KYOCERA SlimT
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KYOCERA SlimT |
画面サイズ | 24mm×36mm |
レンズ | カール・ツァイス テッサーT* 35mm 1:3.5 |
種類 | 広角 |
構成枚数 | 3群4枚 |
対角線画角 | 63° |
最小絞り | 約13 |
フィルター径 | 無し |
フード | 無し |
ファインダー | 実像式ファインダー |
焦点調節 |
赤外線アクティブ式マルチオートフォーカス フォーカスロック機構付 |
撮影距離 | 0.35m〜∞ |
測光方式 | 2分割外部測光 |
測光素子 | 2分割SPD |
測光範囲 | EV3.5〜EV17 |
露出方式 |
プログラムAE 逆光自動補正・日中自動シンクロ機能付 |
シャッター形式 | プログラム電子レンズシャッター |
シャッター速度 | 1/700〜1秒 自動可変 |
フィルム感度 | ISO50〜3200 DX方式自動セット DX以外はISO100 |
露出補正 | 不可 |
内蔵フラッシュ |
フラッシュマチック式 充電時間約3.5秒(常温・新品電池使用) 撮影距離 0.35m〜3m(ISO100) |
セルフタイマー | 電子式 10秒 動作中LED点滅 |
フィルム装填 | 自動空送り付きオートローディング |
フィルム巻き上げ | 自動巻上 |
フィルム巻き戻し |
自動 オートリターン・オートストップ機構 途中巻き戻し可能 |
デート機構 | 液晶表示式クオーツ時計内蔵 |
多重露出 | 不可 |
電源 | 3Vリチウム電池(CR123)1個 |
大きさ | w116.5mm h63.5mm d39mm |
重量(電源別) | 180g |
発売日 | 1992年4月 |
定価 | \38,000 |
参考リンク | penguin-19's COMPACT CAMERA |
T90とFD大三元トリオに機能上・性能上の問題は無く、しばらく私のカメラは固定メンバーでした。
ところで、サイクリングに一眼レフを持っていく時には、耐振動・衝撃の観点からフロントバッグにボディとレンズを分けて持って行きます。登山用として以前から身体に取り付けるW逆たすき掛け状態のストラップがあるようですが、マウントでレンズのモーメントをすべて受ける形になるので、個人的には安心できません。レンズ側マウントの根本だけ指先でつまんで振り回してみると、いかに力が必要かよくわかります。少なくとも小型レンズ向けのアクセサリーでしょう。
FD大三元トリオはフロントバッグに納まりはしますが、それでも写真を撮るときにはいちいちフロントバッグを開け、カメラにレンズを取り付ける必要があります。これだと意外にこれに時間が掛かります。ぱっと取り出してぱっと撮ってぱっと仕舞うわけには行きません。
でも、今その時、見ているままの写真が撮りたい。それで、そういうときは作為を入れずに見ているままが撮れればいい。
ちょうどその少し前、Konica BIGmini BM101という、35mm3.5レンズを付けた沈胴式コンパクト機が大ヒットしました。シンプルで高性能な単焦点レンズを付け、ピント・巻き上げなどを極力電動化したこのカメラは、その手軽さと写りで大いに注目を浴び、各社もこれに追従しました。
こういう思い切りが良いカメラが意外に売れたのには、2大メーカーの戦争で果てしなく大きく果てしなく大袈裟になっていった一眼レフに、一般ユーザーもそろそろ嫌気が差してきていたという事情があったのではないでしょうか。
とにかくサイクリング時に素早くバッグから取り出して素早く撮れるカメラとして、当時の単焦点コンパクト機は打ってつけでした。
というわけで1995年の暮れ、Konica BIGmini BM101の後継改良機BM301を見るだけのつもりでふらっと寄った新宿キムラヤでは、ところが在庫あと2台というSlimTをかなり熱烈に勧められたのです。
レンズはあのCarl Zeiss、T*Tesser3.5/35付で、なな何とたった¥2万。店員さん自作のアルバムにはCONTAX T2、SlimTの鮮やかなプリントが一杯。それがもう、ほんとに鮮やかで唸るしかない。Carl Zeiss T*レンズを付けた京セラの激安コンパクトの話を噂に聞いちゃいましたが、噂通りの凄いレンズなのでした。まさかこれほどとは。
そのSlimTが在庫あと2台。店員さんの決め台詞は、「これ、あなたを待っていたんですよ、きっと」。言うねえ。で、例によって釣られる私も私で、もともと38mmのT2より35mmのSlimTの方が興味があったし、既にSlimT後継として発売されていたT Ploofは、防水と上部スコープ以外SlimTと変わらなさそう。
どっちみちSlimTの在庫は世の中から無くなるだろうし、その場でこいつに決定してしまいました。
Carl Zeiss TesserT*3.5/35。3群4枚の小さなこのレンズ、T*の名に恥じず、発色がとにかくくっきり鮮やかで、その色合いには独特の深みがあります。伸ばしてもすばらしくシャープ、晴れた日の順光ロングショットではまず外しません。T90@15万+FD20-35/3.5L@20万で撮ったのと同じ風景を、サブカメラのSlimT@2万でもう一度撮っておきたくなるほど印象的な描写なのです。
とはいえ2分割マルチ測光とAFは外れ気味の場合も多く、特にAFの中抜けが多発。電源OFF毎にストロボ発光モードがリセットされてしまう仕様は致命的だし、ボディの構造からか埃も入りやすく、あまり使い勝手が良いとは言えないのでした。京セラはSlimT以前にもT ScopeというTesserT*2.8/35の付いたコンパクト機を作っています。その京セラがこんなに使いにくいカメラを作ったのは、きっとT・Gシリーズ、ヤシコン等へのイントロダクションのつもりだったのかも。
それでもT*Tesser3.5/35は鮮やかで印象的な描写がとにかく素晴らしく、未だに時々これで撮りたいと思わせるような実力を持っています。
持ち出したくはなるのですが、自転車カメラがGR1になってから、しばらく使わないうちにレリーズボタンが接触不良気味に。AF測距窓、受光窓にももはや埃がいっぱい、最近はレリーズボタンがますます不調です。京セラがカメラから撤退してしまったので、そのうち自分で清掃・接点チェックでもしようかなと思っています。
記 2006/6/12