落石→(輪行)標茶
(以下#3-2)
→(道道13)萩野
→(道道951・830・農道他)虹別
(以下#3-3)
→(国道243)仁多→(農道)弟子屈
→(道道717他)札友内
72km
RIDE WITH GPS
4時に起きても、辺りは薄暗い。この時間なら薄暗さの程度で晴れか曇りかは判断できるが、そもそも明らかな雨の音が聞こえている。草や木々が揺れているぐらいに風もやや強い。夕べの天気予報通り、今日は根室は1日雨ということで何の不思議も無い。
今日の予定コースは弟子屈まで。出発前に悩んで組んだ、2日がかりの根釧台地三昧コースである。昨日の雨でその半分が流れてしまっていたが、1日潰れてもまあ楽しめるように組んだコースだった。しかしいくら何でも、この天気で無人区間10数kmの道道142に踏み込みたくない。
でも、根室から釧路へエリアと天気予報が変わる浜中町までワープすれば、何かが変わるかも(というより天気が良くなるかも)しれない。つまり、浜中駅で現地の天気を確認して、走れれば走るという方法はあり得るのだ。とにかく持てる希望は持つ、ということだけである、今できることは。
5:40、カジカの宿発。自転車で5分ぐらいの落石駅待合室で自転車をゆっくり解体しつつ、ここで自転車を組み立てたのはたった14時間前なのだとか、今年は去年以上にカジカの宿に泊まりに来ただけになったとか、晴れの根釧台地、恵茶人海岸に会いたかったとか、未練たらたらの1時間が過ぎていった。
それにしても何だか全然寒さを感じない。いつも早朝は半袖ポロシャツだけでなくフリースを着込んでようやく我慢できるこの辺りのはず。この不安定な天気は、西から押し寄せてくる暑さのためかもしれない、と思った。
濃霧と雨の中からまず籠もったジョイント通過音とエンジン音が、突然ライトが、そして意外な近さで列車の輪郭が現れた。霧は思っているより濃いのだと思った。その輪郭がはっきりしたキハ54の像になり、近づいて目の前に停まった。6:19、落石発。
根室本線乗車中はずっと雨が降り続いた。しかし、当初予定コースの根室本線横断は浜中で9時頃で、今日この後浜中町、標茶町の天気予報は曇り。このため、浜中到着時点で雨でも、9時の段階で雨が上がれば、予定通りに根釧台地へ向けて出発、事前に丹誠込めた珠玉の根釧台地区間経路を何の変更もせずに再開可能なのである。
7:05、浜中着。まだ雨は降っていたが、このまま9時過ぎまで駅で雨が上がるのを待っていればいい。問題は果たして雨が上がるのかどうかだ。
釧路行きから浜中駅には何人かの乗客が降りたが、地元客らしい方が迎えの車で三々五々去っていった後、待合室には朝の無人駅の訪問客らしくない軽装の女性2名と私だけが残った。私も含めて3人とも全員別口の旅だったが、雨の待合室で20分、30分経過するうちにお話しするようになり、2人がこの目的がわかった。浜中町のルパン関係のイベントが霧多布で行われるために、今日ここに来たとのこと。作者のモンキー・パンチさんも直々に来られるそうだ。けっこう賑わうイベントらしい。
9時過ぎに2人はバスに乗って去っていった。一方、雨が止む気配は無く。まだ私は出発できない。北海道の田舎では、大雨だったのがすっと雨が上がって風が吹いて、一気に晴れてしまうことがよくある。しかし今、その気配は全く無い。そんなはずは、と思って天気予報を再び確認すると、何と朝より悪化していて、浜中町・中標津町とも1日雨とのこと。それなら今の天気は天気予報そのまま、順当で当たり前である。
しばらく悩んだが、今日はもう根釧台地はずっと雨っぽい。だとすると、次に輪行でワープして何とかなりそうなのはもう釧網本線方面だけ。仕方無い、もう宿近くの弟子屈へ行ってしまって、現地でできることをしよう。
9:28、浜中発。釧路行きで昨日の逆送りのように釧路へ向かう。
