2015/8/14
北海道Tour15#9 仁宇布→大村-1

仁宇布→(道道49)上幌内 (以上#9-1)
(以下#9-2) →(道道60)下川→(道道101)十和里 (以上#9-2)
(以下#9-3) →(道道101)愛別 (以上#9-3)
(以下#9-4) →(町道・農道・道道140)当麻 (以上#9-4)
(以下#9-5) →(道道140・295)倉沼→(町道・農道・道道37)東神楽
→(町道)千代ヶ岡→(町道)大村

 156km  ルートラボ

ニューサイ写真 RICOH GR GR18.3mm1:2.8 A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路

 ファームイントントの外に拡がる、露が降りてしっとり湿った仁宇布の牧草地。灰色だった夜明けの空は、荷積み中にうっすら青くなり、5:30の段階で青空が登場。天気予報は美深から旭川まで曇りの後9時頃から晴れだが、前倒し進行なのかもしれない。朝雷が鳴るようだと、場合によって去年と同じく美深・幌加内経由だと思っていたが、これだと道道60確定である。今日は行ける。

 

 早くから準備して下さる美味しい朝食をたっぷり戴くとする。朝早くから道北の牧草地を眺める朝食、こんなに素敵な状況はそうそうない。今日のコースの場合、仁宇布を出発してから45km先の下川まで完全に無人地帯となるので、尚更有り難い。6時頃から辺りに漂い始めた霧が濃くなって雲に変わりつつあった。しかし、空は決して薄暗くない。天気予報とさっき見た青空からすると、心配するようなものじゃないだろう。ここ2、3日の間じゃ上出来だ。

 6:25、仁宇布ファームイントント発。

 仁宇布中央部の方が空はやや薄暗いものの、構わずに仁宇布の交差点で道道49の下川方面へ。

 3日前に雨雲から逃げるように下って来たこの道、今朝は逆方向で僅かに登りとなっている。のんびり進んでゆく道ばたの茂みに、何か獣が潜んでいそうで、やや不気味でじれったい。

 松山湿原分岐から登り斜度がやや増える。ぐっと狭くなった森の谷底、道道49は途中折り返しなどせず、標高425mの峠へ向かって谷をひたすら進んでゆく。いまどき道道風に道幅は広いが、同じ谷間の景色は変化は少なく、ただでさえ深い森に特に早朝や夕方は飲み込まれそうな気がする峠道だ。

 7:10、美深松山峠通過。峠の向こうの森は木々が道に近づき、更に奥深い。

 何だか獣が道ばたに潜んでいるような妙な空気は、仁宇布側より濃厚だ。毎回必ず狐はどこかで登場するし、路上に猛禽が悠然と漂っていることも多かった。そして近年、路上に残っているミヤマクワガタだけじゃなくて道の脇に目が行くようになってみると、確かにべちゃっと大きな熊の糞が時々見受けられる。

 たまに(区間全体で数台遭遇)通る大型トラックが何とも心強い。通り過ぎてゆく度に「あ、あの五月蠅くてでかいのが通ってたら、熊も山の中に逃げてゆくだろう」と思えるのだ。とにかく峠を越えて下りに変わった道を、下りに乗じて一気に下ってしまう。

 しかし、峠を越えて雄武町に入ってから、空には明らかに明るいニュアンスが増え始めていた。時々青空すら見えている。


 下りきった上幌内で、道道60に三つ股合流。道道49はオホーツク沿岸の雄武へ下ってゆく。こちらは道道60を折り返し、下川へ向かう。谷底の幌内川を渡って幌内越峠への160m登りが始まると、暑さを感じ始めていることに気が付いた。やはり南下しているのである。その一方で登り途中で低い雲が近づいてきて、途中からその雲の中で雷が鳴り始めた。あまり深刻そうではなく、せいぜいチンピラみたいな雲のようだが、因縁を付けられる前に逃げる方がいい。

 7:30、幌内越峠通過。ピヤシリ林道が合流する峠の広場と「幌内越峠」と書かれている標識は、峠付近に続く2〜300mの平坦区間の中で少し離れた場所にある。

 つい広場のある方が峠だと思ってしまいがちではあるが、あるいは標識の方が本当の幌内越峠なのかもしれない。

 峠を越えて天気が変わるのか、幌内越峠の向こうの空はやや重たいものの、とりあえず雷雲からは何とか逃げ切れたようでもあった。ピヤシリ林道出口が見送ってくれたような気がして、何だか嬉しい。

