わることは無さそうだ。
5:50、「トシカの宿」発。町中の自販機でコーヒーを飲み、何とは無しにセイコーマートにもう一度立ち寄っておく。国電区間各駅停車のようなあまりしゃきっとしない出発だ。
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6:15、浜頓別発。まずは町の南、山裾の道道586を目指す。毎年のように訪れる浜頓別なれど、町中から直接南下するこのパターンは初めてだ。
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町から出て台地の縁の牧草地で、雨がほんの少しぱらつき始めた。9時から雨にしちゃ少し早い。雨はほんの少しで、まだ路面は乾いている。山々はまだクリアだ。しかし一昨昨日の滝上では、本降りが始まるときに急に山が霞み始めた。今山がクリアに見えても、気休めにしかならない。
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台地から降り、頓別川の谷間を横切り、谷間の南端の山裾で道道586へ合流し、ウソタンから下頓別へ向かう。
山裾なので片側は茂みのような森、もう片側は牧草地やら牧場やら茂みやらという風景が続く。
浜頓別と言えば丘陵に波打つ牧草地や、クッチャロ湖の物寂しい湖岸の風景が印象的だ。ここ頓別川の谷間は、各方面からの主要アクセス国道から離れていることもあり、浜頓別という地名と紐付けられた風景としての印象はやや薄い。今日のような薄暗いどんより雲の下では、緑の彩度が下がって尚更だ。道道586そのものが、いつ通ったのかあまり覚えていない。以前何度か通っていることは確かである。比較的時間の余裕があるときだとは思う。
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今日もかなり余裕がある行程だ。時間があると思っていると、身体を動かすのがやや億劫だ。温泉ホテルが続いたので、或いは湯当たりなのかもしれない。とにかく天気が冴えなくてまだ薄暗く、訪問そのものとか土地の味わいに気持ちが向いていかない。
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浜頓別から路面はずっと乾いているものの、雲はかなり低い。そして天気予報では9時には雨が降ることになっている。いずれ遅かれ早かれどこかで降り始めるのだろう。しかし、山裾でずっと感じられていた空気中の水滴は、道道586が山裾を離れるとすっと消え始め、下頓別で国道275に合流して集落を出ると完全に消えた。
国道275は寿の山裾乗り上げ区間へ。何でこんな所で山裾へ乗り上げてまた下るのか、一見あまり意味が無い登りだ。自転車ではペースが落ちて気が急く程度の2〜30m程度の登り下りなのに、トンネルまである。実は昔ここで頓別川が時々氾濫していたとか、ちゃんとこんな経路を辿る理由はあるのかもしれない。
何かとややネガティブな脳内活動が先行する、薄暗い朝なのだった。
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7:20、中頓別着。浜頓別から1時間強。ややだらだらしすぎかもしれない。しかし今日先を急ぐ必要は無い。どうせどこかで降られるんだし、ここには道北最大の私的拠点的セイコーマートがある。寄っていかねば。
早朝に朝食済なので、またもやコーヒーに少々物資を仕入れる間、一度止んでいた雨がまたぱらつき始めた。これから山裾、そして狭い谷間を通過することになるし、今現在の段階で、かなり遠くの山々が霞み始めている。霞んでいるのはかなり遠くなので、まだ雨がすぐに降り始めることは無いとは思う。しかしそろそろ降られるのかもしれない。
7:45、中頓別発。
道道120への分岐には「開通」と表示された看板が建っていた。えっ、と思った。何故なら、今回コース計画の段階で、道道120の中頓別・歌登間兵知安峠は通行止めという情報を得ていたからだ。看板をよく見ると、「除雪情報」である。どちらにしても今日は雨だし歌登へ急ぐ必要は無いので、わざわざ雨が強まりそうで熊も出そうな兵知安峠へ向かう選択は無いと思うものの、兵知安の峠入口で情報収集はしておきたい。
などと除雪情報の看板に惑わされる一方で、道道120へ曲がった途端、まるで空気中の湿度が高まるように水滴が空気中に漂い始めた。道が山裾方面へ向かっているからだ。ああ、こういう感じで雨に替わってゆくのか今日は、と思った。
