札友内→(国道243)ウランコシ→(道道588)津別峠
→(林道津別峠線)津別峠展望台
(以下#8-2)
120km
屈斜路湖岸の縁が緩やかに弟子屈へ下って行く弟子屈原野、その釧路川畔の茂みに建つ「鱒や」。今日も早朝出発で美味しそうな朝食は食べられないが、その代わり、他のお客さんがまだ目覚めていない早朝の、誰もいない静かで爽やかな雰囲気を独り占めできている。
辺りはようやく明るくなったばかりだが、見上げると青空がすでに拡がっている。これでは今日は津別峠から展望台に向かうしかない。そうなると、早めに出発する方がいい。まあ実は毎日早めに出発しているが、とにかくこういう天気が良い日は早く出発するに限るのである。
5:50、札友内発。釧路川の茂みから牧草地を抜け、国道243へ。
屈斜路湖畔へ向かって大緩の登りのはずだが、多少追い風なのもあって、辺りは次第に牧草地から釧路川沿いの低木林へけっこう快調に推移する。概略緩登りのはずだが、道の斜度はあまり感じない。そういう地形なのだろう。
屈斜路辺りで周囲は湖畔の畑となる。山側の外輪山、湖側の畑とも、済んだ涼しい空気の中で爽やかにすかっと景色が拡がっている。特に外輪山は間近に見え、よく見るとこれから向かう津別峠の道も間近に見えていた。
さっきの弟子屈原野での早朝に較べ、いよいよ快晴である。この天気では、もう後が長丁場だろうと時間がどうだろうと、津別峠から展望台に向かうしかないではないか。後のことはその時考えよう。せっかく遠路はるばるやってきても、どんより曇っている年もあるのだ。
等と考えながら、明るい湖岸を進むことしばし。ウランコシの屈斜路湖プリンスホテルが見えてきた。道道588への分岐到着、登り開始である。
登り始めると、今までの平坦な湖岸を流しているだけでは気づかなかったが、意外に暑い。意外にと言うより、シャツの中で汗がだらだら滴り始めて驚かされる。裾野の直登区間は木陰が無いので、尚更鋭い直射日光が襲いかかってくる。
まあそれでも直登区間は下から終わりが見える程度の長さ。汗が目に入ったりあごから滴るぐらいのところで、何とか森の中のつづら折れへ逃げ込むことができた。助かった。まだぎりぎり6時台、この先お昼を迎えるとどうなってしまうのか想像したくないが、とりあえず今は目先の津別峠を登ってしまわないと。
峠道には背の高い広葉樹林が続く。緑に染まってしまいそうな木漏れ陽に、静かで涼しい木陰が何とも素晴らしい。斜度は7〜8%程度で断続、まあ均等勾配より比較的登りやすい。
深い森の中には鹿ががさがさ、路上には時々キタキツネも登場する。夜明け前に森の奥へ帰り損ねたようなガも、時々ひらひら寝ぼけて飛んでいる。
こういう楽しい状況で片手撮りをしようとすると、またもやGRDが不調である。時々足を停めると、暑いのもあって何と無く停まり癖が付いてしまう。
つづら折れを何度か繰り返し、森が切れ始めると屈斜路湖が見え始めた。
真っ青な空を映した湖面は更に真っ青、遠景の山裾の一部だけが雲に隠れている。これは絶対に展望台に行かねば。
最後は山肌を巻きながら道は峠を目指す。周囲が開けたので辺りの展望は悪くないが、周囲が開けてからが意外に長い。そういえばかつて下ったときも、しばらく下って屈斜路湖を眺めてから森区間に入ったのだった。
8:35、津別峠着。やや時間は掛かってしまったが、この好天で展望台からの景色を見に行かないわけにはいかない。見逃すと多分あと数年後悔するだろう、というぐらいの好天である。後のことは後で考えよう。
というわけで、林道津別峠線へ。ところが、初っぱなの10%ぐらいの坂で、全然力が入らない。汗がだらだら出て、ペダルを踏み込むのがしんどい。疲れているのか。いや、この時間にして暑すぎるのだ。だって時々木の間から吹いてくる風が気持ちよくて仕方がない。いつもだと津別峠は風が吹かなくてもこの涼しさなのだ。
理由を何と無く想像しても暑いものは暑いし、しんどいものはしんどい。要するに身体がどうにもならないのである。仕方無いので休み休み登り、最後の展望台手前の激坂は押しになってしまった。
9:00、津別峠展望台着。
そのまま建物裏手の屈斜路湖を見下ろす広場に自転車を乗り付けると、何と意外にも、ここ数年間休みにしか当たらなかった蕎麦屋が営業中、いや、おばさんが営業の準備中である!ワタクシとしては、これはもう蕎麦を食べるしかない。
準備ができてすぐ作ってくれた蕎麦を、外の広場で真っ青な屈斜路湖を見下ろしながら食べるとする。日差しは暑く厳しいが、空から吹いてくる風が涼しい。屈斜路湖から摩周湖の外輪山、その向こうの知床の山々、その裾野から拡がってゆく根釧台地。冷凍蕎麦ではあるが、青空の下、絶景を前に最高の一杯である。
食後は展望台の上階へ。たかだか10数m登るだけだが、屈斜路湖の見晴らしは一段と凄みを増す。
振り返ると雌阿寒岳、雄阿寒岳から、北見の低山へ続く緑の稜線の重なりが重厚だ。奥のひときわ高いのは何と大雪だ。呆気にとられて眺めつつ、しばしぼうっとしていると、またもや涼しい風が吹いてきた。
▼津別峠展望台からの西側展望(Quicktime VR) 画像上でマウスをドラッグしてください
眺めていると、駐車場には鹿が登場。遠巻きに眺める人間どもを尻目にのっしのっし闊歩している。まだ9時台、訪問客が少ないこともあり、まあそんなのんびりした展望台である。
記 2007/9/24