塩山→(県道38・国道140)窪平→
(県道210)杣口→(杣口林道)柳平
→(川上牧丘林道)大弛峠
(以下#2)→(川上牧丘林道・村道)梓山
→(県道68・林道梓山線)三国峠

(以下#3)→(村道13)中津川
→(県道210)大黒
→(林道金山志賀坂線)志賀坂峠
→(国道299)西武秩父
  137km

赤は今回経路 灰色は過去経路

2004.7/18
大弛峠・三国峠・
中津川林道・八丁峠 #1

いよいよ川上牧丘林道 ちょっと一休み

 いつもの中央線が笹子トンネルを抜けると、外は雨が上がったばかりのようだ。山々の裾にはしっとりとボリュームたっぷりの雲がまとわりついている。しかし、今日の天気予報は晴れなのだ。重たい雲もこれから嘘みたいに消えるはず…だといいが。

 塩山駅前で自転車を組み立て始めると、いつものように大菩薩方面への登山客を待つタクシー運ちゃんが声を掛けてくる。運ちゃんとしても毎週のことだろうに。「今日は涼しいね。夜中に大雨が降ったからねえ」とのこと。確かに涼しい風が吹いているが、それにしちゃ周囲は乾いている。昼間、甲府盆地の異様な暑さで熱された路面は、水分を一気に蒸発させたに違いない。

赤は本日の経路 勝沼辺り 甲府盆地に展望が開ける 日本3大車窓のひとつ 塩山駅前 出発

 6:40、塩山発。恵林寺の脇から国道141をかすめ、牧丘村中央部の道を登り出す。さっきは涼しいと思ったはずだが、やはり登り出すと汗が吹き出る。実は塩山からの各方面への登りでこういう体験は何度かあり、何故か涼しく感じるだけであって、本当は決して涼しくないのだろう。

県道38で恵林寺方面へ 牧丘町中心部 窪平の賑わい しばらくぐいぐい登りが続く

 おまけに雲の切れ間から夏の直射日光が射し始めていた。雨の後で空気が澄んでいるのか、直射日光は限り無く鋭く厳しく熱く、太陽光線の中にいると皮膚が燃え始めるようだ。虫眼鏡でちりちり燃え出す黒紙を思い出す。また、いつの間にか革のバーテープが、汗でにちゃにちゃになっている。汗が斜めの腕の下側を伝わってハンドルまで滴っているのだ。見ると腕の下側も、べとべとのぬるぬるだ。
 幸い雲が速く動いていて陽差しにはむらがあり、少しは助かっていた。

次第に周囲に桃畑が 時々車が通るが落ち着いた道 葡萄畑 今年は暑いから豊作かな

 千野々宮の辺りから集落の中の登り道が狭くなり、金峰神社の赤い鳥居を過ぎると、間もなく集落から森の中に突入。ここから先は木陰区間、一安心だ。

千野々宮 金峰神社 もうすぐ木陰区間 この辺で斜度が厳しくなる 振り返ると甲府盆地が見下ろせる somaguchi林道に突入 斜度はしばらく一段落

 少し先で橋で道がくるっと折り返し、そのまま連続する杣口林道へと足を進める。木陰の中、少しのつづら折れの後、山腹を巻きながら登りが続く。

木陰区間に入ると路面がまだ濡れている 周囲もすっかり山に 道も狭くなって多少荒れ気味

 高度が上がって空中の雲が近づいて、周囲の気温はやや低くなり、さっきよりは遙かに快適である。おまけに時々渡る沢には冷たい空気が溜まっていて、橋を通る度に冷んやりと気持ちいい。

斜面を巻きながら緩急ある登りが続く つづら折れで高度を上げる 次第に周囲が開けてきた 広葉樹もこの辺からちらほら
鋭い陽射しがでてきた しかし木陰が続くので助かる

 それにしてもこの大弛峠には過去7回来ているが、いつも5月か6月、または秋だった。7月も後半と言っていい今回、道の風景は一変している。木々のボリュームは想像以上に増えていて、密度を増した森、垂れ下がる広葉樹に、過去の訪問で見たことが無い何とも山深い雰囲気が漂っていた。

つづら折れが終わると再び斜面を巻きながら登る この辺りから道路も拡幅区間となる 開けた谷間に来た道が見下ろせる けっこうな斜度でぐいぐい登っている 行く手の展望も開ける

 8:45金峰牧場着。なかなか快調だ。山の中の道が続いた後の開けた牧場と小学校は気持ち的に区切り良く、いつもここで休憩する。しかし一方で、ここから数百mぐらい大弛峠最急というぐらいの坂が続く。このため、いつも休憩後の身体が動かない状態で激坂を登らされているのだ。今回はせっかくなので、そのまま続けてもう少し先まで足を進めることにした。