雨具を着込もうと思って適当な場所を探して進む少しの間に、雨は本降りに替わった。しかしまだ空は明るい。天気予報でも降水量は0mmだったし、まだ9時じゃないから、これから雨は更に強く降るのかもしれない。ならば、音威子府に向かう選択はあり得るのかも知れない。今年も音威子府から輪行なのか。
道道120と道道647の分岐手前で、道路情報の電光掲示板が登場した。「通行止め」の文字がはっきり読める。やはり兵知安峠は通行止めなのだ。まあこれだと事前の情報通り。予定通りなので悔しくもない。
兵知安峠へ向かう道道120から分かれて、道道647はやはりそう広くない谷間を遡ってゆく。
谷間には牧場に森が断続、製材工場もある。中頓別から国道272の上頓別へは、美峰ピンネシリの西側を大きく回ってゆく国道272より、東回りの道道120・647経由の方が距離が短いのが面白い。
こういう場合、途中にやや厳しい峠があるのが普通だ。しかし、道道647のピークは国道272との再合流地点上頓別のすぐ手前、標高差で30mほど高いだけだ。峠というより地形の縁を乗り越える、そんなイメージに近い。それなのにこちらがメインの国道にならないのは集落が少ないためだと思われる。集落が少ないのにも何か理由があるのだろう。或いは川の砂金の採れる量とか、そんな理由なのかもしれない。
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脳内活動も活発なのだが、緩い登りでは、ここまでなかなか動かなかった身体が意外に快調だった。もちろんペースはがくっと落ちているものの、緩い斜度で身体に掛かる負荷が不快ではない。静かな谷間を少し進むと、空が大分暗くなってきた。調子に乗って兵知安峠に進むような事態にならずに済んで良かった。まあ向こうへ行ったとしても、空がこれだけ暗いと引き返すだろう。
上頓別で国道275へ合流。
国道は秋田の集落上手を乗り越え、また集落の向こう側で谷間に下る。国道は自転車ツーリストのことを考えて造ってないのか。まあそうなんだろうな。交通量的にほぼ皆無の自転車に合わせて登り下りを少なく造ったら、税金の無駄遣いであると、わかってはいますよ。
などととぼとぼと進む国道275区間はそう長くない。秋田を過ぎて畑が切れ、森と茂みが少し続いて、おもむろに小頓別の外れに到着。歌登へ向かう道道12の分岐も現れた。
9:10、小頓別着。
郵便局前に自販機を発見。少しというかまたもやここでコーヒー休憩、と、急に雨が強くなってきた。少しここで雨宿りすることにした。というより、雨の様子を伺いつつ身の振り方を考える場所に来ていた。
音威子府へ向かうなら、このまま国道275で音威子府に向かうのが最短経路である。今まさに9時過ぎ。天気予報の雨の時間帯そのままだ。予報ではこの後雨が上がるし、このまま音威子府に向かうと、美深着が早すぎる。もし音威子府へ向かうとしても、決断を先延ばしにしても決して遅くはない。まあ今音威子府に行っちゃって、何年か前みたいに天塩川温泉に入ってもいいんだが。
それより、今は目の前に未済経路がある。小頓別から歌登へ向かう道道12と、咲来峠から歌登へ向かう道道220の間を繋ぐ道道764だ。道道12・220とも天塩川・頓別川(というよりJR宗谷本線・元天北線)の谷間と歌登を効率良く結ぶ道であり、わざわざ道道764を通る機会が今まで無かったのだ。できれば晴れの日に通りたかった道だが、晴れの日は順調に効率の良い道で長距離コースで行くため、こういう道は通りにくい傾向がある。
その道道764で、本幌別へ向かい、道道220で咲来峠を越えて音威子府に向かうかどうかを判断しても、音威子府着が遅すぎることは無い。もっと言えば、その先道道120で仁宇布に向かい始める歌登でも、まだ最後の判断は可能と言えば可能だ。それにこのまま道道12で歌登へ直行すると、歌登は多分10時前。いくらなんでも早すぎる。
道道764経由本幌別は、今現在できることの選択としては悪くないように思われた。これでいこう。
地図交換やらおにぎりやらで15分ぐらい経っても、雨はなかなか弱まらない。出発してしまおう。
さっきの道道647同様地形の縁を乗り越えるような小さいピークを越え、山の向こう側へ出た途端、雨が面白いようにすっと上がった。というか、何とは無しに空が明るく、空気が明らかに乾き始めている。路面はまだ黒々ぬらぬらしているものの、もうこちら側では雨は上がりつつあるのであった。
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少し下った毛登別で、長年懸案の未済の道道764へ。