 幌内越峠周辺の平坦区間から、たいしたことのない下りが本当に少しだけ続いた後、更に緩い下り基調程度の下りに移行。

 下川まで27kmでたった200mしか下らない超緩下りのこの区間でも、風さえ無ければ走行アシストには十分な下りだ。

 サンル牧場と森が断続する旧道区間をどんどん下ってしまう。

 旧道区間から新道区間へ入ると、道周囲の空間が多少拡がったり路盤が高くなったりで、道全体の雰囲気が変わるのが感じられる。下川まで全区間旧道だった頃のこの道の距離感覚をまだ覚えているので、特に幌内越峠からの下りでは「あ、ここから新道なのか」と、旧道が短くなったことを実感できる。

 一方で3日前と同じく、新道区間ができたことで確実に道の味わいが多彩になったこともよくわかる。道内でもなかなかの、いや、傑出した豪快コースになったこの道。それだけに、今回中頓別からずっと続く内陸コースとして、道道120も一緒に味わいたかった。つくづく心残りだ。

 新道区間に入ってから、低い雲が消えて空が再び明るくなりはじめていた。

 そしてサンル大橋では日差しが登場。

 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8+GW-3 パノラマ合成  RICOH GRU GR18.3mm1:2.8+GW-3 パノラマ合成

 近い将来ダム湖となって水没する下川方面谷間を見下ろすと、下川上空辺りの空は明らかに何となく青っぽい。

 雲はどんどん少なくなって、新道から下川への街を見下ろす下りでは、空全体が青っぽくなった。こうなると、日差しと照り返しのW攻撃で、辺りが一気にかなり暑くなってしまった。

 そういえばこのコース、いつも下川で急に暑くなって、改めて道北最北部から延々南下してきたことを実感するのである。

 9:25、下川セイコーマート着。まだ午前中、今日の宿の美瑛までまだまだ遠い一方で、明日を含めてももうコース上のセイコーマートは上富良野、幾寅だけだ。東神楽や美瑛にもセイコーマートは一応あるのだが、終着近くなので明日朝食の買い込み以外に立ち寄り意義を見い出しにくい。そして何より、Hotchefは多分この店が最後になる。今朝はファームイントントでたっぷり朝食を食べることができたので、まだ弁当を食べる必要は無い。しかしフライドチキンや厚揚げポテチなど、ネタには事欠かない。さらば夏のHotchef、今年もありがとう。

 9:40、下川発。道は道道101となって、糸魚峠へと再び登り返しが始まる。下川までの下り基調から一転、こんなに僅かな登り基調でペースががくっと落ちるのが我ながら情けない。そしてもう10時近く、1日の内で一番暑い時間帯に差し掛かりつつあり、一面開けた畑の中、路上の日差しと照り返しと湿気が堪える。この時間に下川の開けた谷間が続いてつらいのは毎度の事、もう珍しくもない現象だし、ここまで道北山中を朝の涼しい時間に通ってきたのだから、今この場所で暑いのは当たり前ではある。ひたすら耐えて、何とか人里南端の班渓から谷間の森の木陰が始まるのを待つしかない。

 今回は谷間の森に近づいた辺りで再び空を低い雲が覆い始め、たまらない暑さは一段落。低い雲は山奥方面が例によって妙に薄暗い嫌な雲だ。道道101の上では、雨にも暑さにもどちらにも転ばず、穏当に推移してほしい。

 里から森に入ってからが大変長い。密度の高い森に1本道が延々と続いて谷閧遡ってゆくのは、よく考えると道道49、60や120に共通する道北内陸の特徴だ。

 糸魚峠に近づくと、再び山の向こうの空は明るくなり始めた。

 そして糸魚トンネルを抜けて下り始めると、何だか身体に当たる空気の温度がまた少し上がったような気がした。峠の峠たる所以だろう。どんどん気温が上がっている。何しろもう次に於鬼登峠を越えれば、旭川盆地なのだ。


 11:10十和里着。道道61との交差点を岩尾内湖方面へ。道道101は、十和里から岩尾内湖東岸までしばし道道61との重複区間となっている。
 上空そのものは比較的明るく、昨日までの道北北部とは根本的に違って空気全体が暑い。これから向かう岩尾内湖上空の雲は低く膨脹気味で、動きが比較的速いように見える。気温の観点からは有り難いように思われるものの、麓でこれだと、この先湖畔〜於鬼登峠までどこかで降られてもおかしくないように思える。毎回岩尾内湖周辺では、雨が降らない方が珍しいのだ。できれば雷には遭いたくない。