通称鳥井峠から柳平までほんの少し下る 大弛峠塩山側唯一の下り いつも休憩する金峰山荘 水も汲めるが今日は通過 金峰牧場脇は大弛峠最急勾配が続く

 金峰牧場が終わると、杣口林道はそのまま峠越えの川上牧丘林道に変わる。5月の訪問時に工事で掘り返していた区間も、今回は未舗装ながら通行可能になっていた。

いよいよ川上牧丘林道 当たり前だが今日はゲートが開いている ゲート近くは斜度が緩い 工事中なのかどろどろの道 次第に登りが厳しくなる 前回の担ぎポイント まだ舗装未完了 なかなかしぶとい 谷で折り返してぐいぐい登る カラマツ林に突入

 ゲート周辺で一度緩くなった坂は少し奥からきりきりっと厳しくなるが、その後は再びしばらく勾配が緩くなり、カラマツや広葉樹の高く静かな林に、頭上がすっぽり包まれる。大弛峠中盤のハイライトともいえる楽しい道だ。水場も多いようで、前回はすずさんが美味しい水場を見つけていた。
 今回は、いつもの静かで爽やかな印象に加え、生い茂った夏の森の鬱蒼とした雰囲気が新鮮だ。そんなことを考えていると、突然近くで甲高い声が響き、がさっがさっと森の中へ大鹿が消えていった。

木漏れ日の癒し系林道 静かなカラマツ林の間をしずしず進む 坂も一段落 ツーリング天国みたいな道がしばらく続く 時々周囲の山々が見えるようになる 展望が開けると周囲の山々を見下ろす 谷の奥で折り返して再び登りが始まる この辺は最後まで砂ダートが残っていた

 カラマツの森を抜けると、相変わらず周囲に森が続くがものの、多少頭上が開けてくる。時々その森も切れ、近くの山々が視界に拡がる。
 山腹を巻きながら次第に高度を上げるこの辺りは、去年までダートが残っていた区間だ。砂の中に石ころが頭を出すダート坂道はグリップが悪く、難儀したものだった。完全舗装になった今、淡々とした登りになってしまった道を、あのカーブやあの木の形、ところどころで苦しかったのを思い出しながら登る。

この辺も砂ダートだった ずるずる空転してずいぶん難儀した この辺でも走らないし空気は薄くなるし、なかなか進まなくて嫌になったものだ

 気が付くともうかなり涼しくなっていて、多少陽射しが出てきても怖くも何ともない。標高が上がると木々の緑に青味が濃くなり、5月と違って濃い緑に包まれた金峰山や、ごつごつした岩が独特な瑞牆山が見渡せるようになった。

もはや快適な舗装峠 隔世の感がある 登るにつれ次第に太陽光線が鋭くなってきた でも全然涼しい 道に覆い被さる広葉樹 春とは印象が違う

 何度かのつづら折れの辺りでは、間近に迫った大弛峠が見え始める。稜線の向こう、雲は多いもののそう低い位置には無いようで、前回大雨に悩まされた長野県側も、今回は天気に問題は無さそうだ。

木々に囲まれて似たような登りが延々続く それでも次第に稜線が近づいてくる 単調ではあるが大きな岩が連続 なかなか山深い雰囲気

 峠のだいぶ手前から道路脇に並ぶ、登山客の縦列駐車に驚きつつ、11:00大弛峠着。

最後のつづら折れから峠手前のトラバース区間へ 意外なほど手前から縦列駐車が 峠到着 夏の雲が水平位置に見える

 頭上の近い位置に、高い密度の雲が力強く素速く動いている。到着時に日なただった周囲も、おにぎりを一つ食べ終わる内に太陽が雲に隠れてしまい、寒々としてしまった。また、いつも5月や6月には見えていた川上村への展望が、生い茂った木々で完全に隠れてしまっている。
 これらの問題は、少し下ると一気に解決するだろうと思った。まあそうでなくても峠で特にやることも無い。

登山客やオートバイで賑わう峠周辺 油断するとすぐに寒々しい曇りに すぐにまた晴れるのだろう

 下る前におにぎりを食べていると、やはりなかなか涼しい。この空気の中、少し休んで冷えた身体で下ると、更に冷えてしまうのではないかとも思うぐらいである。昨日まで、いや、昨夜まで猛烈な熱気に悩まされていたのが嘘のようだと思った。

記 2004.7/25

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Last Update 2004.10/4
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