(以上#3-2) 116km
トマム→(道道136)串内→(道道1117)ルーマ
→(国道38)幾寅 27km
駅前にいつの間にかできていた地元の交流施設「ぬくもりセンター」に風呂屋が併設されていたので、そこでひとっ風呂浴び、追分発は16時28分。石勝線〜新得辺りでいつもお世話になるスーパーとかち7号である。
トマムまでは1時間弱。知識としてはそんなもんだという感覚はあるが、改めて地図を見るとけっこうな距離で、ちょっと心配になってしまう。しかし、スーパーとかちは振り子機構をぐいぐい効かせ、山間の石勝線を爆走するのだった。速い。
沿線の山間は雨だったり雨のすぐ後だったり。川も過去最大級の泥水濁流がどこでも溢れそうで、この時点でようやくさっき感じた損した気分は少しは解消された。やはり雨の中を走らずに済んだのだ。
17:20、トマム着。雲は低いが雨が通り過ぎた後のようで、道の水たまりも程良く乾き始めている。ぱらぱらっと降りた乗客達は、それぞれ肉親やホテルの車で去っていった。再開を喜ぶ帰省客の姿が微笑ましく、何と無く羨ましい。人が去ってしまえば、商店も何もない駅前は、ひたすら取り付く島が無い。
夕方なのと雨上がりで、辺りが妙に涼しい。気温が暑かった一昨年と違い、自転車を組み立てていてもアブ1匹寄ってこないのだ。あやつら、温度でてきめんにやる気と態度が変わるのである。
17:50、トマム発。2年前もそうだったが、ここで降りると向かう方向はいつも落合方面である。いつもと違うのは、去年驚かされた新高速道路の工事がだいぶ進んでいたこと。
去年から知ってはいても、現実に目の当たりにしてみると、やはり景色が変わってしまうんだな、という気持ちで一杯になる。
石勝線から眺めたニニウの谷など、鵡川沿いに巨大な橋脚がばんばん建ち並んでしまっていて、もうあの静けさは戻ってこないことを実感したが、走り始めた道道136も、土砂運搬ダンプが多いし、道自体も土埃で目が痛いほどだ。
上トマムの愛らしい集落を過ぎ、間もなく道が北上を始める直角カーブ辺りでは、以前は狩勝国境の山肌が間近に迫り、麓には牧草地がなだらかに続いていた。今回来てみると、その草原が全部高速道路のインターチェンジに変わり果てていて、工事用の大型車両が忙しく走り回っている。
何だかちょっと悲しい訪問になってしまった。
この高速道路、以前から計画だけあった道道136の狩勝国境越えルートに近く、未済区間の代替になるのだろう。
直角カーブの手前から先は、もうずっと幾寅まで下り基調である。
次第に暗く涼しくなる森には、所々で雲の切れ端のような霧が漂い、なかなか山深い景色を見せてくれていた。
ルーマで国道38に合流。落合では2年前に泊まった宿を横目に通過するつもりだったが、何と!その場所は建屋が解体直後で、残骸がまだ片づけられていない状態だった。火事でも起こったのか、どうもそういうわけでもなさそうだが。
いつも意外に静かな国道38、今日も車はそう多くなく、比較的安心して走ることができる。増してや下り基調、幾寅までもう10kmを切っている。
速度維持ぐらいで足を動かしてのんびりのんびり進むうち、辺りも曇り空も次第に暗くなり、車のヘッドライトが遠くから見え始めて、19:00、幾寅「なんぷ亭」着。
新しくて部屋も風呂も小綺麗、部屋などクーラー付だ。それよりもこの宿、1階がレストランで、私にとって忘れられないなんぷカレーが食べられると言う。
1998年にこの近くのかなやま湖保養センターで食べてから忘れられないなんぷカレー。鉄板ステーキにご飯とカレーを強引に加えただけと言えばそれまでだが、なかなか美味しかったのに、それ以来食堂では出していなくて、ずっと記憶に残っていた。そのなんぷカレーがこのレストランでは食べられるのだ。
他の料理や正規の夕食も美味しそうだったのでもともと注文しなかったし、夕食が終わってみたら腹に他の物等入る余地が無かった。結局今回なんぷカレーは食べられなかったが、もしこの宿に早く着けば、そしてさっき追分で余計なラーメンなど食べなければ、なんぷカレー1食ぐらい行けたかもしれない。これまた無計画が生んだ後悔だった。
後悔先に立たず、明日は後悔しないように走ろう。
記 2007/9/3