サロマ湖畔YH→(道道858)浜佐呂間→(町道)富岡
→(道道7)日吉→(道道308)端野→(国道39)北見
→(道道27)最上→(道道682)チミケップ湖
187km
サロマ湖畔YHは湖畔の森に建っている。朝起きた時点では、その寝室の窓から、雲が切れた明るい空と明るく光った鏡のような湖面が見えた。しかし自転車に荷物を積む段階では、空はどんよりと曇り、時々水滴すら感じるようになっていた。
なかなか予断を許さない状況だが、5:50、サロマ湖畔YH発。
とりあえず国道238脇のコンビニもどきの酒屋へ向かう。毎年O157でぴりぴりの保健所が出した通達か、今年はどこの宿も前の晩におにぎりを作ってくれない。そんな状況下、早朝におにぎりが買えるのだから、ほんとはコンビニもどきなどと思ってはいけない。
まあとにかくおにぎりを仕入れ、浜佐呂間南側の丘陵へ。
一直線の農道が丘を突っ切ったり、丘の向こうにサロマ湖が見えたり、なかなか楽しい。
サロマ湖と言えば普通は湖が有名だが、この辺りから網走、斜里にかけて続く丘陵には、なだらかな丘に畑や牧草地、森、いかにも北海道風の景色が拡がる。いつももっとこの辺りが有名になるといいのに、と思う。
丘陵から平野に降り、道道7で常呂川を遡る。山際の森の中の道には砂利・残土ダンプが多く、恐怖と砂埃の煙たさでつらい道がしばらく続く。
常呂川の谷間が支流へ分岐すると共に道道も分岐し、道道7・308と名前が変わった道は、開けた北見盆地に出た。時には雲が切れて、陽射しが顔を出す程度に、天気は好転しつつある。暑いときには猛烈に暑いこの北見盆地、却って暑くない方が有り難い。
8:10、端野で国道39に合流。さすがは2桁国道、何と恐怖の片側2車線だ。まあ、北見は大きな街なので、必ずどこかで交通量を我慢することになるのだ。それに北見盆地から始まった弱めの向かい風も、2車線の気流の後押しで少し楽になるだろう。途中の信号待ちも、国道が一番有利なはず。
というわけで、そのまま我慢して国道39を進み、北見着は8:45。
街の拡がりを抜け、県道にしちゃ意外に車の多い開成峠を登って下り、「チミケップ湖」の標識で牧草地の茂みへと続く道道682へ向かう。
茂みから低山の裾の森に着いた所でおもむろにダート開始。
道道682はチミケップ湖外周の低山をうねうね巻いてひょいと越える道で、路面はきわめて良好。きっとあまり車も来ないのだろう。
梢の高い広葉樹の森に明るく開放感があり、チミケップ湖外周道路の雰囲気がそのまま続いているといえる。意外に長いダートに意外に時間は食ったが、しみじみ静かな森の道に、来て良かったと思った。
10:15、チミケップ湖着。北見へ早く着けた貯金をここまでのダートで使い果たしてしまっていたが、何と言ってもこの落ち着いた場所を目指してここまで来たのだ。いつもの湖岸のキャンプ場で、今回も少し休憩することにした。
今日のチミケップ湖岸は人が少ない。森の切れ間、湖面へ続く緩い草原には、2組のキャンプ客以外誰もいない。程良い広さの山間に、明るい薄曇りの空を反射して、湖面は鏡みたいに静かだ。キャンプ客の声が切れると、もうあとは蝉の声、低いコオロギの声、時々飛び出すバッタの羽根音にばちっとトンボの羽音だけ。
10:40、キャンプ場発。
湖畔の涼しい森の中、さっきの静かな路面良好ダートがそのままの雰囲気で続く。頭上が開けた広葉樹林の向こうには、明るい湖面が見え隠れしたり、近づいてきた湖岸が道に接したり。津別側湖岸まではそう距離は無いが、とにかく路面が良好で快適なダートだ。本当に今日も来て良かった。
津別側の湖岸、ちょっと道が広がって、溜まりになっている場所で再び足を停める。今までの鏡のような湖面が、ここでは木陰で水が透き通って、落ち葉の溜まった浅瀬が見える。水の中の落ち葉が、静かに朽ちてゆく時間を感じさせる。岸に寄せる僅かな波、木陰を徘徊する大きなトンボ。ずっと変わらないいつも通りの夏は、「太古の自然 チミケップ湖」という古びた看板の言う通りなのだろう。
記 2005.9/19