北海道Tour05 #7-2
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(以上#7-1) |
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10:45、縫別着。去年道東2期林道へ踏み込むかどうか悩んだ廃校のグラウンドで少し休憩。
「宿坊まきごや」を出てからここまで4時間半。やはりダートは時間を食う。去年はここで白糠経由の舗装迂回コースに切り替え、まきごやまで4時間弱。去年の判断は正しかったことになる。
ここから今度は十勝へ向かう。国道392で既知の釧勝峠を越え、本別から道道56で浦幌へ南下、あとは太平洋沿いにナウマン国道で今日の宿「セキレイ館」へ向かえばいい。
ところが、縫別を出発して間もなく雨が降ってきた。今までの雨とは違って粒が大きく、本降りっぽい。進行方向の谷も、ちょっと上からもう真っ黒な雲に覆われている。このまま進めば、確実に大雨の峠越えだ。しかも、もともと今日は十勝方面が昼か雨の予報なのだ。
とりあえず引き返し、太平洋沿いの白糠へ向かい、列車の時間次第で輪行に切り替えるのが妥当だろう。
逆方向は全く雨が降ることはない。とりあえず海岸沿いは雲が高くなる傾向のようだ。太平洋からは向かい風が吹いているようで、海岸部に近づくにつれ次第に負荷を感じるようになったが、まあ所詮は下り基調。国道392は国道にしては交通量が比較的少なく、雰囲気の悪い道ではない。のんびりと畑の中を進めば、時々道の方向が変わって風の影響も少なくなった。
12:15、白糠着。例によって速攻で時刻表をチェックすると、列車は2時間近く後。向かうべきナウマン国道への分岐、新吉野着は15時半過ぎになってしまうようだ。これだと宿着が夕食ぎりぎりの18時過ぎになりそうだ。とりあえず宿には見込みだけ電話しておく。と、天気予報とは裏腹に、宿の周囲は明るい曇りとのこと。
このまま新吉野へ輪行すると、その先が遅い時間の雨中ツーリングになってしまう。ましてやナウマン国道の無人丘陵。ちょっと不安だ。もう少し早く約50km先の新吉野へ着く方法は無いのか、ちょっと考えているうち、意外に雲が高く、空が明るいのに気が付いた。このまま国道38で交通量を我慢して走ってしまえ。これなら新吉野発は輪行時より1時間以上早い。
大型車の多い幹線道路を自走で2時間強、我慢にも程があるかもしれない。雨も降らない確証等無い。でもまあ、昔はそんなコース取りばっかりだったのだ。2時間脚を回して我慢すればいいのである。
12:45、白糠発。すぐに「浦幌45km」の標識を確認。コンビニ休憩中のライダーにこの先の天気を聞くと、「そう降ってませんでしたよ」とのこと。いけるぞ。町はずれの丘陵を抜けたところで、すぐに小雨が降ってきた。山方面をちらっと見ると、どんよりとした雲が溜まっている。十勝へ向かうのに、むしろこちらが正解だろう。
結局その後、雨は雨上がり〜霧雨〜小雨程度とそう大したことにはならず、海岸からの風も横風で、つらい行程にはならなかった。交通量も覚悟していたほどではない。
列車に乗る度、いつも漠々と取り付く島の無い表情に飽きて寝てしまう音別・尺別・直別の海岸湿地帯、上厚内の丘陵越え等が、距離感と共に実体のある空間で把握できるのは、やはり自転車旅ならではである。それに改めて眺めると、そう捨てた風景でもない。
小雨の上厚内の丘陵から浦幌トンネルを抜けると、あとはもう十勝東外れの浦幌へ下るだけだ。トンネルの向こうは真っ白な霧が垂れ込めていたが、雨にはなっていないのが有り難い。
14:45、浦幌着。2時間で何とか着くことができた。やってみるものだ、と思った。
国道脇の休憩所と道の駅の中間みたいな物産館で休憩&補給後、15:15、浦幌発。
ここから十勝平野の中になるが、何しろ周囲は霧で真っ白、何が何だか全くわからない。丘陵から平野部に出て、向かい風も再びやや強くなっていた。まあ何が助けてくれるわけではなく、雨でないのを感謝しながら辛抱強く進むしかないのだ。
新吉野で国道336、通称ナウマン国道へ。ここから交通量は一気に減る。
広々とした十勝平野の太平洋寄り、晴れると広々した畑と牧草地の風景を楽しめるのだが、今日は霧でちょっと残念。更にここでスローパンクが発覚。さっきの浦幌でもそれっぽい空気抜けがあったのだが。
十勝河口橋の迫力ある十勝川の風景も、今日は50m先が見えないくらいの濃霧の中。
しかし、その先の丘陵地帯では、霧が晴れ始めた。
ナウマン国道は、十勝平野の海沿いの丘陵地帯、牧草地と低地の湿地帯を、大味なアップダウンの丘越えと直線基調の線形で強引に突っ切って行く。
交通量はかなり少なく、静かな牧草地や低木の森、鬱蒼とあやしい湿地帯の雰囲気を存分に楽しめる。
とは言え、低地の湿地には吸血昆虫が極端に多い。特にしつこくて強力なのは、大型のカだ。ヤブ蚊の白黒を茶色に変えたようなカラーリングだが、大きさがヤブ蚊の2倍以上はある。停まってから歩いたり、服の上から嘴をねじ込んだり、カにしちゃ強力な野郎だ。それが何匹も何匹もすぐに集まってくるのである。あまり立ち止まるわけにもいかない。
時々、旧道が湿地の茂みへ消えてゆく。20年以上昔、ロングダートの国道として有名だった旧道のなれの果てである。きっとカや他の虫で大変な道だっただろうと思う。
晩成の看板が出てからアップダウンはやや激しくなったが、18:10、晩成「セキレイ館」着。そろそろ霧が暗くなり始めていた。まあ、何とか明るい内に着けて、輪行しないで良かった。
楽しみにしていた「晩成温泉」には、食後に入りに行くことができた。かなり塩っ辛くて茶色いお湯は、ヨード分国内ダントツ一位の含有量とのこと。でも、以前温泉から眺めた太平洋は、今日は闇夜の中だった。まあ、打ち寄せる波音が間近に聞こえる闇夜のテラスも、なかなか雰囲気はあった。
天気予報では明日は全道で雨。ここへ来て今回も雨雲に捕まってしまったようだ。まあ明日はもともと最終日、20km先の忠類まで降られずに行ければ、後はバス輪行で帯広へ向かえばいい。問題は、大雨で忠類まで走れそうに無い場合である。
まあ天気は結局、明日にならないとわからないのである。
記 2005.9/19