北海道Tour06 #7-3 2006/8/17
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枝幸まで5kmの看板が出た辺りから次第に辺りには人っ気が現れ始め、3kmぐらいから工場や倉庫が登場。こういうところは、流石にこの地方の中心の都市ではある。
13:35、街外れのウエンナイから枝幸市街へ。以前の訪問で、真夏だというのに大まじめに店のど真ん中にストーブが置いてあって驚かされたこの枝幸、今日も霧っぽく冷たい風が吹いている。街中はだだっ広く何となく寂しく、適当な店に入ろうと思っててれてれ流しても、いまいち盛り上がりの無い街が続く。こんなことなら、さっきの道の駅で何か食べておくんだったと思っても後の祭り。外様には外様の振る舞いというものがあり、奇を衒うとこういうことになるのだ。
結局反対側の町外れ、国道239に再合流する幌内保で、セイコーマートの軒下立ち食いでお茶を濁したのであった。
枝幸の街中を出ると、何となく霧っぽいと思っていた空から水滴が落ち始めた。等と思っている間に雨の勢いは強くなったが、空は意外に明るい。このまま突っ切ってしまえ。
予想通り雨はすぐ止んだが、再び陽差しが照りつけ始めた問牧では、行く手の空が見るからにこってりした雨雲で真っ黒なのだった。おまけに辺りは陽差しが一応明るいものの、路面は明らかにほんの少し前まで大雨だったぬらぬら状態。水たまりも大きく、反対側車線の大型車通過時には水しぶきが飛んでくる。
まあそんな状態で、とりあえず朝諦めた山方面コースへの未練はここで完全に絶つことができた。しかしこの海岸沿いも、首の皮一枚で一気に変わってしまいそうな気の抜けない気象状況なのであった。
もう少し進んだ山臼では、前方の雲と辺りの晴れ間は一進一退のまま、山と海の間が狭くなってきた。枝幸辺りから交通量は更に少なくなっていて、海岸の1本道は心細い雰囲気だ。行く手の目梨泊とその先海に突き出した神威岬辺り、不安げな黒い雲が溜まっているのは相変わらずだ。
しかし目梨泊に着いてみると、手前で眺めていたときよりやや雲が少ないようだ。これならトンネルショートカットではなく、旧道で神威岬に向かえる。
トンネル入口のだいぶ手前で国道から逸れた神威岬回りの旧道は、海岸近くを海岸線そのままに進む。辺りは何となく薄暗いものの、振り返るとここまで通ってきた海岸線がぐるっと見渡せて、なかなか見事だ。何とか天気は持ちこたえてくれているようで、結局そのまま安全に岬を回ることができた。
この神威岬、通るのは今回が初めてだが、かつて雑誌で見た国鉄興浜北線の冬、寂しげで厳しそうな雰囲気の写真がずっと印象に残っていた。今日は夏だが、海岸沿いの築堤と1本道は写真通りで、今にも列車がやってきそうな錯覚に捕らわれる。しかし岬の根元に向かう築堤の先は、国道238に再合流する辺りで何となくうやむやになっていて、すぐにその印象が錯覚でしかないことが実感できた。
神威岬反対側の斜内で、再び国道238に合流。山が切れる浜頓別に向かって、猫の額のようだった海岸は次第に広くなり、そこに漁村が途切れることなく続く。▼動画1分2秒
豊浜、頓別と横風に悩まされつつ北上するが、浜頓別の街が見え始めたところで、ついに雨雲に捕まった。降り始めから大粒が顔にばしばし痛い、大雨である。みるみるうちに身体もバッグ類もびしょ濡れ、シャツは身体に張り付き、帽子のつばから水滴が滴り落ちる。たまらず頓別川ほとりのガソリンスタンドへ避難。
軒下を借りるだけのつもりだったが、招かれるままにガソリンスタンド事務所内へ。しばらく浜頓別の街並みを眺めながら、事務所でゴマフアブを叩きつつ、3人の店員さんのインタビューを受ける。こういうときも、自転車だと何かと地元の方の受けがいいのである。
まあ浜頓別まではほんとにすぐなので、雨が弱くなってきたところを狙って市街地へ。
16:00、浜頓別「トシカの宿」着。玄関に自転車を停めると、クッチャロ湖岸に建つこの宿の特徴の巨大ヤブ蚊とゴマフアブの大群が、いつにも増して一気に襲撃してくる。速やかに荷物を降ろし、更に虫の多い茂みに建つ恐怖の倉庫へ自転車を収納、あとは駆け足で宿に逃げ込んで一安心。
昨日に引き続きびしょ濡れ到着になってしまった。浜頓別の街中で自分用荷物置きの新聞紙は買っておいたが、宿に着くとすでに中玄関に新聞が敷かれている。こういうところは流石老舗の旅人宿だ。
早速風呂に入ってすっきりし、洗濯を済ませて夕食に望む。そうこうするうちに続々とびしょ濡れのライダーやチャリダーが次々到着した。人気のこの宿、今日も繁盛のようで、早く電話して良かったと思った。
夕食は昨夜に引き続きジンギスカン。そういえばこの宿、1泊目はジンギスカン食べ放題なのだった。まあ嫌いではないし、食べ放題なのが非常に有り難い。こういう宿の夕食時、自転車乗りはとにかく勢いよく食いまくるので、自然と車の人やライダーとは別のグループができる傾向がある。今回も最後まで食べ続けた4人の自転車乗りが、自然と最後まで火の入ったテーブルに集まった。MTBのチャリダーと、クロスバイクの旦那さんにALPSの奥さんの夫婦、そして私である。
夕食後は念願かなって宿の車で5年ぶりに「浜頓別温泉ウイング」へ。毎日の日焼けで身体がぴりぴり痛いが、もう今回の北海道もあと2日。頑張って走ろう。
記 2006/10/1