チミケップ湖→(道道494)日の出
(以上#6-1)
→(町道・農道)相内→(国道38他)留辺蘂
→(国道242)仁田→(道道1032・244他)遠軽
(以上#6-2)
→(道道137他)立牛
(以下#6-4)
→(道道137)西興部
169km
RIDE WITH GPS
10:55、遠軽着。湧別川東岸住宅地のセイコーマートで休憩とする。
11時までに遠軽に着けた。なかなか順調な進行だ。一方、生田原から遠軽に向かう間にまたもや空に低い雲が増えていた。というか、いつの間にか空に青い部分が全く消えている。しかも何だか遠景の山が霞みっぽい。空気中には時々水滴も感じられる。明らかに雨が降る可能性が高まっている。
そういう状況下で遠軽から10km足らずの千代田から、峠を二つ越えた立牛までは結構な山奥が続く。海岸からの距離は30km、全くの無人地帯で峠は標高460mの上原峠と400mの狐沢橋越え。立牛の先にも標高300mのトンネルがある。実際にも、かつて上原峠・狐沢橋間の逃げ場が無い鴻之舞で雷雨に降られて、とんでもない目に遭ったことは忘れもしないというか、雷雨の恐怖をまだ身体が覚えている。今回もそういういやな雰囲気が漂い始めている。
予報は少なくとも15時まで曇り。それなら立牛の先の滝上まで行ける。何と言ってもこの区間に通行止め情報が無く、2012年以来4年ぶりの訪問チャンスなのだ。ぎりぎりの選択、という言葉を思いつつ、今回は天気予報を信じて行ってみることにした。行って「みる」、とはいえ撤退は効かないんだけどね。
11:20、遠軽発。
学田から道道137へ入り込むと、途端に周囲は畑に替わり、車が殆どいなくなった。
低く丸い山沿いにくねくね谷底の平地を進んでゆく道に、4年振りに来たという印象は全く無い。そして、「道道137」と描かれている六角形の看板に、この道に来れていることを実感し、嬉しくなった。いろいろと悩んだものの、帰ってきた感一杯の、道道137なのだった。
しかし一方、展開はやや不安だった。進むにつれて谷間の雲はますます低くなり、社那淵では早くも空気中の水滴が雨と酔えるぐらいに密度が上がり、路面の乾いている部分が少なくなってきた。雨具を着込みつつも、まだ大丈夫、山々がくっきり見えていると自分を安心させる。
最後の集落、千代田の自販機で、ポカリスエットを飲んでおく。まだ遠軽で食べたお昼が腹にがぼついている気はするが、30km以上先の立牛まで完全無人地帯だし、立牛には民家はあれど自販機は全く無い。もう濁川の道の駅まで45km、商店はおろか自販機、いや、給水可能な小学校的なものすらひとつも無い。ボトルにはちゃんと水が入っているので、これは先行きの見えない展開に向かうための、気持ちのスイッチなのかもしれない。
千代田の畑が終わると、上原峠の峠区間だ。
谷底の森から山肌へ、次第に淡々とトラバース気味に6〜7%ぐらいで、そして一気に高度を上げること無く標高を上げてゆく。
特徴的なのは登りが比較的長いことだ。斜度は緩いし峠の標高は460m、麓から400mの標高差は、北海道、特に道北の峠では高い方である。内地だと400m登りなんて当たり前なのだが。
山肌の道はいつの間にか谷底を、周囲の山々を見渡し、そしていつの間にか周囲の稜線を見下ろしてゆく。ずっと遠景は澄んでいて山々がよく見えていた。霞んでいる印象は全く無い。
登るにつれ雲は次第に高くなり、もうこれ以上深刻な雨にはならないだろうという確信を、次第に持て始めていた。
上原峠通過まで水滴だけは僅かに感じられていたのものの、案の状、峠の向こう側で下り始めると水滴は全く消え失せた。
気温はぐっと冷え込んで肌寒いほど、そして空はやや薄暗い。しかし、雲自体は相変わらず高く、遠景も澄んでいる。
谷底に降りると、頭上に大型の猛禽が一羽、低空飛行で先行しはじめた。飛び方自体はふわふわ舞っているぐらいののんびりしたもので、先行しては遠くの先の路上で停まり、こちらが近づくとまた先へと道路上空を飛んで行く。こういうのはもっと北の仁宇布周辺や道道120辺りで見かけることが多かった。だいぶ南のこの辺りでも出るようになったか、と思う。
13:05、鴻之舞着。谷底の道道305と離合、再び道道137単独で狐沢橋越え区間へ。併用区間は、かつてのほぼ交通量皆無だったこの道の記憶よりは車が増えていた。2011年、ダートだった金八峠が金八トンネル開通で、この道に車は確実に増えているのだ。
道道137の私的通称狐橋越え区間は、どこからどう見ても峠なのだが、この区間のピーク部分に峠の名前は付いていない。
国道のちょい峠に名前が付いていて、こういうマイナー道道の峠に名前が付けられないのは何だか不条理だとか、交通量が多い場所に名前が付くのは当たり前のことだとか、とにかく今は曇っているがこの道が通行止めじゃないこと、天気の条件が揃ってここへの訪問が成立していることに感謝したり、いろいろなことを考えてこの展望が少ない登りをこなしてゆくことにする。
そう考えれば、峠部分の急斜面を一気に飛び越す狐橋だって、今日は崩落していないし何とか雨も降っていない。至って平和な久しぶりの訪問だ。
谷間が狭く森が深い立牛への下りは、ヒグマが出そうで早く終わって欲しいと思っていると、やや長く感じられた。
たかだか標高差200m程度なのに、北海道の峠の例に漏れず斜度がとても緩いのだ。
谷が別の谷と合流、谷底の1本道が別の下って来た道と合流し、辺りが開けた牧草地に替わると立牛の谷間だ。ここまで無人の大森林が延々続いてきたので、拡がる牧草地に何だか里に下りてきた気分で一杯になるものの、興部の海岸部から遡ればここだって実は相当な山奥なのだ。2001年、未開通だった道道137の代わりに通った上古丹4号沢林道・ウチャンナイ林道白樺峠への道を聞いた酪農農家は、今回は納屋が荒れ放題となっていた。あれももう15年前のことなのだ。
14:10、立牛着。集落中心でも民家は廃屋が目立ち、前述のように自販機は無い。静かな集落には、しかしながら人里の安心感が感じられ、水を飲んでパンを食べておくことにする。
更に少し写真を撮ったり地図交換をしているうち、あっという間に20分ぐらいの時間は過ぎるのであった。
記 2017/2/5
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