寺垣内→(国道425)池原橋→(国道169)奥瀞橋 |
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夕べ宿のおばさんに言われていたとおり、早朝は寒い。ウインドブレーカーを室内で着込んで、熱いお茶を飲んでようやく落ち着く始末である。
6:00、寺垣内発。朝日に照らされ始めた山間の集落では、棚田にはまだ水も張られていない。毎年のこの季節、あちこちで見かける田植えの風景を思い出し、やはり山間の寒い場所なのだと思う。
昨日に引き続き国道425をそのまま北上し、谷間が狭くなって坂が次第に厳しくなると、池峰に到着。標高400m、約180m落ち込む北山川の谷の縁の上に拡がる峠の集落だ。集落の谷の縁、斜面が落ち込む手前には、こんな場所には珍しく明神池という池と、程良い広がりの公園までできている。ここで宿で汲み忘れた水を補給することができた。なかなか美味しい水だ。
池の向こうの杉林を少し下ると、眼前に大きくうねった北山川の谷間が現れた。
新緑の山々に囲まれ、拡がる下池原の集落には、町、学校、畑、そして国道169が、朝日の中で精密に輝いていた。
今までの山に挟まれた日陰の道から、谷間に出て日なたの道になり、寒かった空気は爽やかに感じられるようになった。下りの斜度は昨日の白谷越えと同じく国道425標準、なるべくなら登りは避けたい斜度である。そのまま下ると一気に谷間へ急降下。
6:35、そのまま標高220mの下池原を通過。国道169は幅の広いごく普通の国道なので、町中の旧道へ足を向ける。早朝散歩のおばさん達が目を合わせて挨拶してくれるのが楽しい。
北山川沿いのとぐろを巻く谷間に国道169・309の併用区間が続く。すぐに北山川の幅がなみなみと広がって、七色貯水池の上流部となった。新緑の山間、湖水は静かで美しくはあるが、いかんせん道幅が広すぎて落ち着かない。
粛々と足を進め、七色貯水池の谷間を一旦トンネルで抜け、道は田んぼの拡がる別の谷間、桃崎へ抜けた。ここで熊野市街方面へ向かう国道309と、奥瀞峡・熊野川へ向かう国道169が分岐する。以前は無かったコンビニも発見、懸案だった電池を買うことができた。
7:30、桃崎発。ここで国道309と分岐した国道169は、のんびりした静かな道に変わって、田植え中のにぎやかな田んぼの間を抜けて行く。
その平地の広がりの突き当たりの大井谷隧道を抜けると、向こうの狭い谷間にはさっき別れた七色貯水池が再び登場。
こちらの七色貯水池沿いでは、もはや国道169は山肌の形通りに細かいカーブを繰り返す、単なる細道である。
激しく曲がりくねったこの辺りの谷の形通りに延々と山間に続いてきた七色貯水池と、道の性格も表情もがらっと変わって続いてきた国道169との再会。何か人知れぬドラマのような物語を思わせられないこともないような気もするが、単なる思い過ごしかもしれない。
七色ダムで七色貯水池は一旦終了。国道というより単なるダム管理道路という雰囲気のトンネルを抜けて一気に下り、国道169は今度は大きくうねる北山川谷間の平坦な道となる。
今まで谷間一杯に拡がっていた貯水池が終わり、そう広くない谷間には農村が断続するようになった。道幅も拡幅済ではあるが、静かな雰囲気は相変わらずだ。また、北山川はけっこう幅広いのに、水が恐ろしく透明で、少し水深のある部分ではその透明な水が薄っすら青みを増しているのが何とも美しい。
一方で川原にごろごろ転がる大きな岩は、両側を切り立った山に挟まれて狭く逃げ場の無いこの谷の荒れた時の表情を思わせて、何とも異様ではある。
この国道169は5年前に1度通ったことがあるので、今回は奥瀞橋で対岸の県道40へ。
杉林の細道を楽しんでから、最後は県道52を経由して育生町大井から再び国道169へ戻ってもみた。この先は奥瀞峡、過去未済区間となる。
記 2007/5/5