北海道Tour20#8-3
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10:05、道の駅発。
少し美深へ進んだ吉野から、2019年秋に通った裏道へ向かう。 「函岳」の看板に、2002年に訪問した道北スーパー林道を思い出す。その時の訪問では道北スーパー林道自体は訪問できたものの、函岳には行けなかったのだ。函岳にはコンプレックスがある。
国道から離れるとともに、路上の車は一気に少なくなった。やはり静かな道はいい。
道の駅に立ち寄っている間に雲が一気に去り、青空そのものが増え、残っている雲も白く眩しくなっていた。しかし陽差しが路面に当たり始めると、例によって辺りは急激にかなり暑くなってきた。
一方、美深盆地を囲む山々の中腹から上は、まるっきり雲に隠れている。雨予報で輪行して、宗谷本線で意外に雨が降っていない時の展開通りになっている。とりあえず今日は走ってみて良かった。
班渓から道道49へ。
美深の盆地から仁宇布への谷間に入ると、すぐに日が翳って暑さは大分ましになった。あと15、6kmぐらいあるはずなのにこの影響力、さすがに仁宇布は山間である。そして狭い谷間の底に入ったせいか、中川からずっと悩まされてきた風もかなり弱くなってきた。
仁宇布から美深へはよく下ってくるが、美深から仁宇布へ自走で登るのはかなり久しぶりだ。前回何時だったか思い出そうとして2001年以来であることに気が付き、我ながら驚いた程である。道自体はデマンドバスで毎年通っている。いつも美深から仁宇布へ向かうのは、輪行含みの場合だったのだ。
狭い谷はかなり緩めの斜度で、少しづつ高度を上げてゆく。美深駅から仁宇布まで24kmで標高差300m、美幸線はキハ22が単行か2両編成か何かでえっちらおっちら登っていたのだろう。昭和の気動車にとっては、どのような坂でも厳しかったことと思う。気動車の峠越え、特にDMH17系1エンジン車の場合は、30km/hぐらいまで速度を落とし、車両限界を超えて生い茂る森の木々で車体を擦りつつ、全身を震わせて大体20分以上はかかるのが常だったことを思い出す。
私も他人事の様なことを言っているものの、登り坂なので昭和の気動車に負けず劣らず斜度が緩くても遅い。などと思いつつ、去年秋に下りで2回も通った道を、何だか借金でも返すような気分でのんびり登ってゆく。
高広から再び路上に陽射しが射し始め、例によって途端に気温がかっと暑くなり始めた。仁宇布の盆地は晴れなのかもしれない。
ふと空を見上げると、ところが陽差しとは裏腹に、後ろから真っ黒な雲がこちらに向かって押し寄せつつあった。こいつは来る。
予想通り、というかあまり予想通りになってほしくなかったのに、谷間から仁宇布の盆地に出たところで大粒の雨が降り始めた。ファームイントントに直行しようと思っていたが、とりあえず避難できそうな一番近い場所はトロッコ王国のテントである。
12:05、仁宇布トロッコ王国へ緊急避難。テントの外はざーざー降りのみならず、中にもぼたぼた水滴が垂れている。あっという間に足下に水たまりができ始めた。テント下のテーブルに立てかけた自転車ももはや半濡れだ。それでも雨ざらしよりは有り難いことには変わり無い。大雨は急に降り始めたようで、お客さんもテントに避難していた。このコロナ禍で意外にも、トロッコは平年と変わらない盛況であるようだ。などと考えていると、ばりばりっ!どかーん!と衝撃波のようなもの凄い雷鳴が、すぐ近くで鳴り響いた。
記 2020/12/30
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