北海道Tour06 #6-3 2006/8/16
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このまま予定通り無理の無いペースで進むと、上原峠経由で滝上着は18時ぐらい。その行程には乗れてはいる。ここから輪行するとなると、バス利用しかない。ところがバスの営業所で時刻を確認すると、遠軽からわざわざオホーツク海岸の紋別まで大回りし、紋別で乗り換えて再び内陸の滝上へ大回りするという効率の悪さで、滝上着は何と19時半を超えてしまうのだった。その後滝上で自転車を組み立ててサクルー荘に向かうと、20時を過ぎてしまう。
それじゃ全然だめだ。多少濡れるぐらいならなら、このまま進むしか無い。
雨宿りをした街外れより、街中はずっと大雨だったようだ。まだ真新しい大きな水たまりが黒々と濡れた路面に残る遠軽の街中を南から北へ通り抜け、道道137へ。
留岡、見晴と畑や牧草地の中をどんどん西に進むと、何と路面は乾きだした。その雨はこちらでは降っていなかったようだ。ちょっと助かった気分にはなったが、いかんせん行く手の山には灰色の低い雲が結構手前からしっかりまとわりついているのだった。
天気に気を取られて進んでいるためか、いつも下りで向かい風に悩まされる印象があるからか、社名淵辺りで廃校や道が細くなる箇所が意外に早く登場。ここまでは順調である。
千代田の集落には記憶通りに商店があり、ここの自販機で少し補給。早くも路面が再び黒々と濡れ始めている。雨こそ降っていないが、もはや雨に捕まるのは時間の問題だろう。
しかし、道が濡れていて雲が厚く低いと、じめっとしてはいるものの空気が涼しく感じられ、ちょっとほっとする。
千代田の牧場を過ぎて山の森が始まると、ぴったり雨が始まった。とはいえ弱い雨なので、雨具も着ずにそのまま進む。谷間から次第に山腹のトラバースへ、次第に周囲の山々を見渡す辺りで、一度雨は収まった。ちょっとだけ辺りの雲が明るくなってきた。雨雲に煙る上原峠も、なかなかの見物である。とはいえ、この天気でも立ち止まるとゴマフアブどもが一気に襲いかかってくるのである。
周囲の雲が次第に濃くなり、辺りに霧が漂い始めたところで、再び雨が始まった。今度のはけっこうしつこそうな、しっかりした雨だ。
15:40、上原峠通過。立ち止まれるような雨ではなく、さっき登り途中で着てみた雨具が暑かったのもあり、そのまま下り続ける。濡れた路面に重い荷物、スリップが心配で、そうスピードを出すわけにもいかない。
のろのろ気味に慎重に下り続け、だいぶ下って山間の谷間に降り始めた辺りで、雨雲のカウンターパンチを受けたように、雨が一気に強くなった。大雨である。
みるみるうちに帆布バッグの上は水たまりになり、びしょびしょに濡れた衣服の上を水が流れ始めた。だらだら下りの谷間の1本道が川になり、雲の中では雷がぴかぴか光ってどかーんと鳴っている。こういう状況でも、この森の中の1本道は、雨宿りする場所すら無いのだった。そもそもあまり行程に余裕も無い。仕方ないので、笑って下り続けるしかないのである。まあ下りなだけましというものだろう。
こういう状況では、とてもこの先ダート峠&札中トンネルへ向かうわけにはいかない。幸い、2001年に迂回ルートを使ったことがあった。上渚滑まで下って、そこから滝上へ遡り返すのである。多少大回りにはなるが、これしか無い。
鴻之舞の分岐で再び山方面へ向かう道道137を見送り、紋別方面へ下る道道305へ。
鴻之舞は昔鉱山で栄えたようで、道道137・305沿いには多くの鉱山施設の残骸や、その旨の看板や碑が立っている。この中で1ヶ所でも屋根付きのものさえあれば雨宿りできるのだが、そういうものは全く登場してくれない。軒先を借りられそうな民家が登場する頃には、ようやく雨自体が収まってきたのだった。まあそんなものかもしれない。
16:25、上藻別で道道533へ。緩い丘越えのはずがだらだらと意外にしつこい。まあそんなものかなとも思う。考えることはまあそんなものかなばかりだが、雨が一段落して安心しまくって、頭が回らないのである。
のろのろ登ると、ピークを過ぎたところで辺りが拡がった。
2001年に上原峠で撮ったと思っていた写真の、その後何度上原峠へ行ってもその景色に会うことができなかった景色がそこにあった。何だ、ここだったのか。
そんなことがあると、また途端に気分が盛り上がるのが単純である。
丘陵の下りは意外に長く、16:55、上渚骨着。もうあとはひたすら国道273を遡るだけだ。
夕方の山間を滝下、濁川と進むと、次第に山の間の谷は狭くなり、緩いアップダウンが現れてそれが登り基調となり、辺りが暗くなってきてやって来る自動車のヘッドライトが目立ち始めて17:50、滝上着。
自走でこの時間にここまで着けた。一安心してセイコーマートに立ち寄ると、ちょうど雨が降り始めた。山方面はもはや雲に覆われて全く見えない。かなり大回りになったが、やはり下って上渚滑廻りで正解だったと思う。
雨がちょっと弱くなったところを狙い定めて出発、道道83へ。町を出ていくらも走らずに、18:15、サクルー原野「サクルー荘」到着。静かな山間の畑の中、かつての標準型農家そのままのちいさな一軒家で、前を通るばかりでもう何年も再訪の機会を伺っていたのだ。。 びしょ濡れ到着だったので、荷物は玄関に、自転車は納屋に置かせてもらう。雨が緊張から解放され、気持ちも身体も軽くなった。
同泊は家族連れに他1名。「みんなしゅまり(しゅまりの宿)の残党だよ。会ったこと無い?」とのことだったが、家族連れの旦那さんはどうやら長期滞在時期が私の訪問時期とダブってはいたようで、記憶があるような無いような。
夕食はたっぷりのジンギスカンで腹一杯。今回の北海道で初めてのジンギスカンだったが、これがこの後4夜連続で続いたジンギスカンの初日になろうとは、このときはまだ想像だにしていないのだった。
記 2006/9/25