 ダムの例に漏れず、ダム直下から岩尾内ダムまでは一気登り。斜度は終始7%以上で道内基準では厳しく、ダムまで続く道がほぼ全部見えて視覚的にもつらい。同じ直登でもこういうつらさは今時風のサンルダム新道区間とは明らかに違っている。あちらはずいぶん気が楽だ。

 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成  RICOH GRU GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 ダム管理事務所から湖岸の湖岸へ進む間にも、3度アップダウンが待ち構えている。標高差にしたら最大でもたかだか50mだし、入り組んだ地形のため仕方無いのだとは思うが、予め把握していてもややしんどくげんなりする。

 ただ、外周道路のところどころで見渡す岩尾内湖の山深い佇まいは毎回厭きることが無く、更に高度の変化が眺めの変化にもなっていて、脚を止める口実に事欠かない。今日はその湖面が、雨のせいなのか何だかどんより濁った色になっている。


 岩尾内湖東では道道61が上紋峠へ分岐。道道101は湖岸の広葉樹林を過ぎ、緩斜面に拡がる茂志里の集落から於鬼登峠へ向かってゆく。

 もうここ数年道北・美瑛(または旭川)というパターンを続けているが、そのコースは朱鞠内湖・幌加内周り、こちらの下川・岩尾内湖周りの2系統である。どちらも距離・風景とも甲乙付けがたく、毎回かわりばんこに通っている。
 朱鞠内湖・幌加内には最初のハイライトとして「母子里(もしり)」という集落がある。個人的にも1980年代から思い出多い場所であり、ここを経由することが朱鞠内湖・幌加内周りを通る大きな理由のひとつでもある程の場所だ。
 そしてこちらの「茂志里」も、2009年に初めて通って、ひたすら伸びやかな風景に感動してしまった。大好きな集落がどちらのコースににもあって、両方とも音が「もしり」ということが、とても楽しく感じられる。「もしり」という名前自体は道内ではあまり珍しくないようであり、北海道らしい現象と言えるかもしれない。

 アップダウンが続いた岩尾内湖北岸まで日差しが続いていたが、岩尾内湖南岸へ回り込んでから空の雲は増え始め、茂志里では雲が低くかなり薄暗く、どちらかと言えば風雲急という雰囲気が漂い、一時は大粒の雨がぱらぱらっときて冷や汗をかかされた。さっきダムの下から見上げた雲を思い出すと、大雨に遭わずに済んでいることがむしろ有り難い。

 実は、この谷間中央の川は天塩川。岩尾内湖は天塩川の人造湖であり、茂志里は天塩川最上流の集落なのだ。そして於鬼登峠への登り途中、天塩川は対岸の山間へと遡ってゆく。道北を様々な表情で流れる眺めた大河、天塩川の上流を見送って、感慨混じりのいい気分で旭川盆地に下れるのが、道北→仁宇布→於鬼登峠というコースの大きな魅力でもある。

 道の行く手、正面の斜面のど真ん中が於鬼登トンネルである。稜線から120m程度下のトンネルではあるが、急に切り立った斜面には、地形図に載っている旧道が茂みに完全に埋もれつつあるように眺められる。茂志里から120mしか登っていないとはいえ、やはりトンネル効果が実感される。

 12:50、於鬼登トンネル通過。茂志里で低い雲が押し寄せて一時真っ暗になった空が、また明るくなり始めていた。天気は次第に良くなっているように思える。

 下り途中で呷られるような横風が吹いているのは、ここの下りでもう毎度の事。一瞬の通り雨も突っ切り、さくっと快調に下ってしまう。途中の登り返しももうわかっていれば驚きはしない。ここまで来ればもう愛別湖東岸は間近、粛々とギヤを下げて標高差40mを登って下るだけの話だ。

 愛別湖岸からは、進行方向が大まかに西向きに変わっている。ふと北を見上げて気が付いた。北側には真っ黒な雲が拡がり始めていた。実はもの凄い雲が追っかけてきていたのだ。黒い雲はまだそれほど近くというわけではなく、落ちてくるまでまだ余裕はありそうな高さだが、あまりのんびりしているわけにはいかない。

