晩成→(町道・道道881)生花→(国道336)長節
→(道道912他)大津→(国道336他)新十勝大橋
(以下#12-2)
→(国道336他)昆布刈石→
(道道1038)共栄→(国道38)豊頃
(以下#12-3)
→(国道38他)農野牛→(道道62)五位
→(道道15)糠内→(農道・道道62他)駒畠
(以下#12-4)
→(道道15)元忠類→(町道・農道他)晩成
141km
RIDE WITH GPS
早朝には雨が上がって、路面は早くも完全に乾いていた。天気予報では9時過ぎから終日道南〜十勝で晴れるらしい。ならばそのうち、地上2〜30mぐらいを覆い尽くしている霧みたいな雲の中がかっと明るくなって、一気に晴れるパターンかもしれない。
今日はこのセキレイ館に連泊予定。晩成発着の十勝南東部一周コースを昨夜仕込んでおいた。そして今回の4泊5日行程全体を、朝の冷え込みと早まっている夕方への対策として夏みたいに日中一杯走らず、朝食はしっかり食べて夕方は宿に早めに着く計画にしている。毎年たった1ヶ月ちょっと前に比べ、8月と9月(しかも下旬)では驚く程朝と夕方の明るさと気温に差が出るのだ。
セキレイ館の朝食は、ご自慢の自家製パン。セキレイ館の朝食は過去1度だけ、確か1999年の春にしか食べたことが無かった。その時にはまだ自家製パンは無かったと思う。今回初めて頂いてやはり大変美味しく、一杯食べてしまった。ここでしっかり朝食を食べることが、1日快調なサイクリングの源となるのである。
朝食後頂いた「チャリダー特典」の補給用ゼリーは、何とセイコーマートのオリジナル商品。私は普段ゼリー系を使っていない(だって美味しいものが一杯ありすぎて)から、こんな便利なものがセイコーマートで手に入るのを今まで知らなかった。このセイコーマートゼリー、この後各セイコーマートで仕入れることになった。
8:25、晩成セキレイ館発。
今日最初のテーマは、国道336の寄り道である。折角のセキレイ館連泊なので、国道336から海沿いへ分岐する、過去立ち寄れなかった何カ所かの道を訪れるのだ。
まずは裏手の町道から道道881へ回り道。未だ日差しは出ていないが、もう雲の切れ間に青空が見え始めていた。そして時々雲が薄くなるのか、うっすら影まで現れるぐらいに雲全体が明るくなったりし始めていた。今後晴れてくるだろうことは明らかに理解できた。
町道らしく、車が少なくのんびりした道の周囲には、森、牧草地、牧場が丘陵に続く。途中で晩成温泉から登ってきた道道88と合流、生花苗沼に続く低地に降りて、海岸方面から生花の国道336を目指す。過去国道336でしか通過したことが無い生花周辺、谷間の低地に拡がる牧場の風景は、国道336から眺めていた集落まっただ中のもの。未済経路はやはり印象が新鮮だ。
9:00、生花着。交差点手前の自販機でコーヒーを飲もうとして、財布忘れに気が付いた。
どうしよう。この先財布無しでは1日走ることができない。財布を取りに戻ってここまで来ると1時間10分、いや、20分ぐらいかかるだろう。折角昨夜いろいろ考えて造った予定コースの全体が、単純に言って1時間20分延着になる。それでは17時の晩成温泉ツアーに遅れてしまうばかりか、18時半過ぎの夕食にすら間に合わない可能性すらある。
財布を取りに行った後、またここまで戻り、途中を端折って何とか曲がりなりにも予定コースをこなすという手はある。いや、それだとせっかくいろいろ見所を考えて作ったコースの大部分がパーだ。
何かを我慢しなければならない。そして最低限旅にお金は必要だ。自販機で何か飲むのだってセイコーマートで昼食を食べるのだって。
と思ったところで気が付いた。解決方法がある。私の新スマホではモバイルSuicaが使えるんだった。そしてセイコーマートでの支払いに、モバイルSuicaが使えるのだ。どうせ今日のコース上にはセイコーマートぐらいしか昼食ポイントは無い。ボトルの水を自販機で給水できないことだけは心配といえば心配だが、この爽やかな気温と今日の標高差の少ないコースを考えれば、あまり差し迫って給水が必要になるとは思えない。最悪どこかで水を頂けば済むことでもある。
