北海道Tour23#10
2023/8/18(金)仁宇布→大村-5

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 雲は再び去りつつあり、時々陽が差して辺りはかっと暑くなった。茂尻の集落を抜け、天塩川の上流を眺めつつ於鬼登峠を目指す自分を想像したり、さっき町中でバス営業所を指さして教えて下さった少年に感謝しつつ、輪行作業を進めてゆく。
 作業は15分ちょっとでバッグの緊結を残して無事完了。この間に士別行きバスがやってきた。有り難いことに運転手さんが自転車を拒むようなことは無く、自転車と荷物を積んでも邪魔にならなさそうな座席を落ちついて選び、なるべく小さくなって座席に身体を押し込んで、水をぐいっと飲むともう12:40。バスが動き始めた。

 朝日の谷から士別の盆地へ、陽差しに照りつけられる田園風景が過ぎてゆく。受動的に窓の外を眺めつつ、結局今日も青空輪行になっちゃったな、と思う。
 南朝日で折り返してからバスが出発するまで、流されるように、しかし全く無駄無く一気に輪行に推移した今日の撤退を、やっと思い返すことができていた。それほど一気呵成に物事が進んだのだ。あのまま進んでいたら美瑛まで自走で行けたのかもしれないとも思う。いや、やはりそんなことに悩むより、安全策に舵を切った突端にかなり効率の良く行程が繋がった、ということを有り難がる方が適切だろうな。おやじサイクリングなんだから賢く楽に旅しようぜ、なあ。

 前回この道を通ったのは1989年。士別まで28km。嵐に近い雨の上紋峠を越えた後、下ってきてもまだもの凄く低く暗い雨雲に追われ、時にはバスと追いかけっこするように、士別へ延々と下り続けたことは憶えている。どういう行程のどういう経路だったか、しばらく思い出す必要があるほど憶えていない。でも、この道が退屈でしんどかったことは印象として憶えている。その時とほぼ同じと思われる経路で、今回はバスに乗って道の退屈さを再確認しているのが感慨深い。とにかく、バスは偉い。

 景色が市街に近づき、かなり年季が入ったショッピングセンターを眺め、そういえば30年以上前は士別の方が名寄より栄えていたものだったとか、士別のショッピングセンターを見て「さすが士別」と思ったことなどを思いだした。
 13:10、士別着。バスを降りると盆地の士別は山間の朝日より更に、そして過激に暑い。駅前のロータリーから平屋の駅舎を眺め、4年前の2019年、大雨で名寄から先が運休になった特急サロベツの代行バスが、トイレ休憩で立ち寄ったのが士別駅だったことを思い出す。もちろんトイレ休憩でかなり助かった。
 待合室には当然のように冷房なんか無いものの、直射日光から逃げることができて随分助かる。2019年、雨の中で士別駅に助けてもらい、今日また士別駅に助けてもらえている。

 

 13:56の快速なよろまで46分。自販機で美瑛までの切符を買ったら、次は駅蕎麦だ。待合室には、何と駅蕎麦が営業しているのだ。改めて名寄より大きい町だった1980年代後半の士別を思い出しつつ、ひたすら有り難く天ぷら蕎麦を注文する。これで空腹からも助かった。駅蕎麦屋さんは売店も営業していて、駅蕎麦屋のおじさんは私の蕎麦を作った後お昼休みに入ったようだった。のんびりした駅だ。
 この段階で列車までまだ25分ぐらい。切符売り場の一角には水槽が置いてあって、駅の灯りにやってきたらしいミヤマクワガタを飼っているが、この猛暑でミヤマクワガタは潜ってしまっているようでお会いできなかった。ならばもうホームに出てしまえ。屋根の下でも蝉の声を聞き夏の風に吹かれていることができる。まあただ、吹いているのは日なたのアスファルトで熱くなった空気なのであった。

 時間通りにデクモはやって来た。13:56、士別発。特急サロベツほどの豪快さは無くても、各停なりに塩狩峠で、デクモはきっちり仕事をこなしてゆく。頼りになる奴だ。

 

 14:59、旭川着。富良野線乗り換え時間の間に、例によって駅ラーメンを食べ、母にエンジュのお椀を送っておく。目的意識があってやることが決まってれば、大変効率が良くてきぱきと事が進んでゆく。
 次は富良野線だ。旭川15:33発、16:06美瑛着。美瑛では、駅前で毎回恒例農業祭りの準備中だ。幸い本番は明日なので、今日は全然うるさくなくて助かる。明日は駅に近寄らないようにしよう。

 

 ポテトの丘まではもうタク輪してしまう。16:30、ポテトの丘着。もう10年以上、私にとってここは夏の旅の最後の宿だ。骨折で大分難儀されていそうな宿主さんとお話ししつつ、今年もこういう旅ができるのは本当に有り難いことだと思う。旅先でこういうことを思うことが増えた。私も歳なんだろう。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 明日に向けた自転車組立と風呂が終わるともう17:50過ぎ。次はブランルージュで18時予約の美味しい夕食だ。早朝から山中の倒木や嵐、そして通行止め、撤退と輪行、そして懐かしい美瑛の夕方。いろいろあった1日だった。振り返るのはまだ早いとは思いつつ、道東からここまでの毎日を改めて思い出す。今年もやっとここまで来たという気になる。

 天気予報では明日は晴れそうだ。しかし予定コースの北落合では、10時頃から曇りっぽい。そんな展開は珍しいことじゃない。以前北落合方面の空が余りに暗いので、幾寅で行程を終えたこともあった。そういうときでも、富良野盆地や美瑛は晴れていることが多いという印象がある。明日もそういうパターンになるかもしれない。途中で判断が必要になるだろう。

記 2024/2/3

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Last Update 2024/3/16
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