とかち帯広空港→(道道109、村道他)中札内
→(道道55・十勝中部広域農道他)広野
(以下#1-2)
→(市道・道道55)御影
(以下#1-3)
→(道道734・55)然別→(国道241・市道他)福平
→(市道・道道316)西居辺→(道道134他)下居辺
119km
9:20、とかち帯広空港着。
機内アナウンスで聞いてはいたが、今日の帯広地方は晴れ。まぶしい日差しと濃い色の青空で、畑・牧草に森の緑がますます鮮やか。雲はすかっと真っ白、強烈なコントラストの色彩が、景色がいいのを通り越してただならぬ雰囲気を醸している。果たして手荷物を受け取って外へ出ると熱風が身体に吹き付ける。空港前の温度表示器は33℃、ああ、悪夢である。これじゃ東京と何も変わらない。
というより、そもそもこの気温、熱中症の危険がアブナイ。「最高気温35℃、すなわち路面近くの気温は軽く40℃以上になります」等と、2日前に自分で力説していたことを思い出す。どうする、下居辺まで輪行するか。でもせっかく来たんだし、東京の35℃と違って、今日向かう予定の八千代・上美生方面の山裾では、山裾効果と森の風で少しは涼しい風が吹いてくれる可能性ある。問題はどれぐらい涼しいかだが、十勝の夏はもともと暑いのだ。5月27日には明日通る足寄(純粋に十勝平野じゃないがエリアはとりあえず十勝)でオドロキの37.1℃を記録している。
ならばもう行ってしまえ。予定コースは十勝平野のすり鉢の縁、もしダメなら真ん中に降りて、バス輪に切り替えればいいのだ。
10時に出発できるといいなと思っていたが、差し迫った時間制限の無い出発時はやはり何かと準備に時間がかかり、10:35、とかち帯広空港発。
まずは今日の終着の下居辺とは逆方向、中札内へ南下する。地形の等高線に沿った直行グリッドを、道道109、興和の馬鈴薯原種牧場前を通り、市道を乗り継いでジグザグに協和へ。牧草地・畑・防風林の緑と、空の青の鮮やかで明るい景色の中を進む。
しかし、予想通りというか予想以上に暑い。いや、期待通りに風が吹いているのでまあまあ涼しいようには思えるのだが、その風は体温以下なだけで、とりあえず自転車に乗っているスピードで風が身体に当たるとある程度は放熱する、ということだけのようなのだ。その証拠に、気が付くと腕の下側には早くも汗がべとべとのぼとぼとに吹き出し始めていた。
うーん、今日はかなり給水には気を付けないと。と思って水を飲むと、汗が一気に吹き出した。うーん、この吹き出し方。出発したばかりなのに、やはりさっきの気温表示の通りに、身体は正直である。今日は要警戒だ。
11:05、中札内市街到着。
まずは何を置いてもとりあえずセイコーマートを表敬訪問だ。セイコーマートじゃないと北海道ツーリングが始まらない。オレンジ色の看板に自動的にセイコーマートの歌をつぶやきつつ、空港で入手できなかった水をボトルへ補給。
店内の自動放送によると、今年でセイコーマートクラブカードも10周年。そうそう、喜び勇んでクラブカードを作って貰ったのは2000年のことじゃったのう。などと思いながら、レジで表のかすれたカードをピッとやってもらう。これ、10年前のカードなんですよー、と店員さんに報告したくなる自分が自分でおかしい。暑くても何でも、ウレシイ北海道ツーリングの初日なのである。
次は道の駅。2008年にここで食べたチキンカレーがとても美味しかった。去年は再訪を断念したが、今年は距離の短くなる初日を狙って、満を持して中札内に寄る行程を組んだのだ。カレーの他にも、去年中標津の温泉で、中札内地鶏の唐揚げに心を奪われたのを思い出す。要するに中札内はそういう農畜産物全般が非常に魅力的な場所なのだ。
しかしいざ道の駅に着いてみると、暑すぎて全く食欲が出ない。いや、アイスとかソフトとかはまだ食べられる気がするのだが、少なくとも熱いご飯などはまず無理なのだった。
腹いせにソフトを食べ、またいつかそう暑くない日の再訪を誓いつつ、今後の行程を復習してみる。もういい加減お昼前だ。このまま山沿いの八千代に向かっても、どうもあまり涼しくならなさそうなのを確信できるようになってきた。ならば、清川のジンギスカン「白樺」とか、八千代牧場のレストランとか、八千代YHの昼間営業のカレーとか、この辺りの休憩ネタで使える物は無さそうだ。粛々と予定コースを進み、つらくなってきたら帯広に一気に下ってしまおう。かつて2005年、八千代から帯広まで1時間ちょっとで下った経験もある。あのときも帯広は暑かったな、確か。でも八千代はまだ涼しかったが。
11:30、中札内道の駅発。
まずは道道55〜十勝中部広域農道、2年前夕方の景色がとても美しかった道へ。
さっきの中札内までと同じく、景色は鮮やかというよりとんでもないコントラストと彩度の青、緑で一杯である。
▼動画1分32秒 西戸蔦
中札内を出ると、すぐに中上清川。ここを右へ曲がると清川、あのジンギスカン白樺が待っている。時間はちょうどお昼前。美味しい焼き肉を食べて直接帯広へ向かえば、その後は今日の宿の下居り辺には余裕ある行程で、しかも早めに着けて温泉でゆっくりできるだろう。しかし暑くて食欲が全く無い。腹が減っている気がしないし、ものを食べる気がしないのだ。
▼動画42秒 中上清川
日高山脈をバックに拡がる畑の中、十勝中央広域農道は八千代へと向かう。進むに連れ、左側の日高山脈の山々はぐっと近づき、青いシルエットが存在感を増す。日高山脈はそのまま正面遠く大雪山系までぐるっと続き、更に右へと回り込んでゆく。
相変わらず強力な太陽光線で、拡がる畑、山々のシルエット、そして青空、景色の彩度、コントラストはとんでもないことになっている。目の前の濃厚な景色を暑さでぼんやりした頭で眺めつつ、てれてれ力無く淡々と田舎道を流しつつ、しかし十勝の広々とした景色はつくづく良い。
前述のように八千代では、八千代牧場、八千代YHのお昼のカレー、食べたかったい物が一杯だが、さっきの中札内以上に今日はちょっと食べる気にならない。それぞれちょびっと(八千代YH)、またはラストでどかんと(八千代牧場)登りもある。もうあまり葛藤もせず、八千代周辺はそのまま通過。最初から諦めていると、残念にも思わないのだ。いや、頭がぼうっとしているのだった。
それより大切なのは水の補給のようである。中札内を出てから水を飲むたびに一気に汗が吹き出てくる。これは水不足気味の危険な兆候だ。幸い十勝は根釧台地などより人口密度が高いためか、防風林のグリッドは似ていても、最低限自販機があるぐらいの何軒かのちょっとした集落がしばしば現れ、その度に冷えた水を飲むことができた。
記 2010/9/1
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