分割泥除け #2
|
|
1号車の嵌合部。 |
私のランドナーの泥除けは、最初のラ・スコルサは一体泥除けでしたが、その次の片倉シルクは分割泥除け。よくメーカー製ランドナーに付いていた本所の既製品でした。
しばらくシルクだけに乗っていて、こちらの方式に気持ちが慣れてしまったせいか、初代ケルビムでも迷わず本所の既製分割型を採用しました。
ただ、シルクに付いていた泥除けと違い、この泥除けには分割部にかなり大きなカバーが付いていました。何でこんなに仰々しくなってしまうのか。あまりにごついカバーがちょっと不満だったので、カバーを外してしまいました。
ところが、カバーを外して取り付けた泥除けは、ボルト固定孔周りに亀裂が進行するというトラブルに何度も見舞われました。ショックだったのは、薄い泥除けそのもののみならず、分割部をネジ留めする舌のようなアルミ製の金物にも亀裂が発生したことです。
割れてしまった既製分割泥除けを本所の丸形に交換する時、分割部の切断・孔開け・補強を自分で行う必要がありした。そこで、今度はよくありがちな菱形のアルミ板で孔の周囲を補強、接着も念入りに。単体売りの本所のアルミ金物を使ってみたり、しばらく金物と泥除けの固定方法を色々試してみました。
それでも、泥除けの亀裂は再発し、またもや止めどなく拡がるのでした。
結局、アルミだけでは必ず割れる、という結論に落ち着きました。
材料の特性として、アルミには弾性変形域がありません。アルミの棒を曲げるとほとんどしならずにどこかが曲がったりすることを考えると、感覚的にわかると思います。また、塑性変形からすぐに破断してしまうため、応力集中には非常に弱く、一度割れると悪循環でどんどん亀裂が進行するのです。
前述の本所既製分割泥除けにごっつい補強カバーが付いている理由に、ここでようやく気が付きました。あれは接合部の応力を分散させるためのものだったのです。そういえばママチャリ等の泥除けには、よく見ると必ず鉄製の裏打ち金物が付いています。アルミの割れを防ぐためのノウハウなのでしょう。
しかし、とはいえごつい。あれじゃごつすぎる。
いろいろ探していると、GAMIさんから「アルプスの金物がいいよ」とアドバイスを頂きました。
この金物は細長い厚めの鉄板がほんの少し(泥除けの曲率に合うぐらい)湾曲していて、ボルト用の孔が3つ開いている、という至ってシンプルなものです。この孔のボルト固定と、泥除け断面の耳のリブ部分に差し込んだスポークの嵌合を併用する、というものです。
普通の本所製の分割金物は厚めのアルミ製で、このアルミ製と言うところに「亀裂が発生する」根本的な原因があるのですが、アルプスの金物は鉄製なのです。サイズももう少し厚めで大きめ。今時、分割泥除けというニッチな需要にばっちり合致するそんな品物を、アルプスは何とオリジナル商品として店に常備していてくれているのでした。これを簡単に言うと、アルプス偉い、ということになります。
左 アルプス分割金物 |
一方、スポークによる嵌合はかなり有効です。手を抜いて作ったスポーク無しの接合部は、作ってすぐに出かけた2000年5月に中津川林道でボルト孔周りが一気に割れてしまったのに、スポーク嵌合を導入してから割れは一切発生していません。せん断破断しにくい鋼(SUS)製スポークがアルミ泥除けと広い面積で接触するため、接合金物の負担が大幅に減るのでしょう。基本的に分割部はこのスポーク嵌合で固定されていて、ボルトはずれを防ぐという役割分担と思われます。
また、近所のホームセンターでかなり画期的な品物を発見しました。塩ビ波板用の鉄製ワッシャです。これをガードのボルト孔周りに接着することで、ワッシャがガードの補強材として機能し、応力を集中させずに、広い面積に分散させることになるわけです。この泥除け分割派にとって重要な役割を果たす夢の金物が、20枚でたった\60。
こういう経緯を経て、泥除け分割部補強として、以下の対策を施しています。
部位 |
補強策 |
ネジ孔 |
鉄製のプレートを接着固定し、補強する。 |
接合部金物 |
1.アルプス鉄製金物を使用。 2.補強として泥除け両脇のビードにスポークを挿入する。 |
前述のように、上記の方法でもう3年以上、分割固定部には何のトラブルも起きていません。分割泥除けのひび割れ問題は完全に解決したと言えます。
2号車泥除け分割時。 |
2号車泥除け取付け中。 |
記 2003.12/29
#1へ 泥除け日曜大工#1へ 1号車Specへ 2号車Specへ 自転車へ Topへ
Last Update 2006.1/31