五味温泉→(町道)下川→(道道60)幌内
(以上#12-1)
→(道道49)仁宇布→(道道120)歌登
(以下#12-3)
→(道道120)中頓別
→(国道275)上駒→(道道785)八線
(以下#12-4)
→(農道・道道583・道道395)国府
→(国道40)南下沼→(道道972)音類→(道道106)抜海 243km
幌内の無人の森の中で、今度は道道49へ分岐。イキタライロンニエ川の谷間を美深松山峠、仁宇布へ向かう。標高差は220mぐらい、背が高く深い森が頭上に茂る、薄暗く静かな印象の道だ。
広葉樹、針葉樹とも、やはり原生林のようで、そんな看板も立っている。
狭い谷底を辿って次第に山肌へ高度を上げる途中、行く手に大きな鷲が現れた。鳶かもしれないが、低空飛行で行く手の路上をゆっくり飛んでいき、だいぶ先で木や標識に止まり、こちらが近づくとまた路上を飛んで先に進む。
襲ってくる気配は全く無いのだが、いや、路上の未確認移動物体を、やはり襲えそうなら襲うつもりなのだろうか。
結局鷲は美深松山峠の手前まで道案内のようにこちらを先導し、ぷいとどこかへ飛んでいった。
美深松山峠から仁宇布まではやはりだらだらの下りである。
途中に入口がある美深松山湿原ももうだいぶ長い間宿題になっているが、なかなか立ち寄れない。
山間の森というより茂みのような谷間に牧草地が拡がるともう仁宇布手前だ。
いつも印象的な交差点近くの白樺並木を眺め、9:05、仁宇布到着。下川から峠2発含みで3時間、当社比ではなかなか快調といえる。
山間にしては早いこの時間に、交差点の土産売店兼軽食喫茶「コイブ」はちょうど開店したばかりのようだ。そろそろ腹は減っているし、相手にとって不足は無い。いつもチャンスがあれば食べる羊カレーを注文、この際大盛りにしてもらった。一見ちょっと引くぐらいに量が多く、しかも今日は羊肉独特の香りが多少香ばしい大盛りカレーだが、羊乳ヨーグルト効果でとてもまろやかな味はいつも通りである。サラダも貴重な生野菜、まとめて一気に平らげた。さすがに何と無く腹ががぼがぼになってしまって、普通盛りにしておけば良かった、とこのときは少し後悔した。
が、今日この後、大盛りカレーは私を救ってくれることになる。
9:25、仁宇布発。ここから道は道道120となる。次は盆地の縁の西尾峠だ。▼動画34秒
牧草地の北端、さっきの「コイブ」や去年泊まった「ファームイン・トント」の元締めで、更に吉祥寺にまでお店のある松山牧場を横目に通過した辺りから、俄然辺りが暗くなり始めた。
西尾峠はそのすぐ先なのだが、案の定峠に着くまでにぱらぱら来始め、「西尾峠」の丸太を過ぎる前に大雨になってしまった。
峠を越えた道はフーレップ川の谷間へどんどん下ってゆくが、20kmぐらい先の上徳志別までひたすら無人の森が続き、途中の天の川トンネルまで雨宿りポイントすら無いはずだった。おまけに峠から下っているのというのに、雨は次第に強くなってきた。思えばこの道北の山奥、本来天気がどう変わっても不思議ではない。みるみるうちに帽子の鍔から雨がぼとぼと、雨具のウインドブレーカーももう水が浸透して、身体にぺたぺた張り付いて不快極まり無い。雨だけではなく、気温も急に低くなってきた。
ひたすら耐えて黙々と下っているからか、さっき大盛りカレーで満腹になったからか、次第に眠くて仕方なくなってきた。まずい、このままじゃ居眠り運転になってしまう。実は去年の北海道で、一回居眠り運転で道ばたの茂みに突っ込んだことがある。目が覚めた瞬間、自転車の方向が狂って、道ばたの茂みに放り出されたのだ。幸いその時は背の高い蕗の茂みに受け止められただけで、自分も自転車もほとんど傷は無かったが、もしコンクリートの突起だとか鉄骨の柱等にあの速度で激突していたら、ツーリング終了というだけでは済まなかったかもしれない。
登りで速度が落ちているときの居眠り運転は今まで時々あったものの、平地で普通に走っているときの居眠り運転は非常に恐ろしいことを、その時思い知ったのだ。しかもまたもや道道120なのだ。道ばたで居眠りできればいいのだが、この大雨だとそれも難しい。やはり身体が疲れているのだ。頼む、あと少し持ってくれ。
何とか必死に眠気に耐え、牽牛橋から天の川トンネルへ入り、とりあえず雨は一時的に凌げるようになった。トンネルを抜けた大曲には、織姫橋の屋根付休憩所がある。一安心だ。
大曲の小さな峠を越えると、牧草地の拡がる山間の人里、上徳志別だ。
拡がる緑の牧草地は低い山の間でのんびりと静かで、下川から歌登、中頓別までの間の景色で一番好きな場所である。▼動画1分4秒
雨は峠の先から急に弱くなって降ったり止んだり、降ってももうぱらぱら程度で、もう大丈夫だろう。と思っていると、また雨が降り出して雨具を引っぱり出す。
志美宇丹では、かつて集落の小学校の脇に道道が通っていた。その道道は集落の少し外側へバイパス(するほど人は住んでいないが)してしまっていて、小学校にも真新しい「ありがとう」の看板が掛かっていて、今年で廃止になってしまったようだった。私はこういう小さな小学校のある小さな集落が大好きなので、何か寂しい。
上徳志別、志美宇丹の盆地の縁の向こうは、いよいよ歌登から拡がる平野である。
縁を乗り越える辺りでまた雨が降りはじめ、下った辺毛内から牧草地、畑が拡がると少し向かい風まで出てきたが、ここまで来たらもう迷うことは無い。
あと数km、平野をひたすら下るだけだ。
歌登到着は11:40。下川から約100km、途中雨宿り&居眠りの足止めはあったが、まあまあ当社比では快調と言える。この先小さな峠を一つ越えて中頓別13時、知駒峠から豊富へ抜け、何とか16時半ぐらいに豊富を通過できれば、抜海には18時半過ぎぐらいには着けるだろう。相変わらず天気はぱっとしないが、ここまで来たらもう知駒峠を越えるまでエスケープルートは無い。もともと予定のコースを着実に進むだけだ。というわけでそのまま歌登は通過。
記 2008/10/13
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