下居辺→(道道496・居辺地区広域農道)北門
→(国道274)芽登→(道道88)喜登牛
190km
今日も朝は薄暗く、辺りの谷間には霧だか霞だかがこってり溜まっている。路面は乾いているので、ここ数日の例に漏れず陽が上がれば晴れるだろう。逆にお昼頃はくそ暑い北見盆地。あまり晴れて欲しくないぐらいだ。
5:40、下居辺「山の湯温泉 清渓園」発。昨日の道を更に遡るように北上を再開する。途中の下居辺の集落には、谷間の道道同士の交差点がある。2000年の訪問では、その道道は2本とも細道で、辺りにばらけた集落の佇まいが何とも田舎っぽいいい雰囲気だった。そのうちの1軒は、「山の湯温泉 清渓園」とは別の温泉宿だった。昨夜泊まった「清渓園」は、そういう意味で言えば、私のイメージにある下居辺からは少し離れているということになる。
ところが今回、細道だった道道が拡幅されていて、交差点は単純に広い道同士が交わっているという、なんだかごく普通の田舎の道道ジャンクションになってしまっていた。道沿いの鄙びた温泉も、今風の大きな温泉施設に建て替えられていた。
谷間は次第に狭くなり、朝陽・東居辺とアップダウンを伴いつつ次第に標高を上げる。士幌へ続く十勝平野の縁だけあり、東居辺から先登りはじめた道は、すぐに開けた平野に出た。
しかし、大きな区画の畑に格子状防風林でそれとわかるものの、漂う霧であまり広がりは感じられないのがちょっと期待はずれだ
6:50、北門で国道274合流。国道274を足寄から上士幌へ向かう場合、突如十勝の景色が拡がる辺りだが、今日はあくまでその道の逆走である。緩い登りから森を乗り越えると、芽登までは一気に標高差100m下りである。
下ってくる国道274から見下ろす芽登の集落は、なんだか谷間に軒の低い家が貼り付いているように見え、いつも妙に山深さを感じる。だが、実はここで分岐する道道68、この先置戸方面への名無し峠まで30km以上もあるのだ。
7:10、芽登発。前述のように、ここから先は延々30km以上もだらだら登りになる。
辺りは時々牧草地、基本的に森の中で、民家は極端に少ない。人気が無いにしちゃ広めの谷が低山に挟まれて延々と続く。芽登出発時、霧っぽかった谷間の空は、霧が晴れて青空が見えたと思ったら、一気に時々陽射しが差すまでになった。山奥の谷間の空気は澄んでいるためか、太陽光線がじりじり鋭く厳しい。
2004年に陸別方面からの道で通った南喜登牛から先は、喜登牛までしばし未走行区間だ。その間も森と牧草地と広めの谷間が続く。
喜登牛では芽登温泉へダートが分岐してゆく。2002年にはここから芽登温泉へ、更にその先のダートを経由して糠平へ向かったのだった。ダート入り口を眺めつつ、そのときの訪問を思い出す。少し水を飲もうとすると、早くもゴマフアブ部隊が寄ってきた。気が付くともう暑くて身体中がじとっとするぐらい汗をかいていた。いつの間にか聞こえ始めたセミの声も、もう耳の奥できんきん響くほどの大合唱になっている。
喜登牛から先、周囲は牧草地すら無くなって、ひたすら森が続く。西喜登牛等と地形図には地名が出ていても、辺りは一面森の中だ。幌加美里別ダムなどという文字も地図では見られるが、その辺りへ近づくと、道の近くを通っていた美里別川は森の中へ消えていった。とはいえ、またすぐ美里別川は森の中から登場。道の斜度が急になってダム高度を稼いだということは無かったし、そもそも地形図の絵からしてもそう大したダムには思えない。
地形図には本流製品事業所というのも載っていた。人っ気が感じられる名称に、冷たい自販機飲料ぐらい飲めるかと楽しみにしていたが、道ばたにはダンプ転回所みたいな砂利敷き広場があっただけだった。あるいはかつてはそんな事業所があったのかもしれない。
これだけ緩い登りでも、延々と遡り続けてさすがに標高が上がってきたのか、周囲の木々はいかにも山深さを感じられる佇まいになり、実際に周囲の山も高くなって近くに迫ってきた。
峠手前は、谷間から山肌の窪みをだらだら蛇行して標高を上げるタイプの道。いつの間にか増していた斜度も、そう厳しくはない。最後に前回の記憶に残っていた追い越し車線区間から一気にぐいっと山肌を登り、9:35、峠着。
標高710m。斜度自体は非常にだらだらだが、芽登からの長い道のりに500mの標高差、十勝と北見を結ぶというその格、ぜひ何か峠として名前を付けてほしい。峠の脇の山は喜登牛山というので、喜登牛峠というのも悪くない。
記 2006/9/10