 愛別ダムから谷間に降りて振り返ると、雲は更に大きく低くどす黒くなっていた。恐らくダム上の、ついさっきまでいた辺りに迫っている。速い。
 見える範囲の山姿はまだ霞んではいないので、その辺はまだ降り始めていないようだ。しかし、雨雲に追いつかれると大変な事態が待っていそうだ。幸い雲の速さの原因らしき強い追い風が吹いている。下り基調も味方だし愛別までもう10kmしかない、一気に下ってしまえ。

 旭川盆地から続く谷間だけあり、谷間に拡がる平地は一面田んぼである。近年北海道のお米は味で鳴らしている。餅の看板などもみられ、つい何か食べ物を探してしまう。

 時々振り返ると、雲は明らかにけっこうな勢いで前に進んでいるものの、その姿は次第に小さくなっていることがわかった。自転車の速度でさえ普通に進んでさえいれば、一応雲を引き離せているのだ。とりあえずひと安心。雨雲に追いつかれない分には、天気は時々日差しが出る程度の明るい曇りである。日差しが出ると辺りがかっと暑い。その度にもう旭川盆地手前まで下っていることと、今日ももうお昼過ぎであることを実感する。

 13:40、愛別着。愛別市街で店の前にバイク、自転車が停まっている蕎麦屋さんを発見。徒歩でお店に入ろうとする方に尋ねてみると、なかなかの有名店らしい。いつ昼食にしてもおかしくない時間だし、香り豊かな美味しい蕎麦を想像すると更に腹が減ってきた。しかし北側の空を見上げるにつけ、まだ安心するわけにはいかない。多分昼食中に雨雲に捕まってしまうだろう。

 まあここまで来たら輪行でも美瑛に着くけどね、などと思うものの、こちらはセブンイレブンで我慢。愛別にはセイコーマートが無いのだ。

 国道39と石狩川を渡って対岸へ。もう名実ともに旭川盆地である。

 小春トンネル、伊香牛の丘陵裾、将軍山と、GPSトラックから外れないように旭川盆地東部裏道ルートを辿ってゆく。

 小山に谷地の田んぼ、森と集落。北海道というより東北地方を思い出すような楽しい風景だ。以前はこの辺りで赤とんぼの大群に感動したこともあった。

 暑さでは日本有数の旭川盆地ながら、頭上の天気は一応明るい曇りで推移していて、その点では有り難い展開だ。しかし、振り返ると、さっきの雲が依然として勢力を拡げているのがわかる。今頃愛別ダムは大雨だろう。大丈夫、自転車の速度でさえ一応どんどん逃げることができていて、もう完全に安全圏にいる。このまま進んでさえいれば、あの雲については心配は無い。

 とはいえ、後方のみならず、盆地外周の山々も何だか黒い雲に覆われ始め、唐突に虹も見えている。虹は不吉の予兆と言うが、こうしてゲリラ豪雨に終われる毎日を過ごしていると、虹が決してファンシーなだけのものではないことがよくわかる。雨の前でも後でも、虹が見えるときは大体ろくな事がないのである。

 しかし前方には、雲が切れて日差しが天使の階段のように降りてきていた。そしてそれはこれから向かう美瑛方面だ。美瑛は希望が持てそうだ。

 14:40、当麻着。着というより、道の脇に見覚えの無い新しめのセイコーマートが建っている。しかもHotchef付きだ。朝の下川でHotchefにはもう出会えないかもしれないと思っていたので、大変有り難い。ここから先、美瑛方面にもHotchef付セイコーマートが無いわけじゃ無いが、美瑛町中を多少回り道する必要があるので、ここで明日の朝食にも補給食にも使えるクロワッサンを仕込んでおくことにした。そもそもお昼がまだなので、回鍋肉丼も食べてみた。なかなか美味しい。ここまで豚丼を物色したら回鍋肉丼だけ残っていた場合が多く、ここでも豚丼代わりとして選んだ回鍋肉丼が、思いの外美味しい。今後豚丼のバリエーションとして考えられないことも無い。


 15:10、当麻発。
 桜丘、東山と台地裾を抜けると、東神楽まで数km、平地の横断が続く。この区間では、水田に何本も並行する道から、できるだけ途切れず連続している可能な限り細い道を選んでいる。

