北海道Tour06 #3-2
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(以上#3-1) |
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下りも斜度が緩く、いつまでもだらだら下り続けるタイプの道だ。緩い下りだとなかなかペースが思うように上がらないぐらいの向かい風が吹き初めてはいるが、まあその辺りのバランス点ぐらいでとろとろと下り続ける。針葉樹の中の1本道はとても山深い雰囲気でまるでカナダの写真みたい。思えばこの辺りの峠によく見られる景色でもある。
しばらく下ると登り返しがあるのは記憶通り。大丈夫、大した登りじゃない。と思いつつ速度が落ちたところで、標高が下がっているのと空が晴れてきたのとで、だいぶ暑くなっていることに気が付いた。そうでなくても、道内でもかなり暑い北見地方に入ってきたのである。
だらっとした登り基調の鞍部から一気に下りきり、10:10、常元着。
前回ここに来たのは2003年、この道沿いの鹿の子温泉に泊まった時だった。その鹿の子温泉、通過するときに横目でちらっと見ただけだが、何だか人気が無い。もっと言えば、何だか閉鎖されてしまっているようにも見える。
勝山から先は谷間が一気に拡がった。畑の向こうには谷を囲む山、程良く開けた明るい谷間の一直線の道、まだ続く緩い下りと向かい風、そして暑さとのバランス点の経済ペースが続く。
ソフトに釣られて10:20、勝山の温浴施設「ゆ〜ゆ」で小休止後、あまりに暑いので11:00、置戸のセイコーマートでもう一度小休止。もうほとんど各駅停車だが、ど田舎から山奥を辿ってきた今日のコースで初めてのコンビニでもある。10時までに北見に着けたら、問答無用でチミケップ湖突入だと考えていたが、まあ当然のように地図で見たとおりのボリュームのあるコースだった。
ふと道路脇の電光掲示板を見ると、路上付近の気温は31℃。しかし、それだけにあまりうだうだできない。11:15、置戸発。
置戸からは町道を少し経由、豊住から道道50に乗り換え、北見から続く平野を北見方面へ。ここまで来たら一目散に北見へ向かうしかないが、今日もそろそろ暑さで眠くなってしまっていた。どこで休憩するか探していると、眠気を我慢できなくなってきた辺りで、ちょうど都合の良さそうな納屋を発見。
と同時に大粒の雨が降ってきた。その納屋へ駆け込み、目が覚めるとちょうど雨が弱くなってきたところのようだった。
その後雨は時々ぱらっと来る程度ではあったが、県道の路面は乾いていたり、逆に水たまりができるほどのぬらぬらだったりした。そう遠くない南側の山が何と無くとろんと霞んでいるので、あの辺りは大雨なのだろう。その通りに、道が少し南へシフトする訓子府では、またもや大雨が。
ちょうど運良く訓子府の町中でセイコーマートを発見、中に入ると冷房がたまらないほど心地よい。冷気に当たるとあっと言う間にぼうっとしていた頭が復活する。
津別までの道のりを考えると、あまり雨宿りにかまけるわけにも行かない。ちょっと雨が弱くなった頃を見計らい、12,20、訓子府発。
走りながらもうひとつ考えていたことは、下方修正したチミケップ湖への言い訳だった。南側の山裾があんな具合だと、訓子府から入り込む予定だったチミケップ湖への山中ダートは、ずっと雨に違いない。今日はこっちで正解なのだ、きっと。
上常呂、北光と次第に北見市に近づくに連れ、雨の気遣いは無くなった。12:50、開成橋から道道27へ入り込む。今度は開成峠へ南下、津別14時着を目指すのだ。それぐらいに着ければ、過去の実績から言って、その後の津別峠は落ち着いて登れることになる。
開けた谷間をじりじり高度を上げる開成峠は近年続けて通っているが、交通量が比較的多くて何と無く埃っぽく、あまり好きな道ではない。チミケップ湖や津別峠と組み合わせるのに便利なだけだ。
13:20、開成峠を通過。開成峠を越えて間もなくのチミケップ湖への分岐では、他ではもうすっかり路面が乾いているのに、何とその周辺数10mだけ水たまりも真新しい大雨の直後だった。ほんとに極端な天気だが、やはり今日はチミケップ湖は行くべきでなかったのだろう。
北見側の広い谷間とは打って変わって、津別側の下りはずっと狭い谷間で、最上という地名が延々と続く。畑の鹿除け網がいつも物々しい。しばらく蛇行を繰り返す谷の通りに蛇行と緩々下りが続き、やがて谷間が拡がってきたところで、行く手の台地に製材所の煙突が印象的な津別の町が見え始めた。
14:00、津別着。とりあえず目標時刻に到着できた。今日はこの後もう津別峠を越えるだけでいいのだ。いつも立ち寄るセイコーマートでちょっと腹ごしらえをして、準備万端。空模様も明るい薄曇り、まあ雨の心配は無い。
14:20津別出発、いつもの静かな道道588へ。
山間の1本道を美都まで進んだ辺りで、空は俄然晴れだした。温度が一気に上がってくるが、さすがにもう15時前。暑いが、凶暴なほどの高温じゃない。
のんびりペースできょろきょろしながら進むと、畑や牧草地の緑がまぶしくて楽しいぐらいのものだ。
15:15、上里小学校を通過。いつも可愛らしい静かなたたずまいの学校と校庭に立ち寄りたかったが、いつの間にかすっかり空は晴れ上がっていて、赤い色が混じり始めた陽差しはそれでもじりじり鋭く熱い。今日は学校を囲む森を横目に眺めるに留め、津別峠に向かおう。
と、この時は思った。ところが最近、NHKでこの上里小学校が、2006年度いっぱいで廃校になってしまうことを知った。建物は何らかの形で残るかもしれないが、学校としては今回が今生の別れだったわけである。旅先の出会いも景色も一期一会、自分で選ぶ行動に後悔はしないが、一瞬一瞬を大切にしないと、と思い知らされた。
上里小学校から先はやや斜度が増し始め、周囲の農家も少なくなり、やがて道の両側の畑は山肌から続く森に変わる。
牧草地や畑の明るい緑から森の濃い緑へ、周囲は山深い雰囲気に変わり、傾いた日差しが路面に影を作ってくれた。