北海道Tour25秋#13-2
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開陽→養老牛
(以上#13-1)
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養老牛を出ると、空は一気に霞み始めた。雲も一気に増えたものの、空は意外と明るく、相変わらず時々青空すら見えていた。しかしこれまでにも増して更に、というより俄然という程が適切な位、乱気流が強まってしまった。
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行く手の2〜300mぐらい前方に、霧のように濃淡あるガス状の気流が道を横切るのが見えたりする。その気流は、ジェット気流であるかのように高速で行く手を横切っているのだ。うひょ〜とか言いながら、それでもいや霧だよと思いながらやや覚悟して進むと、それはやはり突風に乗った水滴なのだった。その中では身体が一気に水滴に包まれ、腕の毛に細かい水滴が付いた。まだ服が濡れるほどじゃない。というより、雨具を着る適切な場所が無い。
何箇所かそういう気流をくぐった後、やっと根釧台地を甘く見ていたと思い始めた。甘く見ているつもりは全く無かったのだが、ここ何年か天気予報に用心して用心しすぎた気になったことがあった。その用心を後悔していたかもしれないように思う。そして今、根釧台地相手に用心してしすぎることは決して無かったのだと思った。
路上の乱気流は時々、単に直接的な追い風に変わった。そういうときは、ペダルを停めたままで一気に27km/hぐらいまで速度が上がるのだった。快調というより、段々怖ろしさを感じ始めていた。しかしもう引き返せない。このまま進むしかない。
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そんな感じだったので、体感的には意外とすぐに13:10、萩野着。
この期に及んで今日萩野で経由するのを国道243にしようか、やはりいつもの農道にしようか決める必要がある。少し迷ったものの、いつもの熊が出てきそうな農道へ脚を向けた。こちらの方が細道で危険ではあっても、丘を直登する国道の方が風が強そうに思えたのと、突風が吹いたときに車が通過したら危険がアブナイと思ったのだ。
幸い、農道で熊は出なかった。しかし、途中防風林が切れると、そこには嵐と言っていいもの凄い風が吹き荒れていた。カラマツの枝がけっこう頻繁に、しかもかなり大きな奴が空中をびゅんびゅん飛んできて、前方の路上に落ちて跳ねている。これは危険だ。直撃されたらたまらない。
つくづく、今日は判断ミスだったと思った。ふと後ろを見ると、陽差しがガスに反射し、かなりくっきり輝くような虹が出ている。それがまたWレインボウなのだ。昔若い頃にレンタルで借りた、ヒノテルの作品を思い出した。よく聴いたなあ。いずれCDとかで買わないといけないね。何しろ今のところは、この困難をやり過ごさないといけない。
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しかし国道243に合流すると、根釧台地から摩周の山裾に移ったためなのか、当然であるかのように乱気流はますます強まってしまった。防風林のカラマツの中には、路上側に傾いて倒れかかっているものもあった。
道端の防風林が切れると、さっきみたいなジェット気流がそこをめがけて通っているせいか、更に強く速くて見惚れるほどだ。そしてそういう所では自転車が風に押され、脚を着いたはいいがガイドワイヤーに叩き付けられたりもした。後で見たら上腕に痣ができていて、指の関節にコブができてしまった。11月現在、指のコブはまだ治まっていない。幸にも骨は折れなかった。
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弟子屈峠を越えたら何とかなる。かもしれない。と思って峠を越えると、スノーシェッドの出口の向こうはやはりそんなに甘くないようだった。それどころか、車が何台か停まっている。どうやら風をやり過ごしているのだ、と思った。
ここにスノーシェッドがある理由がよくわかった気がする、と思った。翌日、民宿地平線に戻ってから、この仁多のスノーシェッドがいつも強風時の難所であり、冬はこの突風が-20℃で吹き荒れるという話を伺った。
ここでやっと雨具を上下着込むことができ、2〜3分風の隙を伺ってから、意を決して出発。向こうの木立の中では、かなり立派な倒木が路上を塞いでいたのであった。車が停まっていた理由をやっと納得。というより、車すら通行に手間取っている。おれは本当にこんな道を弟子屈まで辿り着けるのか。自転車で。どこかでジェット気流に吹き飛ばされちゃうんじゃないのか。
こんな状態ではとても仁多農免農道を経由するわけにいかない。そのまま久しぶりの国道243へ進んでゆくと、幸いというかその先国道243では風が目立って強まることはなく、無事弟子屈市街へ辿りつくことができた。
路上の枝は多かったし、時々強い風に脚を停めて踏ん張って耐えるような箇所は何カ所かあった。釧網本線沿いの国道331に合流できたときは嬉しかった。そして国道243から分岐して、弟子屈駅前へ向かう落ち枝だらけの陸橋を、もうタク輪できるんだもんねという安心感と共に越えられたときは、本当に安心した。
とはいえ駅前では一瞬風が弱まったので、何となくそのまま通過し、取り急ぎ道の駅に向かうことにした。流石に駅前はそよ風のようだねなどと思っていたら、やはりそんな優しいものではなく、2〜300m進む間に再び風は強まってしまった。
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14:25、這々の体で弟子屈道の駅着。事前に目論んでいた、福住どころじゃなかったと思いながら、庇下に自転車を停めてやっと一息。売店でソフトを食べると、震えが止まらなくなってしまった。身体がかなり冷えているのが自分でも判った。続けてコーヒーを2杯。これで何とか助かった。
15:05、道の駅発。
道道717の美羅尾で、また風が強くなってしまった。途中で自転車が流され始め、脚を何度も停めた。でも、ここまで来ればもう2kmも無いはず。まだ15時台、歩いたって暗くなる前には着ける。
しかし、脚は進めないと着けるものも着けないことも確かだ。国道243に合流できたときは本当に嬉しかった。鱒やへの道には落ち枝一杯のみならず、最後のダートでは倒木が道を塞いでいた。幸い自転車では何とか問題無く通過し、15:35、鱒や着。
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宿に着いた途端、民宿地平線の石川さんから鱒やさんに電話が掛かってきた。私の事を心配して下さったのだ。それにしても、私の行動を読み切っている石川さん、流石の根釧台地マスターである。
部屋に荷物を置き風呂に入れていただいて、改めてあまりに腹が冷たいのが、自分のことながらよく分かった。開陽からストレートに来ただけなのに、北海道Tour史上、過去3本の指に入る修羅場になってしまった1日だった。改めて、根釧台地の神様に「ナメてんじゃねえぞ!調子に乗ってんじゃねえ!」と横面を張り倒された気がした。
お客さんは全部で4人。釣りの方を含め、例によって皆さんのお話が楽しい。昼の修羅場が嘘のように、心安らかで楽しい夜になった。
記 2025/11/9
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