RICOH GR1
GR LENS f=28mm 1:2.8

塗装剥げ剥げ いろいろ行ったもんね

GR1


 SlimTの画質に全く不満はありませんでしたが、自転車に乗って撮っていると、35mm画角が物足りなくなってきました。どうしても28mmぐらいの画角がいい。またこの頃、SlimTのAF測距窓に埃が溜まったり、レリーズボタン接触不良が多発するようになり、より信頼性の高い28mmコンパクト機を考えるようになりました。

 28mm付近のレンズを付けたコンパクト機には、28mmのNikon MINI、FUJI TIARA、30mmのRICOH R1sなどがありました。
 しかし、この中で一等図抜けていたのがRICOH GR1。価格が他機種比2倍から3倍以上なので優れているのは当たり前ですが、何と言ってもLマウント化されて一気に売り切れたウワサのGRレンズ。それに絞り優先や露出補正、ストロボスライドスイッチ、押しやすそうなメインスイッチなど、見れば見るほど使い勝手も良さそう。

 というわけで、安い並行輸入や中古などを探して仲間内で騒いでいたところ、2001年のある日、デジカメしか使わなくなった自転車仲間のKさんが下さることになりました。色は黒。96年12月購入の最初期ロットとのこと。
 気になる沈胴GR28mmレンズは、まず前玉の凹レンズが目を引きます。裏蓋を開けると、後玉は金魚鉢みたいで更にびっくり。画質は個性派で、発色は階調豊かでかなりこってり。4隅まで流れないシャープな印象のレンズですが、どっちかと言えばコントラスト重視気味な気もします。周辺光量減はやや大きく、むしろそれが味になるタイプ。ディストーションはほんのちょっと糸巻きですが、気にすれば認められるという程度。

 太陽光線、空気感や立体感の描写に優れ、どういうわけか景色が浮き上がって印象的な写真が撮れることが多い不思議なカメラ。中抜けしやすいAFが足を引っ張るにも係わらず、SlimT以上に「これで撮りたい」という気にさせます。
 レリーズボタンのレリーズ直前のクリックはちょっと荒目。コンパクト機自体軽くて意外に手ぶれしやすいので、しっかり構える必要はあります。

 高性能レンズ搭載の一方、パトローネをグリップに収納して他を薄くした工夫を始め、LEDパーフォレーション検出でスプロケットを追放したフィルム送り、未だに発光機構がよくわからない日付写し込みなど、徹底して小型化・薄型化が押し進められ、GR1の大きさは一昔前の110カメラを遙かに下回ります。
 この大きさでこの高画質が得られるということは非常に素晴らしいことだと思います。SlimTでも少し感じていた私のシステム一眼レフへの疑問は、GR1を使ってみて確信に変わりました。たった24mm×36mmの画面に映像を記録するのに、何故あんなに大袈裟なカメラが必要だったんだろう、という。

 特に同じ景色を撮った場合、T90+20-35/3.5Lの28mm相当とGR1ではほぼ同じ画角の写真になります。まあ描写の方向はだいぶ違いますが、時々T90の大きさが悲しくなってしまう程、GR1の写りは堂々と素晴らしいのでした。

 2005年まで、GR1は事実上サイクリング中のメインカメラとして大いに活躍しました。自転車に乗っている間ずっとフロントバッグ脇のポケットに入れておき、撮影時はハンドストラップを腕に掛けてGR1を取り出し、そのままスイッチON。走行中でも速度を落として簡単に撮影でき、撮影後すぐに電源OFF。ポケットに戻す間に沈胴レンズの格納は完了していました。

 この使い方だと、比較的揺れやすいポケットの中で、走行中ずっと自転車の振動をもろに受けることになります。カメラにとってかなり悪条件下と思える使用で4年間、マットブラックの塗装がはげ、マグネシウムの地金があちこちに現れるほど使い込みました。ところが、この間修理はわずか2回。落下が直接の原因と思われるシャッター不調と、GR1使いの間では有名な巻き上げトラブルでした。普通一番心配なはずの超精密光学系はびくともしていません。恐らく小型軽量なのでカメラ内のモーメントも少なく、負担の掛かりにくメカになっているのでしょう。
 直近の修理は2005年。私のGR1は発売直後の最初期ロットのようですが、この時期のGR1は一番頑丈に作られているとのことでした。もう少し後のロットでは、あまり問題ない部分が早くもどんどん合理化されているらしく、ちょっと得した気分になりました。