70mの小さな峠というか丘越えは、ずっと地図で眺めて想像していた通り、丘陵横断にありがちな斜度やや厳しめの坂だ。
しかし、途中の熊注意看板の、大変恐ろしいヒグマの表情は、ここまでヒグマにおびえながら毎日過ごしてきた私の恐怖を更に高める傑作だった。浜頓別のオホーツク自転車道ですら熊出没情報で立入禁止になるこの道北の、しかも山間。確かに、いつ熊が出ても不思議は無い。しかも出没日は8/2、わずか2週間前。交通量が極端に少ないこの道での目撃日が2週間前なのだから、毎日どこかに熊がいるという解釈が自然である。おとなしく音威子府に向かった方が良かったかな、と少し思った。
どきどきしながら斜度やや厳しめの峠を越えると、ポールンベツの谷間が開けた。
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不思議な地名の谷間には、やや狭くも穏やかな表情の牧草地と森が拡がっていた。谷間が少し拡がるに連れ、道端には牧場が点在し、人里の香りが漂い始めた。やはり晴れの日の風景を見てみたい気分になる。
雨が再びぱらつき始めていたが、低い雲は動き始めていた。谷間の町道をこのまま下ると、歌登へ向かう道道12に合流するものの、もうあまり雨にも勢いは無さそうだ。くるっと折り返して道道764を継続、もうひとつ丘越え込みで本幌別へ向かうとする。
ぐっと細くなった道端の、牧場が何とも愛らしい。本幌別を目指しつつ「ポールンベツ」の地名看板を見ると、「本幌別」と「ポールンベツ」の音が似ているように思えてきた。あるいは本幌別という地名は、ポールンベツに漢字を振ったものなのかもしれない。
2つめの丘越えも40m程の小さな丘ながら、斜度はやはりぐいぐいっと厳しめだ。朝っぱらからギヤをインナーに落として汗だくになってしまった。
本幌別は歌登へ続く盆地の一番西側にある。牧草地が拡がる谷間の、集落はその南側山裾にかたまっている。本来集落の中を通っていた、咲来峠から歌登へ下ってゆく道道220は、数年前に集落の外側に経路変更されている。本幌別は大きな集落ではないし、今日は行程にかなり余裕があるので、懐かしい旧道へ脚を向けてみた。小学校の脇を通る旧道は、静かで優しく人なつこい表情である。そして森の中へ伸びてゆくペヤマン林道は、相変わらずダートのままだった。まあここが舗装される日は来ないのだろう。
音威子府へ向かうなら、今ここ本幌別が潮時として区切りがいい。この先歌登へ向かってしまうと、音威子府に行くには小頓別か咲来のどっち経由にしても、浜頓別からここまでやってきた経路に対して何らか逆戻りが発生する。
しかし、空は明らかに明るくなり始めている。今日はこのまま歌登まで行ってしまってもいいんじゃないか。
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期待に反して本幌別の先から再び雨が降り始め、約10kmの平地緩下りの間弱い雨が続いた。
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時々渡る小さな川はことごとく、今にも川幅から溢れ出しそうに濁流が迸っていた。また、牧草地では草地の中に水たまりがみられた。大雨の影響はかなり大きいようだ。思えば一昨日宗谷本線も停まった程の大雨だ。近年、北海道への往復に飛行機を使っているので、特にツーリングの最中はあまり道内の鉄道状況は気にしていない。しかし、もしこれが鉄道頼りなら、走っていても気が気で仕方無いぐらいの事態なのだろうな。
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しかし雨にもう迫力は無かった。案の状、雨は歌登の手前ですっと止み、雲が開け始め、急に空が明るくなり始めた。
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空の明るさに、もうこれからは雨が止むのだろうという希望が持てた。これなら予報通りだし、今後も天気予報通り曇りで推移し、問題無く仁宇布まで行けるのかもしれない。
10:50、歌登着。
セイコーマート休憩中、空はどんどん晴れてきた。歌登が晴れでも、これから向かうのは無人の山中。この晴れは割り引いて考える必要はある。しかし、それでもこの先、午後の予報が雨になっている場所は無い。ここまでずっと考えてきたように、今が音威子府に向かう最後の分かれ道だが、もう撤退を考える必要は無いだろう。
