紀伊半島Tour05#2-3
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まだ色の薄い緑の中を下り始めると、順当に山腹を巻きながら下っていった道が、途中の谷から何と登り返し始めた。登り返しは意外な程長い間続いた。地図で確認すると、何と100mも登り返してその後しばらくあまり標高を変えずに中腹から上を進むようである。
上の方の道だけあって、稜線近くの山の表情ははっきり見え、谷底との標高差は200〜300mにもなる。谷間は比較的まっすぐなので、今まで来た道もこれから進む道もはっきり見通すことができる。
その展望はとにかく迫力があるが、いかんせん道幅はそう広くなく、この落差を見れば、国道425に入ってから車に数台も出会わなかったのがよくわかる。車では危険なのだ。また、道の拡幅など不可能だろう。
それにしてもこの地形と道路、この風景。普通の林道と言うより、むしろスーパー林道に非常に似ている。
道はそのうち下り基調のアップダウンに変わった。わずかではあるが、この期に及んでまだ登り返すのである。
唐突に山中に現れた平場に「しゃくなげ園」なる公園施設が登場。この先で分岐するはずの、一昨年通った葛川隧道の記憶が蘇った。確かに「しゃくなげ園」という看板を見ていたが、そうか、こんな所にあったのである。
そのすぐ向こう側で、葛川隧道への道と合流。激下りが始まったのはそれからである。一昨年、かなり厳しい登りだと思っていたが、なるほど納得。
谷底へ降りて一安心しながら、更に依然として狭い国道を下り続ける。
道には濃い青緑の新緑の木々が勢い良く覆い被さり、木漏れ陽で緑に染まってしまいそうな気分になった。
12:30、滝到着。ここから国道425はここから国道168、通称十津川街道と併用区間になる。
2年前は国道168を上流側からやってきて、ここから国道425に分岐した。今回は十津川街道を下流方面へ向かうので、その時の十津川街道下りを引き継ぐ形になる。
前回エスケープした国道168のこの区間、実はセンターラインが無い。交通量は驚くほどは少なくはないが、熊野川に沿って幅広の道がダイナミックに続いていた前回の印象があるので、何だ十分静かじゃん、という気分で通れるのがありがたい。
熊野川の渓谷を下り基調で順調に進み、13:00、蕨尾到着。
ここから再び国道425は熊野街道と別れ、谷の奥へ進み始める。しかし、自分で考えていたタイムリミットぎりぎりの到着に、このまま国道425へ進むべきかどうかちょっと迷っていた。
このまま国道425へ進み峠の牛廻越を越えて、龍神村国道371との合流点着は16時を過ぎるだろう。今日の宿、田辺市へは龍神村の中心部あたりで県道29へ分岐し、標高差300mを登った後は下り基調の尾根道になるようである。県道29に17時ぐらいに入れれば、18時過ぎ田辺市到着が可能かもしれない。
ただ、それはあくまでこの牛廻越区間を16時過ぎまでに通過することが前提である。国道425のくねくね激坂コースで見込みが狂う可能性は大きい。何たって自分の見込みである。それにこの先国道168から分岐する細道県道群、林道群にも興味があった。
3分ぐらい考えて、一度は安全を見て国道168へ向かいかけたものの、結局国道425へ向かうことにした。内陸にあるこの区間を再訪するためには、この区間のために1日の行程を組む必要があるのだ。それなら時間はまあ何とかするしかない。幸い今日は雨の心配が全く無いのだ。それにこの標高800m以上の牛廻越の手前に、何と急斜面の集落、迫西川に湯ノ野がある。この集落も是非見てみたい。
記 2005.5/6