画面サイズ 24mm×36mm
レンズ GR LENS f=28mm 1:2.8
種類 広角
構成枚数 4群7枚
対角線画角 75°
最小絞り 22
フィルター径 無し
フード 無し
ファインダー 採光式逆ガリレオ式 低照度照明付
焦点調節 7ゾーン測距パッシブ式マルチオートフォーカス
邸輝度時 AF補助光自動照射
撮影距離 0.35m〜∞
測光方式 2分割平均測光 中央部重点測光
測光素子 2分割SPD
測光範囲 EV2〜EV17
露出方式 絞り優先AE プログラムAE
シャッター形式 電子制御レンズシャッター
シャッター速度 1/500〜2秒・T 自動可変
フィルム感度 ISO25〜3200 DX方式自動セット DX以外はISO100
露出補正 ±2段 1/2ステップ
内蔵フラッシュ GN7 フラッシュマチック式
充電時間約5秒(常温・新品電池使用)
低輝度自動発光 近接ソフト発光
セルフタイマー 電子式 10秒
フィルム装填 プリワインディング式オートローディング
フィルム巻き上げ 自動巻上
フィルム巻き戻し 自動 オートリターン・オートストップ機構 途中巻き戻し可能
デート機構 GR1DATEのみ
多重露出 不可
電源 3Vリチウム電池(CR2)1個
大きさ w117mm h61mm d21.5mm(グリップ部34mm)
重量(電源別) 178g (GR1DATEは180g)
発売日 96年10月
定価 \90,000 (GR1DATEは\100,000)
参考リンク リコーカメラ全機種リスト
GRスペシャルサイト

 AFとAE、小型軽量に見たまま画角の高性能28mmでとにかく撮りやすいGR1。最初はサイクリング中の写真は1日で36枚撮り3本から4本だったのが、5本6本と次第に増え、2005年後半には1日7本になりました。T90+FD大三元のサブとして使い始めたはずが、いつの間にかこっちで撮ることの方が多くなってしまったのです。

 超小型で高性能のGRレンズ、空気のように無駄無く必要十分のスペック、4年間の自転車積載でびくともしない耐久性、そして高級コンパクト機と呼ばれるジャンル中突出したコストパフォーマンス。
 つべこべ言わずとにかく撮れ!というメッセージが籠っているようなこのカメラ、私には1980年のあのサンキュッパことXR500+XR RIKENON 50/2の影がちらちら見えて仕方がありません。

 このXR500、絞り込んだスペックの超低価格ボディながら、巻き上げトルクは実に軽くスムーズでした。付属のXR RIKENON 50/2は\9000という超低価格にも係わらず、某レンズメーカーを潰したという程評価の厳しいあのカメラ毎日で、「ズミクロンMに匹敵する高性能」と破格の評価が付いた超高画質。現在、このXR50/2は中古市場で知る人ぞ知るレンズ。Kマウントユーザーなら見付け次第即買いでしょう。
 一眼レフ全体がシステム化、合体ロボ化、巨大&肥大化しつつあった当時、XR500のカタログ表紙には「実質の一眼」。当時中学生の私には、このカメラの突出したコストパフォーマンスにセントルイスのコミカルなCMは理解不能の領域。単純に胡散臭くしか思っていませんでした。

 でも今、リコーというメーカーは、流行とは別なところでカメラの本質を押さえた低価格な製品を開発できる力があるように思います。よほど見識の高い方がカメラ開発に携わっていらっしゃるのではないでしょうか。

夢のGR白黒コンビ

 そんなわけで使えば使うほど自分の身体の一部みたいに気に入ったGR1。バックアップにもう1台と思っているうち、2005年、駒込で偶然良品格安の白を発見。
 使用1台予備1台、夢の白黒コンビを構築したところで、9月には満を持してGR DIGITALが発表になりました。人生うまくいかないものです。

記 2006/6/28

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Last Update 2006/10/22
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