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仁宇布まで道道120だけだとすると、時間の余裕はありすぎる。歌登15時発で普通に走って仁宇布着17時だった年もあったぐらいなのだ。しかし、もう少し何かできないかと思っても、仁宇布までは1本道。途中大技的な回り道は無い。まあこれぐらいが、余裕たっぷりでいいのかもしれないし、志美宇丹か上徳志別辺りで脇道の寄り道でもしてみるか。
余裕がありすぎると思うと、ついついだらだらしてしまうのは毎度の話。セイコーマートには50分もいた。11:40、歌登発。
歌登から数km続く平野では、朝の低かった雲が去り、雲がやや高く、明るくなってきていた。そして空気はここまでより明らかにからっと乾いていた。
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歌登の平地は辺毛内で終了、志美宇丹峠への短い登りに移行する。谷間が狭くなると低い雲がやってきて、空気中に水滴が何となくぱらつき始めた。以前辺毛内の健康回復村うたのぼりグリーンパークホテルで泊まったとき、「歌登が晴れでもこの辺は雷雨なことも多いんです」と教えて貰ったことを思い出す。しかしやはり、空の明るさは朝の中頓別・上頓別辺りとはもう次元が変わっている。とりあえず希望は持てていた。
結局、志美宇丹峠を越えると、再び空気中の水滴は消えた。
志美宇丹では山間に再び広々と牧草地が拡がる。かなり広々とした歌登とはまた空間のスケールが違って、山に囲まれた盆地の、何とは無しの安心感を伴う拡がりが居心地が良い。盆地の形が赤塚不二夫のお巡りさんの目のような関係にある上徳志別とペアで、私の道北でのハイライトとなっている。
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さて、志美宇丹の脇道へ脚を向けるチャンスだ。しかし、西側のオフンから100mぐらいの小山を越えて上徳志別へ降りる道には興味はあったものの、さっきの曇りを見た後ではどうせ急に雨になるんじゃないかという心配があり、峠への密な茂みを前にして何となく熊が怖くなっていた。
というわけで、お手軽に盆地東側、黒単線含みの牧草地の道に向かうことにした。
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開けた広々と開けた牧草地の丘を登ってゆく道は、地形図上で黒単線なだけあり巾6〜4mぐらい、細目の道だ。牧草地の中に続いてはいてもやや高い茂みに囲まれていて、その茂みに囲まれたやや閉ざされた空間に、途中牝鹿が仁王立ちしていた。極めつけは、道のど真ん中にヒグマの糞がこんもり。それも一昨昨日札久留峠でみかけたようなかなり巨大なものが、ほんとに道のど真ん中に鎮座していた。早々に、ここは外様が興味本位で踏み込むような道ではないのだ、と理解できた。道道120、坂は緩くても毎年通ってはいても、やはり侮れない山奥の道なのだ。
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道道120から40mぐらい登った頂部で開けた牧草地からの展望は、それだけになかなか感動的だった。緩斜面に拡がる草原、その向こうに小山がぽこぽこ並び、まさにこの谷間の空間感覚。お天気が快晴なら、尚良かったかもしれない。また来るかどうかはわからないが。
日差しは再びやや薄くなり始めていた。一旦谷間はやや狭くなって、赤塚不二夫のお巡りさんの目のくびれ部分、風烈布へ向かう道道1023との分岐を過ぎ、徳志別川沿いに緩登りを開始。再び谷間が拡がって上徳志別へ。
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同じ盆地とは言え、拡がりの中にやや起伏がある志美宇丹と打って変わって、上徳志別はほぼ完全に平坦な盆地となっている。ただ、何故かこちらの方が人口密度が少なく、ほぼ一面が牧草地と牧場だ。
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途中の元校舎っぽい建物が印象的な上徳ツーリストキャンプ場では、以前見かけたはずの看板が無かった。中に車は2台停まっていたものの、もう営業を辞めてしまったのかもしれない。テントは無くても校舎には泊まれそうだったので、一度セイコーマートで一杯買い込んで泊まったら楽しそうだなと思っていたのだが。
上徳志別の外れから大曲へは40mひと登り。
早速雲は低く空はやや暗くなり始め、これから仁宇布への本格的山間区間が始まるのだ、という気にさせられる。
