和気

新宮

上地

滝本

小口

日足

向野

口色川

南平野

夫婦松峠

南大居 

太地
太地YH

紀伊半島Tour03 #3
2003.5/5 太地→新宮

太地→(県道240・国道42)南大居
→(県道235)南平野
→(県道43)篭
→(県道45)小麦
→(県道44)日足
→(国道168・町道)和気
→(県道740)鮒田
→(県道35・国道42)新宮   88km


太地YH 太地の港

 5:20過ぎに目覚めて宿の前に出てみるが、寒さという物を全く感じない。さすがは本州最南端エリアだ。その南国という印象が、昨日の夕食屋で掛かっていた夏川りみとシンクロして、朝から頭の中で止まらない。
 天気はどうやら曇りのようで、ちょっと低めの雲が空を覆っている。こんな感じの雲は、太陽が出るといきなり解消して晴れになることがあるが、又同様にぽつぽつ雨が降り出すことも珍しくない。
 何時に起きても、あまり気合いを入れずに準備すると、いつも大体同じ時間で準備が完了するのが我ながら面白い。例によって、まだ熟睡している同室のライダー達を起こさないように談話室で準備をしていたら、出発直前に早起きのペアレントさんがコーヒーを出してくれた。
 6:45、太地YH発。

太地

 昨日最後に通った県道と国道をほんの少し逆走。河口部の平野に拡がった田圃には、早くも田植えが今日も始まっていた。曇りではあるが、山々に拡がった新緑が何とも瑞々しい。もう数時間後、午後には列車に乗って東京に帰らないといけないことをふと思い出す。

南大居 井鹿

 田圃の間、川に沿った谷間を遡り、井鹿の登り始めまでそろそろかなと思っていると、やはりいつものように登りが始まった。谷間の取付をぐいぐいっと登り、あとは斜面の林の中にちょっとだらっとした登りがしばらく続くと、尾根を巻いたところで急に周囲が開け、近くの山々の展望が拡がった。
 標高180m弱、どう考えても里山なのだが、似たような高さで似たような形の谷から急に立ち上がる山が視界に延々と続くのと、集落というものがおよそ見当たらなく、とても山深い風景だ。いや、実際昨日の樫山林道〜小匠ダムの廃道はとても山深かった。
 しばらく尾根道を進み、間もなく夫婦松峠を通過。
 尾根道は展望の開ける箇所もあり、鬱蒼とした杉林や岩が露出した広葉樹、次々入れ替わる風景の中を、登り基調で北上する。
 正面の大きな山の山腹に、集落らしい民家の集まりが見えてきた。多分あの辺りで県道43に合流するのだろう。

南紀の低山 尾根道 尾根道 何だかトロピカル

 間もなく8:20、南平野に到着。ここからは、県道43で妙法山の中腹、標高300m前後をぐるっと時計回りに回ってゆく。
 地図では、細かく入り組んだ山の中腹に、山の表面に忠実にくねくね入り組んだ細道が集落をつないでいる。地図に描かれたくねくね道と斜面に点在する集落に、これは楽しそうだと期待していた。

南平野で拡がる棚田

 実際には細道の半分ぐらいが拡幅済だったが、南平野、口色川、篭と、丁寧に石垣で作られた狭い段々の土地に、農家や学校、棚田に畑がびっしりと並ぶ見事な風景が拡がっていた。集落の合間は杉林の中のアップダウンとなった。

小坂 地図通りだとこんな道 大栗須 小坂 小坂 お茶を干してる 小坂 口色川 口色川

 篭からは去年通って印象深かった県道45・44に合流。この辺まで来ると、道の拡幅は全く進んでおらず、幅2m前後ぐらいの道が杉林の中にしばらく続く。去年は県道離れしたあまりの道の細さに、「まだこんな道が日本にあったのか」と、衝撃を受けていたものだった。
 時々杉が切れて、周囲が見渡せるようになる。どこまでもどこまでも山が、緑が、延々と続く風景。南紀の山深さを思い知らされる。

坂足 坂足 篭 細い県道44 時々展望が 杉林の中をゆく

 樫原・小麦と道の両側の家はほとんどが廃屋だった。最後の一軒が残っている小麦を過ぎると、周囲が突然開けた。尾根のエッジをくるっと回り込んだ県道は、急にぐいぐいと下り始める。この辺はちゃんと両方向1車線ずつの普通の広さの道になってはいるのだが、あまりに急な下りが続くので、早く降りきってくれないかとちょっと怖くなる。