というわけで、スマホを出して即セイコーマートの位置を確認。電話してみると、モバイルSuicaで全く問題無く支払いできるようだ。よく考えたら、どうせお金があっても、そもそも自販機そのものを見つけるのが一苦労だろう。そしてバッグの中には昨日買ったクロワッサンに、さっき宿で頂いたゼリーもある。これで一体何が不足なのだ。
9:20、生花発。
国道336は軽いアップダウンと共に森の中を抜けてゆく。低地は牧草地と湿地帯で、国道旧道跡が茂みの中に消失しかけながらもまだ見受けられる。以前はあんな細道が延々と丘陵に続き、最後に渡し船で十勝川を越え、豊頃へ向かっていたのだ。現在の国道336は流石の国道、登り下りが緩く、特に下りを惰性で走れる距離が長くて、経済走行しやすい。
途中で面白いように一気に雲が切れて辺りが明るくなり、青空が拡がった。天気が一瞬で晴れに変わったのである。空の大部分を占めている真っ青な青空に、これで今日は1日安心だと確信できた。
10:00、湧洞通過。国道336はここで内陸方面へ向かう道道318、海岸の湧洞沼方面へ向かう道道1051と交差している。湧洞沼への道道1051は、沼を回り込んでから生花からの道と沼のくびれを挟んでつながっておらず、ピストン往復で10km以上。国道336では海岸方面への最大の寄り道ポイントなので、今日のテーマには合っているのだが、やはりボリュームが纏まりすぎている。この後の行程を考えて、結局割愛せざるを得ないのが残念だ。毎回立ち寄りたいと思ってはいるこの道、立ち寄るにはそれなり以上の余裕が必要そうだ。
湧洞の先には、国道336の最高地点がある。最高とはいえせいぜい標高120m程度。少しまとまった直登気味の登りの後、周囲には記憶通りの牧草地、そして拡がる森の丘陵を眺めることができた。牧草地の脇に脚を停めて、気が付いた。しつこく五月蠅いあのゴマフアブが、全くいないのだ。そう言えばこれだけ日差しが当たっているとギーギー鳴き始めるエゾゼミもいない。
日差しは何だか汗ばむように厳しいもののやはり9月、僅か1ヶ月前とは決定的に違うと思わされた。
長生で道道912へ分岐。茂みのような林の中の向こうから、まずは長生湖が現れた。
湖の先は太平洋、湖の奥や海上らしき辺りが薄い霧で霞んでいる。なかなか野性味溢れる風景に脚が停まる。
長生湖の向こうにも、とぼとぼと海岸沿いに道は続いている。どうせあまり先までいかないことは地図でわかっているものの、太平洋と長生湖岸、その中に進んでゆく1本道の寂しげな佇まいには、心魅かれるものがある。
長生湖の先、大津への海岸沿いでは波打ち際に道が続く。
▼動画51秒 太平洋岸の道道912 波が高い
昨日の低気圧がまだ残っているのか波がやや高く、道の内陸側までしぶきが飛んでくる程だ。車が所々に停まっていて、釣り竿らしきものがうじゃうじゃ立っている。
その先の大津は小さな漁村だった。国道336沿道の森と荒野の印象からは意外な賑わいに、やっぱりこの地域にも人が住んでいるのだ、と楽しくなった。
集落にはラーメン屋もあるらしい。セキレイ館では海鮮ラーメンを勧められていたが、さすがにモバイルSuicaは使えないだろうし、今日は天気がいい。この後脚を停めるべき景色がかならず現れる。先を急ごう。
十勝川の土手沿いに、再び国道336へ。
確か1999年に新十勝大橋から豊頃へ向かった時に、途中からだったか土手の道がダートに替わって、ずいぶんつらい思いをしたような印象があった。そのためダートかもしれないと覚悟していた土手の道は、実際には走りやすい舗装道路だった。思えばあれからもう16年も経っている。
記 2016/3/5
#12-2へ進む #11へ戻る 北海道Tour15秋 indexへ 北海道Tour indexへ 自転車ツーリングの記録へ Topへ