御料峠で道はくるっと折り返す。意外にも峠下りは今までよりも斜度が急である。谷も狭く、地形の表情からして全く違う。急斜面に張り付くトラバースで下り続けると、地図通りに恵岱別ダムを過ぎて竜西に下りきる。
今までより急だっただけにあっと言う間の下りだったが、もうすっかり周囲は田圃。そしてひまわりで有名な北竜町らしくひまわり畑が目立つ。
追い風と微下りに便乗してどんどん下るに連れ、広くなった谷間の平地は田圃で一杯になり、やがて正面に石狩平野が拡がり、平野を挟んで反対側、深川や旭川の山々が見えてきた。車も集落ごとに増え、山間の道だった道道94は、次第に石狩平野の田舎道に変わっていった。
14:00、和着。
国道275との交差点には、「滝川23km 深川16km」という看板が出ていた。ここでちょっとこの先の行く手について考察する。一応今日の終着地は滝川だと決めていたが、今まで深川も滝川もあまり前向きに訪れたことが無く、「どっちでも同じじゃん」ぐらいにしか考えていなかったのである。滝川に向かうとすると、目の前の国道275を23km。石狩川沿いには、滝川の手前までサイクリングロードもある。
しかし、朝から静かな道が多かったせいか、比較的栄えている石狩平野を前向きに走る気持ちは無く、わずか7kmだが距離の近い深川に向かいたくなっていた。それに何より、深川の手前、妹背牛町には公営の温泉施設がある。滝川にも風呂屋ぐらいあるかもしれないが、深川方面だと確実に今日の汗を流せるのだ。
そろそろ強くなっている南風も、滝川へ向かうと強向かい風だ。考えれば考えるほど深川である。
広々とした田圃の中、道道94も直線基調で石狩平野を横断してゆく。途中では朝添牛内まで道沿いだった雨竜川と再会。橋の上からはくねくねした流れや岸の低木が表情豊かな川と、その上流方面、遠くにに幌加内方面の山々が見えた。朝はあの向こう、道北エリアにいたのだ。
14:30、妹背牛温泉ペペル着。何と町役場の隣が温泉施設である。
風呂から上がってすっきりして、もう後は深川へ向かうだけだ。辺りは一面の田圃、風呂に入っている間に多少日差しは弱く、赤みが混じり始めていた。誰もいない町道の1本道をゆっくりのんびりてれてれと流すと、ちょっと離れて平行する函館本線をスーパーホワイトアローやライラックが爆走して通過してゆく。
もともとのんびりゆっくりな上に、7km強、しかももろに向かい風。意外に時間が掛かり、15:25、深川着。
この辺りは日中には普通列車が無くなるので、16:18のスーパーホワイトアローで札幌に向かう。途中の岩見沢で普通列車に乗り換え、札幌着は17:35。
ここ何年か、札幌はほとんど通過するだけだったので、初めて駅の外から眺めるJRタワーには驚愕&唖然。20年前、札幌駅はまだ地平駅、北口も無かったのである。
久しぶりに大通公園でぼうっと休んだり、懐かしのラーメン横町へ行ってみたりした。
大通り公園は夏祭り中。かつては随分賑やかな年もあったと思う。それに較べると一時の賑わいは無いにせよ、やはりどことなく華やいだ雰囲気が楽しい。観光協会のトウキビにジャガイモも懐かしく、噴水脇のベンチでトウキビをぼりぼり食べると、初めて札幌を訪れた20年前を思い出す。
ラーメン横町も「観光客向けだよ」等と言う人もいるが、その通りで、手っ取り早く懐かしい「札幌ラーメン」を食べるのに便利である。
最後は22:00、毎年お馴染み急行「はまなす」。今年もすがたにさん、こあきさんのお見送りを受け、差し入れのサッポロクラシックに枝豆&おつまみでありがたく気分良くなり、千歳到着を待たずに意識が無くなってしまった。
夜中に目が覚めると函館到着直前。いよいよ北海道とお別れの最終局面だ。でも、じたばたしても始まらないので大人しく2度寝。
記 2004.9/5