辺毛内→
(道道120)歌登
8km
RIDE WITH GPS
歌登→(輪行)豊富
(以下#8-2)
豊富→(農道他)開源
(以下#8-3)
→(道道118)兜沼
→(道道510・811)抜海
42km
RIDE WITH GPS
曇りの予報に希望を持ってはいたものの、一方で夜中に、谷間を揺るがすもの凄い低周波で目が覚めた。雷だった。ホテルのビル用サッシュがびりびり響いていた。雨もばしばし窓を叩いていた。
悩んでも仕方無いので、とりあえず眠りこけ、4時に再び目覚めてはみたもののやはり大雨は止んでいなかった。いや、降水確率はかなり高いとは言え天気予報は曇りなのである、今日は一応。この後必ず雨が上がるはずだ。粛々と準備を進め、荷造りしておけば、雨が上がってすぐ出発できるではないか。
5時にはとりあえず荷造りを完了。その段階ではまだ雨は上がっていない。よくあることだ、こういう場合6時には大体雨は上がるのである。部屋を撤収し、荷造りを完了して5時半前。この段階で少し弱まっていた雨は、再び土砂降りになった。うん、これが降り切ると完全に雨がすっと上がるはずだ。いつものことだ。
しかし、5時50分になっても6時を過ぎても、一向に雨は止む気配は無い。というか土砂降りが降り続いている。さすがの私も天気予報がまた変わっているかもしれない可能性に気付いていた。しかし、この山奥でスマホの電波が入らない。フロントで尋ねると、枝幸町全体で天気予報は雨後曇りだが、降水確率は70%。この予報だと走り始めるのは危険である。
今日の行程はこの後道道120で歌登から中頓別、知駒峠を経由し、あとはずっと内陸の道道で宗谷湾を目指す。行ければ宗谷丘陵を経由し、長年宿題の道道889を目指したい。しかしこの経路で、歌登の先兵知安峠と知駒峠を終えるまで、輪行撤退場所は無い。また知駒峠を越えた先の雄信内では、駅には各停しか停まらず、輪行で使える列車がかなり少ない。つまりバス輪に切り替えるなら今しかないのだ。一方、知駒峠とその先の小さい名無し峠まではかなり深い山の中だが、それ以降は比較的開けた台地の道となる。つまり、雨の危険は知駒峠の向こうの雄信内、幌延辺りからぐっと減りそうに思える。
実はもう昨夜の内に時刻表を調べ、宗谷本線の稚内方面に連絡がいいのは、8時36分歌登発のバスだということがわかっている。歌登を8時36分に出発して9時10分に音威子府に到着できるということが、この区間を去年走った身としては驚異的だが、バスはやはり偉いのである。そして音威子府で稚内行きの普通列車に乗り、車窓から空模様を伺って、雄信内とか幌延の先の出発できそうな所で列車を降りればいい。これなら今日のコースを、雨の危険が危ない知駒峠周辺だけを飛ばして、残りは予定通りに辿ることができる。
8時36分に歌登でバスに乗るためには、少なくとも8時半には歌登で輪行を完了しておきたい。その気になれば輪行荷造りの時間は30分で十分行けるが、まあどうせ雨で気分も盛り上がらないので、できればちんたらちんたら1時間ぐらい掛けてのんびりやりたい気がする。ここ辺毛内から歌登市街までは8km強。歌登周辺でありがちな強向かい風を見込んでも、のんびりちんたら走ってまあ30分みれば十分ではあるが、ということは7時には出発しておきたい、雨でも何でも。でもどうせなら、雨が弱まったときに出発したい。
しかし更に時が経ち、6時半を過ぎても雨は一向に弱くならない。そもそも雨が弱まったら出発しよう、という前提が間違っているのかもしれないと、遂に気が付いた。雨具だってあるのだし、30分弱我慢して走れば歌登に着けるのだ。ならばいつ出発しても同じだ。
というわけで、大雨の中6:40、歌登グリーンパークホテル発。
以前このホテルに泊まったとき、この谷間だけ雨が降っていることは珍しくないなどという話を聞いたことがあったが、今日は辺毛内の谷間から道道120に降りてきても雨は弱くならない。次第に谷間が拡がっても、一向に雨は弱くならなかった。まあこれなら何の気兼ねも無く歌登でバスに乗れる。
しかし歌登に近づいて農家が断続し始めると、順当に雨が弱まり始めた。
7:05、歌登バスターミナル着。歌登は普通の雨である。そして輪行を完了する少し前、完全に止んだのだった。
解体袋詰めが済んで、次に荷物まとめに入る前、もう一度空を眺めてみた。北側の山々に係る雲は、低く濃いものの、なんだか明るい気もする。一方、あんなもんに騙されてはいけないという気もする。悩ましい。
結局、早朝の大雨が忘れられない。大人しくバス輪を決め、予定通り8:36の札幌行き特急えさしまで待つことにした。
缶コーヒーと共にけだるい1時間が過ぎてゆくうち、路面はどんどん乾いていった。ちょっと後悔した。
しかし、バスに乗ってからの道道12では、やはり歌登の町外れからいきなり雨になった。さっき騙されて出発しなくて良かったと、心から思った。
そんな乗客の気分を余所に、バスが雨と去年眺めた景色の中を、バス速度で淡々と過ぎてゆく。音威子府までわずか40分足らず。自転車ではあり得ない時間なのに、乗車感覚としては自転車に乗って眺めているより間延びした時間である。人間なんて勝手な物だと思うが、やはり退屈なものは退屈なのだ。自分で脚を動かして移動することは大変なのだが、移動と時間が感覚として完全に一致している実感があるのだと、つくづく思う。
それにしても天気が悪いと、やはり思考が取り留めなくどっちでもいいことばかりだ。
9:10、音威子府着。
音威子府は9:06発の上りスーパー宗谷2を上下各停が待避、各方面からの特急バスと地元路線バスが次々接続する、朝のピーク時間である。ちなみに本バスは札幌行きのスーパー宗谷に4分遅れで乗り換えられない。札幌へはバスでどうぞ、ということだろう。上手くできている。
私的には去年も訪れているので、音威子府の朝の賑わい自体は珍しくも何ともない。速攻で上り列車へ乗り込むと、上り列車は混んでいたが、何とか辛うじて座ることができた。というか、夏休みの鉄道マニアが荷物を座席に載せて1ボックスを1人で占拠していて腹が立つ。みんな20台から50台ぐらいのおっさん達だ。網棚の存在も荷物を揚げる力もあるだろうに。
列車の外はかなり風が強いようで、防風林が大きく揺らされている。しかし天塩中川を過ぎ、雄信内を過ぎると、雨は完全に止み、幌延の先では路面が乾き始めた。相変わらず雲は低く風は強いが、これなら走れるかもしれない。
そこで、豊富から今日の行程に戻って、道北縦貫コースで北上することに決めた。兵安峠、知駒峠、その先の道道785上問寒トンネル(だったかな)越えと、3つも峠越えを省略できて、時間の余裕もある。その分宗谷丘陵はオイシクたっぷりいただけるに違いない。これが旅の余裕というものだ。
記 2014/2/1
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