紀伊半島Tour03 #2-1
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川湯温泉→(町道)松葉 |
5:00に起床。天気は薄曇りである。同室のライダー達を起こさないように、休憩コーナーで荷造りと朝食にする。
6:20、川湯温泉河鹿荘YH発。
旅館街の外れから入ったトンネルを抜けたところで、国道311に合流する。合流した国道311は登りの途中だったが、すぐに登りは一段落し、四村川に沿った谷底の道になった。
道路はかなり広いが、朝だからかまだ交通量は少なく、のんびりと走ることができる。
四村川の谷間は、昨日の熊野川に較べるとはるかに狭い。その狭い谷間に、四村川と拡幅済の国道311だけが通っている。しばらく進んだ皆地では、国道から下る集落の中へ、旧道が分岐していた。これ幸いと、まあ当然のようにそちらへ足を進める。狭く静かな旧道は集落の中を進み、小学校の脇をぐいぐい登り、集落の外れから森の中へ入ってゆく。今までよりも四村川に近い低い位置を通る旧道の中心部には、砂利や枝やらが溜まっている。が、時々山仕事らしき軽自動車とすれ違うので、廃道というわけでもなさそうだ。
一度旧道が終わってから、武住トンネルの脇から再び旧道に入ると、急に道がぐいぐい登りだした。高度を上げた道からは、複雑な曲線を描く四村川の渓谷と、その谷底から急に立ち上がる周囲の山々が見下ろせた。凄くダイナミックな地形だ。かつてはこれが国道の風景だったのだ、と思った。
小広トンネルの手前から最後の旧道に入る。途中で熊野古道と合流し、「おお、これが有名な熊野古道か」と思う。が、合流区間はわずか数10m程度だったようで、再び山の中に登ってゆく細道と、その脇に「熊野古道」と書かれた看板が立っていた。ちょっと残念な気分。
7:55、小広峠着。ここで今まで通ってきた国道311とはお別れだ。そのまま「和田方面」という看板の方向に足を進める。
ぐいぐいっと急な登りが続いたが、間もなくほとんど平坦な山中の水平道路になった。気が付くとけっこう小広峠から登っていて、峠方面や中辺路町の谷の広がりが開けた視界の中に眺められるようになった。
最初は舗装だった路面はやがてダートになり、また、空中の水平道路のようだった斜度はいつの間にか再び 結構な激坂になった。行く手の見上げる山の上の方にガードレールが眺められるのだが、それがかなり上の方に見える。
尾根道は次第に向きを変えているようで、中辺路の谷が遠ざかり、高度が上がったためか、空の中に紀伊半島の山々の稜線が眺められるようになっていた。薄曇りの空の中、青い山々のシルエットは何とも山深さを感じさせる。
尾根を巻いたところで、林道はおもむろに下りだした。
ガードレールも何もない激下りの道の外側は、ほぼ垂直に見える急斜面で、急な下りであることもあり、早く下りきって欲しい、という気持ちになる。天気は急に晴れだしていて、青空と新緑に溢れた山々の景色は本当に素晴らしい。谷から急斜面で立ち上がる山々は、勢いのいい新緑の広葉樹と杉に覆い尽くされているが、所々、谷川や去年通った大塔林道らしき道が、谷底の森の間にちらちら見え隠れしている。
急な下りは長い間続き、それでもしばらくは周囲の稜線を見下ろしていたが、間もなく視界は周囲の山腹と谷底だけになった。
谷底に下りきって道がダートから舗装になって、怖いぐらいの激下りは一応一段落はした。しかし、杉林・広葉樹林・点在する小集落の中を抜け、相変わらず一体どこまで下るのか心配になるぐらい、長い間谷底の下りは続いた。
最後に広めの谷間に放り出されるようにして、去年通ってさっき見下ろした大塔林道から続く県道219と、苔口で合流。
小さな棚田がびっしり詰まった田圃には、昨日もそうだったが農家の方が田植えの作業中である。この辺は斜面の斜度が比較的緩いためか、まとまった集落と田圃が固まっている。下り始めた辺りから、空は急に晴れだしてきていて、青空に緑の山、緑の農村が、何ともこの季節らしいまぶしい風景になっている。
10:00、富里着。去年通った国道371を少し経由して、上野から再び県道219が分岐。県道番号は同じだが、さっきまでの静かな細道とは大違いで、大部分の区間でゴージャスに拡幅済で、すこしがっかり。地図を見ている段階では、峠部分の旧道「水呑隧道」にかなり期待していたのだが、旧道を登っている段階で地元の人が、「うーん、前は板でふさがれてたねえ」とのこと。あと5分ぐらいで着くはずで、確認しようと思ってそれでも一度は登り始めたが、一度閉鎖されたらもう通れないに違いない。気づいてすぐに引き返し、大人しく「新」水呑隧道に向かった。
それでも、水呑隧道を抜けた下り区間では、急斜面に張り付く細道がまだ残っていた。この区間も拡幅工事中ではあったが、切り立った岩に道路を取り付ける難工事で、まだしばらくは付け替えは無いだろう。
鮎川では「田辺17km」の看板を眺めながら、今度は東へ向かう県道221に入る。県道221でも、やはり峠部分の旧深谷トンネルが「通行不可能」との看板が出ていた。こちらもトンネルを抜けた向こうの日置川側はけっこう旧道が残っていたのではあるが。
狭い谷から大きく深い日置川の谷に放り出されるようにして、11:30、小谷着。ここから日置川に沿った県道38を進む。合流点で県道38は細い橋で日置川を渡るが、そこから先は例によって川岸の切り立った斜面に張り付く細道が続く。
山側は切り立った岩がむき出しの場所が多く、堆積岩のぼろぼろの層が鋭く露出している。路上への落石も数多く放置されている。頭上は鬱蒼とした薄暗い杉林、新緑と木漏れ陽の広葉樹林が覆い被さったり、視界が開けて日置川を見渡す箇所、その間に断続する小集落。素晴らしい景色がころころ入れ替わり、おまけに交通量は皆無。走っていてとても楽しい道だ。
県道38はいつの間にか県道36と合流し、相変わらず川岸の森の中の楽しい道がしばらく続き、12:30、合口着。
記 2003.5/8
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Last Update 2003.5/16