紀伊半島Tour24#3
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9:00、飛鳥で国道309と国道42との交差点をショートカットする林道へ。多少登りがあるものの、国道309もこの先丘の低いところをちょろっと登るので、どうせ登るなら静かな方がいい。
分岐を過ぎると、空気中の湿気は霧雨と呼ぶ方が適切な位に濃くなった。そして林道から移った国道42を2〜300mぐらいクランク経由する辺りから、どう考えても雨だ、と言えるぐらいの雨が降り始めた。
これ以上強くならないでー、と思いながら雨具を省略して八丁坂トンネルへ登り始めるものの、登り始めてすぐ立ち止まって雨具を着込むぐらいに雨はけっこう強くなった。無駄な抵抗だった。
八丁坂トンネルから海岸の新鹿へは、350mの下りということはわかっている。地形図にはくねくねの細道が描かれているし、新鹿終了なら時間はたっぷりある。
それでも雨と雲の中の下りはしんどく、長く感じられた。道の外側に落差の激しい急斜面が落ち込んでいるし、細道がくねくね曲がっているし、所々で路面に苔が生えている。あまり速度を上げず、気を付けて下ってゆくしかないのだ。
100mも下らないうちに雨脚はざーざー降りからしとしと降りぐらいに弱くなってくれた。それに脚を停め停め辺りを見回すと、落ち込む谷底そのものの眺め以外、最近行ってない西伊豆の仁科峠南側、県道52細道区間に酷似した雰囲気の風景だ。何だか意外に懐かしい。
焦って下ったってブレーキシューでホイールが真っ黒になるだけだ。もう雨なんだから新鹿終着とすると、12時の普通列車に間に合えばいい。こういうときこそ落ちついてのんびりすればいい。
そろそろと気を付けて下り続けるうち、霞の向こう、見下ろす谷底に新鹿の拡がりがうっすら現れ始めた。
その見下ろし加減で、改めてここの道がなかなかの急斜面に貼り付いていることがよく理解できる。やはり、できることなら早いこと下りきってしまいたい。
その後もきりきりした下りは続き、やっと谷底の森に降り、あとは広葉樹林の中を一目散に下ってゆく。
農家が現れ断続し始め、集落といえるぐらいになったところで道幅が拡がった。
高速道路の高いコンクリート橋をくぐって昨日眺めた新鹿の町に降りてゆく。
紀勢本線を渡って、昨日の朝通った、いや確かここは砂浜を通った国道311を経由し、新鹿駅方面の看板を捜す。駅まで最後の道は生活道路どころか、単なる住宅と住宅の隙間みたいな細道になった。しかし歩いていた地元のおばさんによると、「この辺はこんな感じの道ばっかりですよ」とのこと。
そして駅前の案内板によると、この道少なくとも一部が熊野古道だったとのこと。
10:05、新鹿着。すぐに再び雨が降ってきた。ひっそり静かな駅前広場の中にぽつんと建つ無人駅の建物で自転車を解体し、12時まで列車を待つことにした。一度東京に帰って、次は5/2の早朝出発のため5/1に奈良県の橿原神宮に前泊する。
記 2024/6/3