激下り 早く下ってしまいたい

 しばらく下りでがあるまとまった下りが続き、9:50、滝本着。この滝本は、小口川沿いに遡ってきた道が、何故か川を離れて一度山を登って下り、川だけが山を迂回するという、どこから来るにも山を越えないといけない集落だ。紀伊半島にはこういう隠れ里のような集落がけっこうたくさんあるようだ。昨日の佐本深谷でも、佐本川添いの廃道が一度山に登っていた。
 この山奥の滝本でも、農家の方が総出で田植えの真っ最中のようだった。周囲の新緑が美しい。

滝本が見えてきた 滝本

 滝本の外れで道は再び登りになる。この登りが後少しと思っているとけっこう長い。谷底の川はいつか杉林の中に消え、しばらく広葉樹林の中の登りが続いた。道が下り出すと、再び杉林の中の急下りが始まる。向野、土手ノ本と小さな集落を過ぎ、再び小口川に降りる最後の区間では落下してゆくような急な下りだった。が、それが終わると、渓谷の穏やかな細道が始まった。
 去年川に落ちないかと心配になった場所、猿がキーキー河原にたむろしていた場所、信じがたいほど透明な流れ、みんな去年のままである。
 天気は急に晴れだしてきていた。晴れ出すと、今までの山深いという印象よりも、鮮やかな新緑が目に飛び込んでくる。狭い渓谷だった県道沿いに小さな集落が現れ、間もなく小口到着。

岩山をゆく県道44 登りが続く 急降下〜!! 小口川の渓流に沿って穏やかな下りが続く 小口が近づき晴れてきた

 小口からは拡幅済の道になる。幅の広くなった小口川に沿ってしばらく下ると、空はますます晴れだし、気温が明らかに上がってきたのがわかった。
 青々と田圃が美しい日足の平野が見えてきた。そして正面には、青空をバックに巨大な熊野川岸の山々。
 11:10、日足着。橋を渡って、熊野川の三重県側岸を行く細道、県道740を行く。何とこの熊野川、ここから約20km、河口の新宮、国道42の新熊野大橋まで橋が無い。
 去年通った熊野川大橋を渡りきり、下ったところでくるっと橋のたもとを回り込むと、高くそびえる子ノ泊山をバックに、新緑の集落を抜ける田舎道が始まっていた。

日足 和気 川の向こうは国道168 熊野川

 県道740は、昨日の日置川沿いの県道38・36によく似た景色の道である。最初は左側に立ち上がった山を見上げる和気の集落、農村の中の道。その後は少しのアップダウンとともに、広葉樹林・杉、左手の岩肌、時々小さな集落に、周囲が開けて熊野川の谷間、という風景が延々と続く。
 広葉樹林・杉林は、程良く鬱蒼としていて程良い木漏れ陽もあり、緑のトンネルを抜けるようだ。左手の岩肌は細かく割れた堆積岩の断面が荒々しく露出していたり、時々苔生した岩だったりして、こちらもなかなか変化に富んでいる。
 ふと時々木々が切れると、熊野川の谷が見渡せる。エメラルドグリーンというか、水色というか、川の色がちょっと絵の具のような青さで、両川岸から急に立ち上がる巨大な岩山に挟まれて、とても大きな谷を作っている。大きな山が急に立ち上がっているのと、岸から稜線まで一気に駆け上がる新緑が、ちょっと日本離れしたスケールの大きい山奥のような風景になっていて、ちょっと驚きである。
 時々小さな集落があったり、わずかなアップダウン、だいぶ下った上地の集落の広がり、新宮まで20km強、全く飽きることがない、素晴らしい道である。

杉林の中 杉林から新緑へ 熊野川でニューサイ写真 新緑のトンネル 細い静かな道が続く 熊野川の雄大な風景 上地で周囲が開ける 津呂地 和田 瀬原 桧杖 亀島辺り

 山が低くなり、蛇行する熊野川の谷通りに道が大きなカーブを描き、亀島のアップダウンを過ぎて、右岸の新宮、左岸の鵜殿の賑わいが見えてきた。熊野大橋を渡り、12:30、新宮着。さすがに海岸部は夏のように暑い。

亀島 新宮が見えてきた 夏のように暑い新宮駅 激混みの自由席 次の熊野市で奇跡的に座れた

 13:26、満員の南紀6号で名古屋へ向かう。車窓の熊野市や尾鷲、紀伊長島辺りの海岸には、紺色の海に猛々しく巨大な岩山が続いた。雲一つ無い青空、照りつける太陽光線のせいもあり、今すぐ列車を降りたくなるぐらい迫力がある風景だった。

記 2003.5/9

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Last Update 2003.5/16
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