そして軽い坂を登っている途中でやはりぱらぱらと軽い雨が降ってきた。しかし路面の色が変わるということは無く、服が濡れるという事態にも陥る事はない。
登りは下りに比べてペースが半分かそれ以下であるにも関わらず、何故か体感通過時間は1.5倍とか、せいぜいそんなもんである。徳志別川を渡って、森に入って、丘に登って炭焼き小屋。記憶と目の前に現れる風景を照合しつつ、低い雲の不気味さを紛らわして進んでゆくのは、実は雨が降るまでのツーリング的楽みなのかもしれない。
そして何とか首の皮一枚で雨が降らなければ、なんだか自分でその危機を乗り越えられたような気になって嬉しくなるのだ。
懐かしい道北スーパー林道との分岐の先は織姫橋休憩所。ここで少しクロワッサンを食べておくことにする。道北スーパー林道方面に時々バイクの音が響いていて、2002年の訪問を未だに思い出させてくれる。空気中の水分はやや増していたものの、見渡す周囲の山々は済んでいる。どうぞこのまま、雨にならずに保って欲しい、お天気様。
天の川トンネルに入ればしばし雨からは避難できる。そしてトンネルの向こうでは、雨はとりあえず全く降っていなかった。少し助かった気になった。
トンネルの手前は徳志別川の谷間、向こうはフーレップ川の谷間。トンネル両側で標高差はほとんど無く、再び西尾峠へ約8km標高差200m足らず、緩急ある緩登りがだらだら続いてゆく。
狭い谷間にずっと美幸線未成線が並行するだけあり、坂に弱い国鉄気動車向きの峠と言える。
最後の稜線部分がまたやや高原上の地形で、だまし峠っぽいピークと登り返し付きだ。こちらは地形図で標高を把握しているし、そもそももう何度も欺されているので、さすがにもう欺されない。
全体として今日は薄暗い空の下、茂みが全体的に圧迫してきてやや不気味で怖い印象の西尾峠越えだった。朝に毛登別であんな熊の看板を見たからかもしれない。それにしても、傑作の看板だったな。
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西尾峠より少しだけ雲が高くて空が明るい仁宇布の牧草地も、やっぱり相変わらず曇りである。
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しかしここまで自走で来れて、大変嬉しい。雨の不安に負けないで良かった、そんな気になれている。
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嬉しくて畑や牧草地の写真を撮り撮りのんびりしていると、ぱらぱらっと弱い雨がぱらついて止んだ。今日は早く「ファームイントント」で酔っぱらうことにしよう。
15:10、仁宇布着。
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更に写真を撮り撮り、15:30、「ファームイントント」着。
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トロッコには十分間に合う時間だが、早めにお風呂に入らせていただき、1階の食堂で念願のビールに。この風景を眺めるのが楽しみでここまでやって来れたようなものだ。曇りでも文句は言うまい。などと思いながら明るいうちから酔っ払って道北山間の牧草地を眺める、最高に豊かで幸せな旅のひとときである。
明日の天気は夕方18時から雨。そして明後日へ向けて大雨になるらしい。仁宇布から大村へは、毎年朝食を頂いて普通に走って、18時前に確実に大村「美瑛ポテトの丘YH」には着けている。しかし、予報の雨が早まらないという保証は無い。それにおれは去年の旭川盆地のゲリラ豪雨をまだ忘れてはいないぞ。
何にしても明日の朝は少なくとも自走で出発できるだろう。天気の雰囲気次第では、昨年同様サンルダム・下川・岩尾内湖・於鬼登峠経由で旭川盆地に向かいたい。しかし途中で雨が降りそうなら、途中からの輪行を視野に入れて美深・幌加内経由で旭川へ向かう方がいい。どっちにしても多分明後日は大雨だから、明後日のYHから旭川空港へは、明日夕方時点の天気予報により自走かタクシーかを考える必要がある。
などと思いつつ、夕食のジンギスカンをお腹いっぱい食べて更に気分良く酔っぱらう、9日目の夜なのだった。
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記 2017/2/20
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