(以上#5-2)
→(国道334)知床自然センター→(道道93)岩尾別
208km
16:00、斜里発。
斜里国道交差点から先、国道244は南に向かってしまい、そのまま一直線の道は国道334と名前を変えて更に東へ向かう。
斜里周辺の内陸は、海別岳、斜里岳の裾野である。なだらかに海別岳へと続いてゆく畑と、その畑に並ぶ不揃いの防風林は、斜里でいつも楽しみな風景だ。
▼動画12秒
以久科、朱円と道は次第に平野部からその裾野へ高度を上げ、山裾に辿り着くと直角に方向を変えて峰浜の漁港へ降りてゆく。ここでいよいよ知床半島に辿り着いたことになる。
狭い浜辺に張り付く漁村の雰囲気が物寂しい峰浜から、海辺の岩場を避けるのか、少しだけアップダウン。
知布泊で海岸の日の出大橋へ一気に下り、それからはウトロまでしばらく海岸沿いの道が続く。
▼動画30秒
行く手に伸びる岩山は、木々の緑の濃さと共に迫力満点だ。オホーツク沿岸の少し寂しい北の海岸線中、異例の逞しい風景である。
そういえば、青空の色も斜里へ向かうとどんどん淡くなるのに、知床半島では急に濃い色になるように思う。
もうすっかり夕方だ。薄曇りだというのに今日も辺りは赤っぽく、特に空と海はほわんとオレンジ色がかった明るい色だ。その夕方の赤い光で、岩も緑も鮮やかだ。
ところで、今回は知床へ向かう車がとても多い。しばらく車が途絶えるときもあるが、やって来ると団子状態がしばらく通過する、という感じだ。前回の訪問は2002年、その前は2000年だが、かつての3倍弱ぐらいにも思える。世界遺産効果は大きいと言わざるを得ない。
砂浜部分やオシンコシンの滝では道路脇の駐車が道に溢れそうで、砂浜には釣り人もうじゃうじゃだ。道ばたでバーベキューを楽しんでいる人も多い。
17:40、ウトロ着。
久しぶりのウトロの町は一変していた。いや、海沿いにバイパス新道と道の駅ができて、かつて国道沿いだったウトロの土産物屋・民宿街が、完全に裏通りになってしまっていたのだった。道の駅には漁協直営の土産物屋があるようで、立ち寄ると楽しそうだが、今回はもうそのまま一気に通過。岩尾別へ急がないと。
セイコーマートで補給後、18:00、ウトロ発。辺りは薄暗くなり始めていた。
幌別からはいよいよ知床峠への登りが始まった。海岸からいきなりぐわーっと大きなつづら折れで登ってゆく道は、見た目には目に付くが、実際に登ってみると斜度はあまり大したことは無い。
夕方の幌別橋では夕焼けのオホーツク海が拡がった。真っ赤な空、静かなオホーツク海に思わず足が停まる。
知床自然センターの先から道道93へ分岐。いよいよ岩尾別まで最後の道だ。
この先の知床五湖、カムイワッカの滝へは夏季マイカー規制があり、昼間は知床五湖以遠は路線バスだけが走っている。その路線バスは、この時間もう運転していない。地元の宿以外の車がいなくなった道には鹿がうじゃうじゃ出動していた。自転車なんかじろっと一瞥して、逃げようともしない。
岩尾別の狭い谷間に出ると、行く手の山肌に張り付いて、標高差100mをつづら折れでぐいぐい下ってゆく道と、対岸間近に切り立った岩山が目の前に現れた。これは迫力がある。明日ここを登るのか、と覚悟を決めた。まあ登ってしまえば淡々と登れるような気もしないでもないが。
岩尾別は2000年以来7年振り、ここの登りは全く記憶に無い。うーん、我ながら忘れてしまったにも程がある。
18:45、岩尾別YH着。
さすがに18時過ぎとは言えないが、夕食にはぎりぎり間に合ったようだった。主役は、鮭のフルコースの代役としてお願いしておいたほっけ御膳。タラバガニも付いてYHの食事にしちゃ質量ともなかなか以上、汗で身体べたべたのままの夕食だがとても美味しく楽しめた。
しかし、ここでGRDの起動トラブルが発生した。スイッチを入れても途中で止まってしまうのだ。電池かと思って交換してもダメ。仕方無いのでGRD起動復旧より食事を先行させることにした。
窓には山の宿の例に漏れずガがうじゃうじゃ。何故か大型のカミキリムシが長い触覚を振り振り廊下をのっしのっし歩いていて、いかにも秘境のYHらしい。
風呂上がり、涼みに外の自販機へ。例によってガだらけの販売機から、小羽ねの貼り付いた缶飲料を仕入れ、ちょっと曇り気味の夜空を見上げて飲む。涼しい風がとても気持ちいい。
そろそろ寝ようと思ってコンタクトを外すと、「星が出てますよ〜」とのこと。めんどくさいのでちょっとそのまま外に出るが、星が降ってきそうな雰囲気がぼんやり見えたような気がしただけだった。
記 2007/9/13