頸城の秋06 #2-1
|
|
まだ辺りは薄暗いが、目覚めてしまった。上半身を起こすと、やはりだいぶ前から目覚めていたらしいτ.κさんがほぼ同時に起きた。
窓の外は何だかぼんやりと、雲か霧の中のような。ちょっと玄関から外へ足を踏み出すと、予想以上に寒い。どういうわけか強い風もびゅーびゅー吹いている。まあ山間だし、思えば昨日も陽が山に隠れると共に気温がどんどん下がっていた。
でも、食事前に裏手の田んぼを眺めに行くと、夜明けの霧はすっかり晴れ、辺り一面朝日の中だ。この晴れ具合だと、今日も1日晴天が期待できそうだ。
朝食には新米のコシヒカリが登場。何たって山間の冷たい水で鍛えられた頸城のコシヒカリ、一粒一粒が輝くようだ。おかずも一つ一つボリュームたっぷりでとても美味しく、ついついもう一杯食べてしまう。
8:15、民宿「ほほえみ荘」発。棚広、桜滝と、昨日薄暗い中のんびり登った県道301を下り始める。
まだ風は少し残っていたが、もうそろそろ辺りは暖かくなっていて、日差しに照らされて明るい下りは何とか快適の範囲内だ。辺りの山、次第に拡がる谷間の農村とも、緑主体の中にところどころ黄色い色や赤い色が目立つという程度。しかし部分的に見ると、それらの色付きはそう悪くない。10月が暖かかった今年、同じ場所でも紅葉進度は不揃いなのかもしれない。今年の秋は行く先々でそんな感じである。
田島辺りから次第に拡がってきた谷間は柳島で一気に開け、学校や役場等やや大型の建物が目立ち始める。▼動画1分38秒
昨日下ってきた国道405にも合流、道の交通量もやや増えた。とはいえ、昨日の国道405には車は全然いなかったので、この柳島から高田平野へ向けて一気に交通量は増えるのだろう。その国道405は山裾をしばらく進み、下りきった宮口で町道へ分岐。再び車の少ないのどかな道となった。
水科、川浦と、田んぼのまっただ中や、その田んぼに島のように浮かんだ木に囲まれた集落を行き当たりばったりのように繋ぎながら、道は次第に高田へ向かう。集落から時々妙に細いダートが田んぼの中へ続いていて、ちょっと会津盆地を思い出したりもした。
川浦で町道は県道13と合流、高田に近づくに連れまあ当然のように交通量と道ばたの建物が増えてきた。高田手前の戸野目で、県道に並行した旧道らしき道に足を向けると、そう広くない道を両側から連続した民家の軒が挟んだ高田名物の雁木を見ることができた。
地図でいかにも旧市街っぽい描かれ方だったのだが、期待以上の意外な収穫である。
関川を渡ると、もはやそこは高田の市街地だった。辺りは急に都市っぽくなり、一気に車も増えた。出発してそろそろ一時間、街中のコンビニでの補給も、つい長居してしまう。
9:40、高田駅着。さっきの雁木の町屋を強引に金属パネルで再現したその外観は、いかにも金が掛かっている。やや事務的な平板パネルによる造形の直江津駅とは印象が異なり、こんなところにも、街の規模・密度とも直江津より充実している高田を実感する。
信越本線を渡るのに、τ.κさんに案内されて雁木の並ぶ高田駅脇の旧道へ。小学校の社会科で、上越地方独特の風景として見たとおりの狭い道幅に、黒ずんだ木造商店、道沿いに並んだ雁木がそこにはあった。さっきの雁木とともに、これもまた直江津より本格的だ。
記 2006/12/9