浜頓別→(道道84他)豊富
(以下#11-2)
173km
今日は晴れるらしい。まあ道北もいよいよ最北部のこの辺り、旭川基準の道北の天気予報と実態が全く違うことは珍しくないが、今日は気圧配置が比較的はっきりしているので、信用しても良さそうだ。
外に出ると、空はまだ雲が低いが所々青空が見えている場所もある。ある程度日が昇れば、雲がどこかへ行ってしまうパターンだろう。
5:30、浜頓別「トシカの宿」発。
いつも浜頓別出発時に立ち寄る国道275方面のセイコーマートは6時からだが、町の向こう側のコンビニが営業中らしい。ちょっと行ったり来たりがあったものの、無事に探し当てて朝食とすることができた。それにしてもさすがに道北もこの辺りまで来ると、もはや朝はかなり寒い。「トシカの宿」出発時からウインドブレーカーを着込んじゃいるが、缶コーヒーも今日は暖かい物を飲んでいる始末だ。もうお盆休みは終盤、8月もそろそろ下旬が近い。茂みでは秋の虫、カンタンすら鳴き始めている。
6:05、浜頓別発。まずは道道84で道北横断、町外れから牧草地の谷間へ下る。
昨日も通った仁達内から先は2000年以来7年ぶり。前回は逆方向からの訪問だった。曇りと雨半分半分、「トシカの宿」の夕食時刻を気にしながら夕闇迫る中の気が急く道程だったのが記憶に残っている。
断続する牧場の先、こちら側の最後の民家を過ぎると、豊富町の北進過ぎまで約50km、完全な無人地帯の開始だ。
オサチナイ川沿いの牧草地から森の谷間を遡り、最初の丘越えは僅か標高100m。峠というには微妙である。
するするっと登って猿払町との町境を越え、やはりするするっと下ると、次は猿払川沿いの湿地帯に突入。
低山に挟まれてほぼ平坦に、登ってゆくわけでもなし開けるわけでも低山が近づくわけでもないた低木の茂みが続く。
湿地帯まっただ中の上猿払では、昨日北オホーツク自転車道で通った猿払へ向かう道道732と分岐する。
この道道732、雨が降ると閉鎖になるという10km以上のロングダートである。分岐からのぞき込むと、なるほど、取付部から埃で真っ白いダートが見えた。湿地の奥で道がじめじめ湿っているかどうかはわからないが、北オホーツク自転車道でさえ熊が出るこの辺り、こういう道には近寄らないに越したことはない。
上猿払から、今度はセキタンベツ川という名前の川の遡上となる。辺りの茂みはより鬱蒼と、高い草の川沿い湿地帯の道は一昔前の道道級に細くなり、高く密な草、くねくねした低木や朽ちかけた倒木の中から、何かに見つめられているような気分になってくる。曲がりくねった川の流れも妙にゆっくりと穏やかで、またそれが不気味だ。
一方、ここへ来て急に空の雲が切れて青空が現れ始めた。と思ったら、面白いように低い雲がどんどん動き出し、辺りは急に明るくなってきた。
そんな湿地帯がしばらく続いた後、近づいてきた低山の山肌を巻きながら、道は湿地帯から離陸するようにおもむろに登り基調となった。そのまま屈曲した山肌をくねくね巻きつつ、稜線の凹みへ向かい、やがて峠らしき坂の終わりとと豊富町との町境が登場。こちらは標高200m弱、峠としてさっきの丘越えとは区別してもいいだろう。
町境を越えて下ると、こちら側は比較的すぐに牧草地が登場。
向こう側は浜頓別町が牧草地、猿払村へ入ってから鬱蒼とした湿地帯が始まったので、猿払村奥の区間がこの道の湿地帯の区間ということになる。
北進の道道121への分岐を過ぎると、去年豊富から向かった豊富温泉までほんの僅かの未済区間である。豊富温泉は呆気ないほどすぐに現れ、あとは谷が一気に開けて見覚えのある景色の中を豊富へ。
9:10、豊富着。町外れ、国道40沿いのセイコーマートで少し休憩することにした。
買い物を終えて店を出ると、すっかり雲が消えていて、ここ数日の曇りが嘘みたいに日差しが厳しく激しい。稚内まであと30km、この道北にして日なたはくらくらするほど暑いのである。それでも、日陰はこの時間でも何とか涼しいのが助かる。
9:30到着かなと思いながら走っていたら、20分も稼げた。気を良くして、出発時に未定だった今日明日の行程の詰め、今後の未済事項をいろいろこなすうち、無情にもあっという間に50分も経ってしまった。なかなか油断できないものである。
記 2007/9/29