2004.9/18 清水峠 #4

赤は今回経路

(前夜水上泊#1)
土合→(国道291)新道分岐→(新道)新道分岐(以上#2)
→(国道291)白樺尾根→(国道291)鉄砲尾根(以上#3)
→(国道291)井坪坂分岐→(井坪坂新道)本谷沢
(以下#5)→(中部北陸歩道)追分→(国道291)六日町   44km

茂みが切れて笹原が見えてきた もうすぐ清水峠

 その先、やはり危険な沢と平坦な雑木林の道の繰り返しが続いた。しかし、地図通りに山肌の湾曲自体が少なく、沢を一つ越える度に次第に峠が近づくのが実感できた。

雑木林を抜けて沢のある開けた谷へ 往々にして沢ではけっこう段差がある 足場は悪いが開けた大空間は素晴らしい 茂み・林を一つ抜けるたびに峠に近づく

 峠まで最後の数100mは雑木林が切れ、見通しがいい旧国道の路盤にほぼ平坦な道が続いた。これ幸いと、峠のほんの少し手前、送電監視小屋の下まで自転車に乗って進む。

峠の笹原がいよいよ近い 茂みの向こうに峠の巡視小屋が見えた 最後は乗車で ようやく旧国道らしい路盤が登場 この向こうで小屋下へよじ登る

 最後は小屋下までよじ登り、13:30、清水峠着。土合から7時間半掛かったことになる。空には再び薄日が射すぐらいに雲が掛かりだしていた。

 笹原の両側は広々と、今まで山肌を辿ってきた七ッ小屋山、そしてその反対は清水峠を挟み、湯檜曽川の谷の向かいにそびえていた朝日岳へと登りが続いている。両側は目がくらむようにすとんと落ち込んだ谷である。群馬県側でも落差700m、新潟県側は落差1000m。そのすべてを覆う上空が、直接続いた空間であることが実感できる。

JR監視小屋から峠方面を望む 左は新潟県、右は群馬県 両方とも谷への落差がすごい

 思えばかなり危ない思いをしてここまで来たわけで、ここも天気が変わるとかなりとんでもない事態に陥る場所なのだ。しかし、今日の目の前の風景は果てしなく雄大で、果てしなくのほほんとのどかである。しばらくここで感動したり全く関係ないことを考えたりぼんやりして、この空間を贅沢に楽しむことにしよう。

空の中の至って平和な風景

 小屋脇に建っている風力発電のプロペラは止まってはいたが、以前話に聞いていた通り、とても風が強い場所だ。まあ気象条件の厳しいこの辺り、当然と言えば当然ではある。
 子連れさんは早速「子連れ3点セット」ことカップヌードル、おにぎり、魚肉ソーセージを取り出し、カップヌードルのお湯を沸かし始めた。
 おにぎり2つを食べながら、写真を撮ろうとうろうろしていると、もう一人サイクリストが登場した。20代前半か10代ぐらい、学生っぽいその青年はこの危険ルートを単独でここまで登ってきたようだった。

後からやってきた件の青年 華奢そうだが爆速 下りではあっという間に見えなくなった 下り始める 少しの間笹原の開けた道 本谷、ヒノキクラ沢を見下ろす

 14:10、清水峠発。途中のヒノキクラ沢で道間違いをしやすいとのことで、その青年も一緒に下って行くことになった。

旧国道の茂み さっきまでの登りよりは道に石や根っこが少ない けっこう乗れる 茂みはどんどん深くなる 路面も湿って水溜まりが増える

 青年、子連れさん、私の順番で下り始めるが、およそ乗車テクニックの無い私はまあ当然のように遅れまくる。しかし怪我をすると更に迷惑なので、ここは写真を撮り撮りゆっくりのんびり普段のランドナー山サイペースで下ることにする。

中部自然歩道の看板がそこここに クリックで看板を拡大表示します 道にまで張り出す木々 緑に包まれて下る

 しばらくさっきまでと同じような、旧国道路盤上のジャングルが続く。石が多く、ぬかるみや倒木も多いが、さっきほど質の悪い道ではなく、乗車:押し2:1以上ぐらいでしばらく順調に進んだ。

 季節のせいか、むせ返るように笹や下草が生い茂る細道を夢中で下るうち、いつの間にか道はつづら折れの急下りに変わっていた。旧国道から井坪坂に突入したのである。700m落差の一気下りである。

いつの間にか井坪坂が始まっている 高いブナの下、緑の光、開けた森

 広葉樹林の中、石ころだらけの下りが続く。倒木も多く、なかなか乗車できない。押し主体の下りだったが、周囲の森は深く果てしなく、ところどころでブナの木々は見事なほど高い。下るに連れ気温は次第に上がってきていたが、緑色の木漏れ陽はこよなく美しい。

だんだんつづら折れが長くなる 路面も次第に良好に 沢の音が近づくと、上の木々が無くなり、茂みの中の道になる

 だいぶ下って森の下から沢音が始まり、更にしばらく下る。少しずつ乗って下れる区間が長くなり、森の中から低木帯の足下のじゅくじゅくした茂みのつづら折れを抜け、急に周囲が開けて現れた本谷沢で子連れさんが待っていてくれた。さっきの青年は先に行ってしまったようだった。

本谷沢を出発 下り基調 乗れる箇所は乗って進む しかし木々が行く手を阻む なかなか手強い 苦戦する子連れさん

 井坪坂のつづら折れが終わったことになる。ここから先は本谷、更に下ると登川と名前を変える魚野川の支流の谷間、六日町までの最後の下りが始まるのだ。

記 2004.9/20

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Last Update 2004.10/9
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