(以上#6-2)
→(町道北19号・道道150)開陽→(道道775)川北
→(道道774)標津→(国道244)尾岱沼 148km
15:00、開陽台着。
青空の中にやや雲の多い今日の開陽台だが、基本的に空気は乾いていて、夏らしい日差しに草や森の緑、遠くの景色が靄に隠れてうやむやにならずにはっきり見渡せる。
ぐるっと見回す地平線、その視界の彼方へ続く根釧台地をグリッドに区切る防風林、一直線に伸びて行く道。あまりに広々とした景色が、その上の空が、自分と連続しているのを実感できる。毎年来て思うが、ほんとに来て良かった。
ちょっと腹ごなしにと思って展望台の食堂へ向かうと、去年まであった「ハイジーの家」は営業撤退、代わって何と中標津バスターミナル前のラ・レトリなかしべつがオープンしていた。メニューは随分しゃれた物に替わっていたが、暑くて疲れていたので、カレーが食べられなくてちょっと残念ではある。
もう15時台、とにかく人が多い。いつもの地平線にも会えたし、あとはもう先に進もう。
▼動画1分35秒 ▼動画23秒
15:40、開陽台発。町道北19号をさっきと逆戻りに下り、道道150で数グリッド南へスライドする。
もう何度も通ったことのある道で、特にこの辺りは牧草地にシラカバ並木が何だか懐かしいようないい雰囲気だ。この雰囲気、印象は、中標津を初めて訪れたときと全く変わらない。というより、今回気が付いたが、この道の雰囲気こそが自分にとって中標津の印象で、この雰囲気に会いに中標津を訪れるのかもしれない。距離で言えば僅か数百mだが、何だかそんなのんびりした良い道である。
開陽からは道道775で再び東へ。さっきの登り基調&向かい風の逆なので、当然下り基調&追い風の楽ちんだ。
どこまでも一直線に続く道、周りの牧草地と防風林は、もうすっかり夕方の赤みを帯びた光に包まれはじめ、風は涼しい。再び横から差しはじめた陽差しに雲が消え始め、澄んだ空の中に武佐岳がくっきり現れていた。
▼動画42秒
もう夕方だが、この先標津から尾岱沼へ向かうだけ。夕食のおかずでも想像して景色を楽しめばいい。のんびりてれてれと最高に楽しい。
川北からは道道774。手持ちの初渡道から買い換えていない地図には載っていない、標津川の低地の牧草地から湿地に続く道である。
▼動画38秒
▼動画21秒
鬱蒼と、しかし寂しげな低地の茂みを東へ、最後は標津川を渡るともう標津外れだ。
ところが、ここでまたGRDにトラブルが発生した。それも今までは電池を入れ直せば何とかなったが、今度は何と日付設定からのフルリセットである。しかも例によってリセットにたどり着くのが再起動数回につき1回、撮影してもすぐ電源が落ちて、まともに撮影が完了したのは数回の撮影を試した後だった。もはや絶不調、いや、壊れてしまったと認めざるを得ない。思い当たる原因はといえば、あれだけ雨で濡らしてしまったことに尽きるだろう。内部にもかなり浸水しているはずだ。
また、GRDの他にも、フロントバッグにトラブルが発生しつつあった。蓋を留めるベルトの片方がもともと根本から抜けかけていて、それがいよいよ最終局面を迎えつつあった。つつあったのだ。何代目か忘れてしまった程愛用しているこの製品、過去初めてのトラブルだ。明らかな縫製ミスだが、このツーリング途中でメーカーに腹を立てても始まらない。コンビニで安全ピンでも仕入れて何とかしないと。
17:45、標津着。少しコンビニで休憩後、標津発は18:00。
標津から先は、再びオホーツク海沿いの国道244を南下、10km先の尾岱沼が今日の終着地である。港町の標津を抜けると、広々とした低地に砂浜の漁村が続き、海へひたすら細長く伸びた半島のトドワラへの分岐を見送り、台地の森のアップダウンが始まる。
もう18時過ぎ。海も森も何だか寂しげな雰囲気だ。早く宿に着きたくなってくるが、さっき一応動くようにはなったGRDが不安通りまたもや絶不調である。何度もGRDの起動を試す内に時間が経つ。辺りは容赦なくどんどん暗くなるので、後は宿で試すことにして、今まで狙い定めて撮っていたGR1でこの後宿までつなぐことにした。
要するにGRDは壊れてしまったのだった。メインカメラを予備のGR1にチェンジしなくては。しかしもともとここぞの1枚用で持ってきているため、ネガカラーは36枚撮りわずか5本だけ。どこか途中でフィルムを仕入れなくてはならない。さっきの標津で、カメラ屋を物色するんだったと思っても、後の祭りだった。
森から辺りが開けるといよいよ漁村の尾岱沼だ。
18:45、尾岱沼「まきばの宿」着。部屋が綺麗で食事が美味しくボリュームたっぷり、何より生クラシックが飲めるこの宿、今日はちょっと延着気味で夕食時間に遅れてしまった。まあそれでもまだお客さんはのんびり夕食を食べていて、多少気は楽だ。
その夕食前、軒下のテラスに自転車を置かせてもらいに行くと、別の自転車が1台。自転車ツーリストがもう一人泊まっているようなのだった。しかし、食事ですれ違い、翌朝は私が早出と、その方とは遂にお会いできなかったのだった。
風呂の後は例によって宿の前で少し涼む。宿の前の国道244には、時々車が真っ暗闇の中から現れヘッドライトを煌々と照らしつつ現れ、高速で通り過ぎていった。
さすがに道東もオホーツク沿い、昼間は暑いと言っても夜は何とも涼しい。風に吹かれて見上げる夜空は雲が切れ、明日の晴天が期待できた。
記 2007/9/14