鹿追→(道道416・町道9号)笹川北
→(道道771)南大牧
(以上#14-1)
→(町道西9線)北誉→(道道133他)駒場
(以上#14-2)
→(道道337)東中音更→(町道21号・22号他)瓜幕
(以上#14-3)
→(国道274・道道593)岩松
→(道道718・町道)新内→(国道38)ルーマ
(以下#14-5)
→(町道・農道)北落合→(農道・町道)幾寅
→(国道38)西達布
141km
RIDE WITH GPS
11:30、道の駅うりまく発。
いよいよ十勝も縁の十勝川段丘部だ。やや掘りが深く分節的な地形は距離感の掴みにくさに直結し、アップダウンと共に気持ち的にはややしんどい区間だ。
しかしこの道を通りたい理由は、やはり変化のある地形と風景の移り変わりだ。
国道274から道道593へ乗り換えて、その後上幌内の段丘へ、標高370mまで登る間に、姿を現し始める北側の谷間には、牧草地や狩勝の山々がダイナミックに展開する。
そして次は十勝川の谷底、標高230mの岩松へ急降下。標高差140mとはいえ、大きく落ち込んだ谷底への下りは、昨日今日ずっと走ってきた十勝の平地とは明らかに異質のもの。十勝エリアもそろそろお別れなのだ。
12:00、岩松着。
谷底から少し南下、屈足の台地からまた標高320m上佐幌の台地を越え、13:00、新内で国道38合流。
やっと新得の谷間、狩勝峠越えだ。つくづく十勝は段丘ばっかりである。まあ景色がいいので、毎回後悔はしていないのだが。
まだ標高230m。狩勝峠の登り始めという位置付けか、「1合目」の看板がある。確か10合目で峠だったか。狩勝峠は標高650m弱、それ程の標高じゃないだろうと思っていると、僅か標高差40mちょっとで次の看板が現れていた。
SLホテルの敷地を過ぎた辺りから、道は次第に離陸し始め、次第に周囲のサホロの山々の姿が近づいてくる。
正面から周囲に立ち上がる斜面が大きく、道が通っているのは山肌であり狭い谷底ではない。大きな平野に面しているわけではないのに、空間感覚が広々としていることが、狩勝峠の大きな特徴なのだと気が付いた。
狩勝の山々に近づいたせいか、空には雲がやや増え始めていたものの、相変わらずの晴れ基調。思えば近年、狩勝峠で天気が良かった記憶が無い。途中所々で丘陵を見下ろす度、今日は本来の狩勝峠の風景を楽しめていると思う。
途中から連続するスノーシェッドの向こうにも、ずっと周辺の山々や谷の見晴らしが続いていた。大型トラックや観光バスは通るものの、狩勝峠、これはこれでなかなかいいではないか。
だだっ広い道幅の国道38でさえなければ、もっと印象のいい峠なのかもしれない。
13:55、狩勝峠着。標高644m。
ここまでずっと昼食を食べずに来れているのは、峠のあくつ天空館で蕎麦でも食べたい気分になっていたからだ。しかし、この5連休に何とあくつ天空館はお休みである。幾寅まで補給食でごまかすしか無い。
天気がいいので、久々に道端の元展望台の場所や、少しだけ上に設けられた現展望台からの拡がりを眺めてみた。近年の訪問では、雨は降っていなくても、辺りが雲に包まれて眺めが全く見えないことが多かったのだ。
果たして眼下には、1986年、初めてこの峠で眺めた景色を思い出させてくれる風景が拡がっていた。丘陵の森や畜産試験場が、その向こうで十勝川の段丘らしい谷へと続いてゆく。そしてその彼方に十勝の平野が、霞の中で空の下端と曖昧に混じり合っていた。狩勝峠では十勝平野を見下ろすという印象があったが、こうして改めて鹿追から丘と谷間をいくつか越えてから振り返ると、これはあくまでサホロ高原とか狩勝高原とか呼ばれる丘陵であり、十勝の風景は更に遠いことが実によくわかった。
下りの途中、というより下り始めて峠のすぐ下、道が西へ大きく方向を変えるカーブから眺められるはずの、旧狩勝信号場跡も楽しみにしていた。というより、最近は年々風化しているような印象があったのだ。
結論から言えば旧信号場はちゃんと残っていて、除雪車展開広場から落ち着いて眺めることができた。山裾の間に設けられた平場には元より、峠部分を抜けるトンネルの痕跡までちゃんと残っている。何やら小さい立て札が立っていて、茂みが定期的に刈り込まれているようだ。その刈り込みが、元線路跡の散策道っぽい筋に続いている。恐らく何らかの遺構として、今後も手入れされてゆくのだろう。
信号場の痕跡そのものは初めて眺めた1986年より風化しているものの、これなら私が生きている間は痕跡が消失するようなことは無いだろうと思われた。
14:30、ルーマ着。時間も天気も全く問題無い。迷わず北落合方面へ向かおう。
ルーマから農免農道に抜ける細道沿いのログハウスの前を通ったところで、「手打ち蕎麦」の幟が目に入った。さっき狩勝峠で蕎麦にありつけなかった残念な気分が、無意識のうちに蕎麦の文字を自動スキャンしていたと言ってもいい。それぐらいに、気が付いたら自転車を停め、ややひっそりしたログハウスの中に入っていた。
毎回前は通っても、何となく何か営業してるのかな〜ぐらいにしか眺めていなかったこのログハウスでは、ちゃんと手打ち蕎麦を食べることができた。しかも北落合産の蕎麦粉らしい。もりそばで頂くその手打ち蕎麦は、太めで短め、濃い素朴な味と香りが一杯で、北落合の感動的に美しい畑が思い出された。そして、やはり幾寅まで引っ張るには、かなり腹が減っていたことにも気付かされた。これから狩勝峠より標高が高い北落合を前に、北落合の神様か何かのお引き合いかもしれない。有り難いことだ。
記 2016/3/6
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