西興部→(国道239)下川
(以上#6-1)
→(道道60)上幌内→(道道49)仁宇布
(以上#6-2)
→(道道120)歌登
(以下#6-4)
→(道道120)中頓別→(国道276)浜頓別
173km
RIDE WITH GPS
日焼け止めとムシペールを塗り直し、10:30、そそくさと仁宇布発。仁宇布の牧草地では雲が早めに動き、陽差しが辺りをかっと照らしたり、どんどん動く雲に陽が遮られて薄暗くなったりしている。
▼動画1分21秒 牧草地が拡がる仁宇布の盆地
写真を撮りたい場所であまりうまく晴れてくれないのが少し残念だ。
仁宇布から登る西尾峠は、標高差100mの大変楽な峠である。峠部分で標高380mと、道北の峠としてはまずまずの標高だが、そもそも仁宇布からして標高280mの、道北では異例の山間高原なのだ。
「西尾峠」の丸太札を眺めながら峠を乗り越えると、向こう側は稜線部の鞍部に少し平場が続く。いかにも道北らしい地形は、向こう側から来るとじれったい。
その後おもむろに60〜70m下りきって谷間の森の中、フーレップ川の谷間の森林を約6km、延々とだらだら下ってゆく。
▼動画1分31秒 西尾峠から谷間に下る
速度ゆっくり目の登りだと、時々獣の気配や物言わぬ森の圧迫感などが怖いが、下りだとそれも一気に通り過ぎることができる。
しかし、下りでも登りでも、同じような森の谷間が延々とたっぷり続く印象はあまり変わらない。
これこそがこの道の持ち味であり、特に晴れた日の緑の量感は、他ではちょっと味わいにくい独特の雰囲気だ。逆に雨の日や夕方には、極力通りたくない道でもある。
道がフーレップ川を渡ると、すぐに天の川トンネルが登場。こちら側の入口には、狭くてやや居心地が悪い牽牛橋休憩所がある。ならばさっきの道が牽牛橋なのだろう。何度も通った道だが、梁の名前はいちいち確認したことが無い。次回は橋の名前を確認してみよう、覚えていたら。
長い天の川トンネルの向こうは、織姫橋休憩所である。トンネルの両側でほとんど登りは無いが、実はフーレップ川の谷間から隣の徳志別川の谷間に移ってきたことになる。本来何らかの峠か丘越えがあって然るべきで、それが全く無いのは、天の川トンネルのお陰だ。
道北スーパー林道の合流点が近いこの場所では、林道を往来するオフロードバイクのエンジン音が聞こえてくる。あずまやがあって比較的立ち寄りやすい織姫橋休憩所に脚を停めつつ、地図交換などしながら奥の山々へ続く森一杯の谷間の広がりを眺めていると、2002年の道北スーパー林道訪問を鮮明に思い出す。10年前ぐらいからの熊情報増加で、今はもう行く気はしない(笑)この道、間違い無く行っておいて良かった道の一つだと思う。
次は大曲へ。無人ながら、仁宇布以降ようやく登場した地名が付く場所だ。軽い登り返しとともに、ほんの少しだけ谷間が広がる盆地でもある。
あるいは大曲の方がここに入植されたのかもしれない。道北のこれ程の山奥での開拓は、大変なご苦労だったことだろう。
森の中の廃屋に、かつて人が住んでいた痕跡が伺える。今は牧草地と、小さな炭焼き小屋がある程度だ。
谷間が再び狭くなり、大曲から標高差40mぐらい下ると、やっと、そして突然周囲が拡がった。上徳志別の盆地だ。仁宇布から延々と山の中を北上し、やっと辿り着いた人里である。
▼動画1分7秒 上徳志別到着 盆地が拡がった
北側に隣接する志美宇丹と瓢箪状につながった広い盆地は、仁宇布より平坦に広がった盆地、そして広い空が、更に濃厚な道北らしさを感じさせる。それだけに今日のような陽差しの中で、牧草地の輝くような夏の緑と開放感がとても嬉しく感じられる。毎回感じるこの感動は、ここまで延々続いた森とともに、毎年この道を、いや、道北を訪れる理由にもなっている。仁宇布とともに、私的な道北の名所である。
嬉しくなってきょろきょろ見回していると、かみとくツーリストキャンプ場の校舎前に停まっている車を発見。このやや寂れたキャンプ場は、ちゃんと泊まれることをこの時わかった。その後聞いた話によると、古びた校舎の中に泊まることもできるらしい。テントを持たない私でも、それなら泊まることができる。メンバーが集まれば、一度是非ともトライしてみたいものだ。
▼動画1分31秒 かみとくツーリストキャンプ場辺り
盆地中程で道道120から、オホーツク海方面への乙忠部へと下ってゆく道道1023が分岐する。盆地の南北を貫く道道120は、ここで徳志別川とも別れ、北側の志美宇丹の盆地縁へと再び緩々と登り始める。
分岐周辺は、前述のひょうたん形の首部分。志美宇丹で再び周囲が拡がって、元志美宇丹小中学校の廃校がある中心部を通過。開けた牧草地の中、縁へ向かう登り基調が鮮明になってくる。上徳志別、志美宇丹は、通しで通過すると、地形、景色の変化がある志美宇丹の方が狭く思える。ただ、地図で見るとその差は少ないし、盆地に拡がる牧草地と周囲の山々と青空の風景は、両者甲乙付けがたい。
▼動画1分39秒 志美宇丹
盆地北端の縁が志美宇丹峠と呼ばれているのを知ったのは、実はつい最近のこと。美幸線未成線もここを直登している程斜度が緩く、志美宇丹から約30m程度の標高差にも、ここが峠なのかと思ってしまう。森の中を下ってゆく歌登側はまだ峠らしいのだが、志美宇丹側は峠まで開けた牧草地が続き、全然峠っぽくない。もっとも美幸線未成線は、仁宇布から歌登、枝幸まで全て緩い斜度の谷間を常に直登している。
志美宇丹峠を越えると、打って変わって森の中。
やや急な、というかごく普通の下りが辺毛内までしばし続き、辺毛内から森が開け、いよいよ歌登の盆地へ下りきる。
市街地まではまだ8km、この間標高差は10m程度。
普通の地形なら、10m程度の標高差は、多少のアップダウンの下りパートでいつの間にか何となく過ぎてしまうのだが、この微妙な標高差が8kmずっと下り基調で均等に分散されている。更に言えばこの僅かな下りは、歌登の先18km、枝幸の海岸線まで更に平滑度を上げて続く。いかにも道北らしい地形だ。
13:10、歌登着。
8時過ぎの下川以来、5時間ぶりのセイコーマート休憩だ。道東の根釧台地200kmコースで1日じゅう1軒のコンビニも無かったのに比べると、5時間走ってコース上にセイコーマートがあるのは大変ありがたい。しかも今日は浜頓別終着。13時過ぎに歌登に着けているのはとても安心感がある。裏を返すと今日の行程がそんなに距離が無いということであり、それは昨日の宿がいつもの滝上ではなく西興部だったことが原因だ。元を正せば、一昨日のチミケップホテル泊が今回の行程分割を決定付けている。事程左様に1泊3万の大事業は、今回の旅程全体に何かと影響を及ぼす象徴的存在となっている。
まあこういうのも今年の旅なのだ。と思って集中的にがつがついろいろと食べておく。それに次の中頓別までまだ距離がある。標高差200mちょっとの峠が一発、と思って甘く見がちだが、歌登・中頓別間、実は40km近くもあるのだ。
記 2015/3/5
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