 平地なので旭川盆地が遮る物無くよく見渡せる反面、景色の変化にはやや乏しい。その分細道の表情で、何とか東神楽まで保たせる区間であり、15時を過ぎ次第に赤くなってきた日差しを意識し始める。

 目新しい物を探し、辺りを見回しながら走っていると、旭川の市街地方面上空が真っ黒な雲に覆われているのがよく見えた。

 また、別の方向の結構近くに、変に雲みたいな、壁状の淀んだ霞みが見えた。あれがここ数日道内ニュースで見かける、旭川の強烈ゲリラ豪雨なのだと気が付いた。霞の不透明度で、雨の激しさがよく理解できた。

 東神楽を過ぎて旭川空港の台地に登り始める辺りで急に空がまっ暗に変わり、登り切ったところでぱらぱら大粒の雨が降ってきた。今日も遂に雨雲に捕まったのであった。

 雨は大粒ながら激しい降り方ではないが、南からも真っ黒な雲がかなり迫りつつある。もう少し雲が進んでくると、さっきのゲリラ豪雨の雰囲気から言ってかなりまずいと思われる。

 はらはらしながら更に美瑛の丘に登るまで、雲は急に進みを止めているようだった。しかし、道の加減で少し南に向かうだけで雨の量が増えた。少しでも南に向かったらいけないようで、首の皮一枚で土砂降りから逃れることができているのだった。

 結局、西神楽から美瑛の丘に登る手前で急に雨が止んだ。

 空の暗さは相変わらずだったが、路面まで乾いてしまい、しかも前方の美瑛の丘の上は多少空が明るい。最後の最後で逃げ切れたようだった。

 丘の上を効率良く登る道を辿り、大村まで向かう。夕方になって、美瑛の丘には今日も一騒ぎ終わったような静かな雰囲気が漂っている。或いはこちらの思い込みかもしれない。よく見ると、まだ路上に車は多い。所々の展望台では、相変わらず観光客が売店にうじゃうじゃしている。観光バスもあちこちに目立つ。

 しかしそれでも仁宇布から走ってきて、そして大雨から何とか逃げ切れて、しかも何とまだ17時前。安心感と共に広々とした美瑛の丘を眺めてのんびり走ることができ、とてもいい気分だ。

 17:10、大村「美瑛ポテトの丘YH」。
 走行距離は155km。美深峠・朱鞠内・幌加内経由よりこちらの方が峠が多いが、20kmぐらい距離が短いのだった。なるほど。まあ休憩込みで、今日もまずますのペースで走ることができた。
 屋根付き自転車置場はヘルパーさんの詰所?脇。荷物を下ろして自転車を入れたら、人間の受付を済ませて速攻でお風呂へ。
 明日の天気予報は何と美瑛、富良野市(麓郷)、南富良野で9時と15時が雨、6時と12時は曇り。地域中央部でこれだから、山間はもう少し確率が上がるだろう。ということは、明日はコースの大部分で雨。自転車行程としては無理しないなら、ここ大村で、今年の北海道は終わってしまうことになる。そんな殺生な。最終的には明日の天気で判断しようとは思うが。

 

 美瑛ポテトの丘YHの夕食は、毎回とても美味しく、ボリュームたっぷり。食事前のペアレントさんのスピーチとともに、毎回楽しみにしている。食事だけではなく、内装とか宿全体の雰囲気が居心地が良い、いい宿なのだ。自分にとってこういう宿の居心地の良さと宿泊料金は、あまり関係がないものなのだと思う。
 ペアレントさんのスピーチは、主に夕食の説明と美瑛の説明を手短に5分程度。いわゆるミーティング的な機能が凝縮されているものと思われる。その説明の一番最後に、明日の天気の説明があった。
 やはり明日の予報は曇りのち雨、降水確率は午前中30%午後50%で最高27℃最低17℃。北海道は梅雨は無いと言われているが、実は10年に1度ぐらい長梅雨の年があり、今年はそれに当たってしまったとのこと。雨は明日まで明日までと言われながら、もう数日長引いているのは、ここまでの行程で眺めてきたとおり。さっき旭川盆地で見かけた、ゲリラ豪雨上空らしきただならぬ霞や、どんどん押し寄せてくる黒雲が思い出される。2015年の北海道が大変な年だったことを、今、ようやく理解できたのだった。

記 2016/1/31

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Last Update 2016/3/7
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