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12:00、吉津発。内陸をトンネルでショートカットする国道から離れ、入り組んだ岬を越える旧道(らしき道)へと足を進める。
海沿いらしく、激坂とだらだら登りが断続する道には、丁寧にもあちこちの展望ポイントで手製のベンチが置いてある。
その展望ポイントからは、エメラルドグリーンの静かな海と入り組んだ海岸線、そして黒々とした岸壁が逞しく、絶景が次々移り変わる。景色を眺めている地元のおじいさんが、「これからまだ坂だよ」と声を掛けてくれるのも楽しい。
細道はしかしながらあちこちで路盤が陥没しかけていて、自動車で通るにはやや不安である。おそらくこの道はもう前向きに補修されることはないだろう。岬の尾根をくるっと回り込んだ万座浦の漁村で再び国道260に合流。
この時点で12時前。もう一つ旧道コースは残っていたが、そろそろ尾鷲着15時のタイムリミットが難しく思われ始めていた。そこで内陸をトンネルでショートカットする国道260をひたすら邁進することにした。
しかし、トンネルを抜けるとはいえ、多少登ってからトンネルになるような設計のため、そうスムーズに進めるわけではない。特に錦トンネルなど、行く手の山のけっこう高い位置にトンネルが見えたのだが、寂れた感じの旧道を脇目に、トンネルの手前まで進めど進めど平坦に近いわずかな登りが続く。その後、一気に12%勾配の2回折り返しでトンネル近くまで登る激坂が現れたときには仰天した。
登っただけあって、トンネルを抜けた後の下りはダイナミックである。旧道とは全く関係なく、幅広の道が築堤や切り通しや橋で山の中をどんどん下って行く。山中の大きな橋の上で、突如現れた県道68と唐突に合流するのも珍しい。
ところがその後、もう一発名倉トンネルがあったのであった。しつこさでも西伊豆といい勝負である。
14:00、紀伊長島発。国道42の交通量を横目に、ちょっと悪あがきで江ノ浦から海野の細道を経由。
静かな細道だったつもりが実際は拡幅済みの県道だ。静かな県道ではあったがそれも束の間、古里で再び国道42に合流。
実際に走ってみれば、さすがに朝走った三瀬谷辺りの国道42よりも交通量は少ない。それでもやはり2桁国道、次第に傾いて赤い色が強まる陽射しの中、黙々と行程をこなす。
15:35、尾鷲着。出発前に漠然と考えていた、九鬼回りの海沿いコースへのタイムリミット14時は、大幅に過ぎてしまっていた。水呑峠さえそのまま越えられれば、大杉林道ピストンをこなしても14時尾鷲はそう厳しくないつもりだったが、まあ悔やんでも始まらないのである。
このまま国道42をあと30kmちょっと進めば、熊野市に着くのだ。登って下っては大まかに2回。まあ何とかなるだろう。車を我慢するだけである。
腹を決めたところで、隣の紀勢本線に列車が見えた。と同時に、輪行すれば熊野まで国道42を走らなくて済むことに気が付いた。
尾鷲駅で列車の時刻をチェックすると、17:14に新宮行きがある。ちょっと時間が余ってしまう。が、風呂に入ってちょっと食事するぐらいには理想的だ。多分そっちの方が正解だろう。
早速タクシーの運ちゃんに教えてもらい、駅近くの銭湯へ。
その後、銭湯で地元情報を仕入れ、風呂に入り合わせていたお客さんの弟さんの寿司屋へ。藁しべ方式で次々行く先が決まるのが楽しい。
漁港だけあって、尾鷲のネタはぷりぷりで旨味が濃く、実に美味しい。
18:20、熊野市青年の家YH着。国道42号沿いではあるが、美しい海を望んでなかなか静かで落ち着くYHだ。
去年もそうだったが、紀伊半島のYHではこの時期供食はしないようで、明日の田辺の扇ヶ浜YHでも夕朝食ともに外に出かけないといけない。まあ、こっちもある意味そのが有り難い。
明日も晴れ、気温が高くなる予報だ。東に面した海岸線から昇る朝日が楽しみだ。
記 2005.5/2