北海道Tour13#8 2013/8/15 辺毛内→抜海-3

辺毛内→(道道120)歌登  8km  RIDE WITH GPS
歌登→(輪行)豊富 (以上#8-1)
豊富→(農道他)開源
(以上#8-2)
→(道道118)兜沼→(道道510・811)抜海
42km  RIDE WITH GPS

何故か急に晴れた抜海駅周辺 RICOH GR GR18.3mm1:2.8 開源から兜沼経由で抜海へ 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路

 兜沼、勇知と、道道1118〜510は抜海へ丘陵をまともに横断してゆく。

 時にはほぼ並行する宗谷本線に比べ、明らかに無駄なアップダウンも見受けられる。もう少し化石燃料による移動ではなく、人力交通機関に優しい経路であってほしいと思うのは2度目だ。

内陸方面を眺めると空が真っ暗で陸は霞んでいる 間違い無く大雨 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 2008年に計画ミスの延着で、夜暗くなってからこの道を通るかどうするか迷ったことがあった。結局1本道と追い風に期待して、日本海側の道道106を選んだのだが、こちらにしないで良かったと今心から思える。

 もはや余裕などとは程遠い、ひたすら風と雨を避ける行程となった。

 勇知では再び雨が降ってきた。古びた農協の前に自販機があったので、他に自販機は無いだろうから、ここで缶コーヒーを飲んで雨宿りしておく。

勇知の農協 北海道の田舎にはまだ味のある木造農協が多い RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 相変わらず風は強い、というか吹き荒れている。

 空を見上げると、雲が低くて早い。何と雲の隙間から青空も見える。と思ったら、雨具が必要なぐらいの小雨がいきなり降ってくる。そしてかなり蒸し暑く、明らかに道北の気温ではない。

雲が低く動きが速い 青空まで登場 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 抜海駅前を通過すると、海岸沿いの抜海の集落へはもう数km。2009年以来の道だが、4年振りぐらいだと何だか昨日来たような気もするのが我ながら可笑しい。

どういうわけか急に晴れた しかし凄い向かい風 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 鉄道写真を撮る人間には、抜海という駅名は大変有名だ。宗谷丘陵を行く宗谷本線の列車を、日本海と利尻島を入れて撮影できるアングルで、特に真冬の銀世界の写真を見たら、誰でも一度は撮影してみたいと思うであろう、道内屈指の名撮影地だ。特早朝、札幌から夜を徹してようやく最北端に到着しようとする急行宗谷は、このアングルと共に有名であり、いつかは抜海で駅寝しないと、と思っていた。そんなわけで抜海という駅名は、その強烈な音とともに印象深かったのだ。
 しかし今は2013年。私が実際に抜海を訪れてこの道を通るのは専らサイクリングであり、夜行の急行宗谷はいつのまにか廃止され、昼の列車も特急スーパー宗谷になってしまっている。今日は何故か晴れている抜海駅前、強風に飛ばされそうによろめきつつ、とにかく前へ。

 道道510の一本道、行く手の茂みの先に海が感じられる。その上の空も何となく明るい。海岸は雨の心配は無いのかもしれない、と思った。

何故か日本海の上も晴れている RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 14:45、抜海着。岬の裏側に集中し張り付いている抜海の漁村には、ごうごうと熱風が吹き荒れていた。ここまでのどこにも増して蒸し暑い。不快である。曲がりなりにも日本最北端の稚内市なのに、こういう感覚は初めてで、何となく今日の天気の奇妙さが納得いった。

  豊富から兜沼経由で抜海へ 赤は本日の経路

 空を眺めていると、確かに何となく海上は明るい。そしてその海から吹いてくる熱風に乗って、次から次へと雲がやって来ているようだった。雲は海上から陸地に移ると何故か濃厚な色に、つまり雨雲に変わってゆく。1週間前東京で悩まされ、札幌まで押し寄せていた暖気が、道北までやってきていることを実感した。雲が海上から内陸に移ると雨雲に変わるのは海面の気温の関係か、何か理由があるのだろう。
 稚内、サロベツまで、きっとこんな天気なのに違いない。無理に走らないでよかった。そして、明日の行程は天気予報次第で大幅変更する必要があると思った。

 15時を待ってばっかすに入れて貰う。
 宿の中はやはりというか、大変蒸し暑い。室温29°、じっとしていないと汗が出る温度である。宿主さんと奥さんによると、今年の夏はずっとこんな感じで、「おかしい。こんなの初めてでみんな参っている。」とのこと。今年の夏は数少ない扇風機全開だが、全く焼け石に水らしい。だって内地並みに蒸し暑いのに、そもそも建物に窓が少ないのである。

 

 注目の天気予報だが、すぐ結論が出た。ダメだ。
 明日も稚内周辺と枝幸は雨予報で、降水確率50%。一方内陸部の美深は曇り予報で、10%まで確率が下がる。明日の予定はもともと日本海沿いに道道106を天塩まで南下し、ロクシナイ峠から佐久、音威子府から歌登経由で昨日通った道道120、というコースだ。例えば輪行で途中を抜かし、音威子府から行程を戻すとすると、歌登から先西尾峠までずっと降水確率50%の枝幸町である。しかし枝幸町でも歌登と道道120はずっと内陸部であり、オホーツク沿岸の天気に左右される傾向はあるものの、基本的には別の天気であることも多い場所だ。内陸部の美深が曇り予報なら、少しは期待が持てるかもしれない。しかし、朝の歌登の厚く不安定な雲も思い出される。
 一方、道北を自転車で脱出するのにどこへ走ってゆくにも、さっき豊富の丘陵で遭遇したような暴風と高速低空雨雲に悩まされるに違いない。しかも今日北上方向で追い風なら、基本的に南下する明日は間違い無く基本的に向かい風だろう。
 もうその先はあまり想像も葛藤もせず、とりあえず輪行で脱出しないといけない、という考え方をすることにした。ならばJR宗谷本線一拓である。
 問題は終着地の仁宇布までどう行くかだが、とりあえず稚内からサロベツ原野とか猿払原野、そして枝幸沿岸辺りまでは似たような天気だとして、内陸部の地形にそこそこボリュームが出てくる雄信内〜音威子府まで行けば天気が変わるかもしれない。まあ、今回毎度の現地日和見パターンである。ここで時刻表を調べると、抜海6:40→音威子府840の一拓で、その後はお昼になってしまうのである。ちょうどそこで、宿主さんが助け船を出してくれた。「明日は輪行でしょ?走るんだったら私が止めますよ、こんな大風、危ないですよ。朝抜海駅までお送りしますよ」というわけで、明日の輪行はほぼ決まってしまった。
 今年の北海道も今日で8日目。もはや完全に輪行の旅になってしまっているが、悩んでも悩まなくても確実に時は過ぎ、今はやがて1時間前、そして昨日になってゆく。ならば前向きに今抜海にいることを楽しまねば。

 とか何とか思いつつ、暴風吹き荒れる外の景色を眺め、屋根の上のごうごう吹き荒れる風音を聞き流し、真っ昼間からサッポロクラシックで泥酔してゆく私なのであった。

記 2014/2/1

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Last Update 2020/3/20
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