途中厚岸までは雨が降り続いたが、居眠りしている内にいつの間にか上尾幌到着直前にはもう雨は上がっていた。まあしかし、根釧台地の縁を上がると天気が一変することはよくあるのだ。今日の自分の決定は間違いではなかったと思いたい。
10:38、釧路着。雨はすっかり上がっていたが、折り返し乗り換えの釧網本線普通列車まで1時間しかない。あまり駅から遠くに行く気になれず、目に付いた駅の食堂でラーメンを食べると、かつて急行まりもや夜行おおぞらの寝台車や座席車で6時に着いた釧路駅を思い出す。いや、夜行列車が到着する6時頃にはまだ食堂はやってなくて、確か1時間ぐらいかけて自転車を組み立てた後、手持ちぶさたでも駅の食堂に入る気もせず、露骨に日食っぽい食堂の日食っぽい定食メニューをウインドゥショッピングしていたのだった。駅弁のかにめしが好きだったこともあり、釧路駅の食堂の思い出は、どちらかと言えばそんなけだるい屈折とともにある。しかしそういう私的な事情とは別に、今日のラーメンはなかなか美味しい。昨日ちょっと走っただけで疲れていて塩分が欲しいだけかもしれない。
釧路が意外に晴れている。根釧台地から釧路まで来たら天気が変わっているというだけのことか、または遅れ気味ながら事態が天気予報通りに展開しているのか、あるいはその両方か。何にしても、弟子屈まで列車で行かなくても、途中で下車して走れる可能性が出てきたように思える。ならば列車で向かうのは、弟子屈より手前の標茶辺りがいいだろう。昨日、そして一昨日と3日連続の標茶訪問になってしまうが。
11:36 釧路発。
すっかり雨が上がってはいるものの、未だ厚い雲の下、釧網本線は釧路湿原の際に沿って続く。本来の広々とした湿原の外れでは、森のような灌木帯もしばらく続く。そういえば意外にもしばらく釧網本線に乗っていなかったかもしれないが、こんな明るい森は全く記憶に無い。
釧網本線に乗るのは、思い出してみれば何と10年以上ぶりである。ちょっと待て、ほんとか等と驚きつつ2004年まで思い出して、その先は止めてしまった(結局2002年だった)。根釧台地には毎年来て走っているので、大変に意外だ。
30年前の初渡道時、私は釧網本線に釧路から確か塘路まで乗って、昼の普通列車を何本か撮影してからまた釧路に帰った。土地勘と手持ちネタの全く無い状態で、1日の行動を委ねた路線なので、のんびりした実態とは裏腹にそれなりに印象はある。しかし途中の釧路湿原駅などは、もう旧駅名をすぐ出てこないぐらいに忘れてしまっていた。確かかなり何の変哲もない駅名だったような気もするし、あるいは本当は昔から釧路湿原駅だったかもしれないし、釧路から塘路までは何駅も無いので、元○○駅と言われれば思い出すかもしれない。
今日の釧路湿原駅では、30年前の駅名など全く関係なさそうな若者達が途中下車したり、近くで観光してきたらしく乗り込んできたり。旧駅名もそんなもの関係なさそうなお客さんが多い。別に私が思い悩む筋合いも無いのだ。こんなことで思いが巡るのは、昔の弟子屈駅が今では摩周駅だったり、斜里が知床斜里だったり、他にも何駅かそんな観光っぽい裁けた駅名に変わってしまった駅が、この釧網本線にあるからである。
釧路湿原区間から釧路川上流部酪農地帯へ、そんなとりとめ無い考えも久しぶりの車窓風景も、10年以上ぶりなりに意外に新鮮でそれなりに楽しい釧網本線が続き、12:28、標茶着。
着いてみれば何と昨日乗った快速しれとこ釧路行きと交換する列車なのであった。大きな輪行袋と荷物を抱えて、たった24時間振りに降りてきた私を、昨日乗り継ぎを心配して下さった駅員さんが笑顔で迎えてくれた。嬉しい再会である。
記 2014/1/12
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