北海道Tour20#5
2020/8/10(月)生田原→朱鞠内湖

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路 灰色は既済経路
ニューサイ写真 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
発着地点 パターン1 パターン2
生田原発

JR石北本線

旭川着
7:26

オホーツク

09:44直通
09:36

大雪2

11:50
旭川発

JR函館本線

深川着
直通09:47

オホーツク

10:07
12:00

ライラック22

12:18
深川発
JRバス
幌加内着
10:25

11:35
14:25

15:42
幌加内発
JRバス
朱鞠内着
朱鞠内湖畔着
12:58

12:58直通
13:55
15:59

16:49
組立&自走

 輪行が既に決定していても、列車の出発が7時26分でも、起きるのは4時だ。

 すぐ念のため天気予報を確認しておくが、雨マークも時間別降水量も昨夜と変わってない。ホテルノースキングの今年の部屋は石北本線側の東向き。夜明け空に薄い雲と明るい朝焼けがのがよく見える。こういう希望的な空を夜明けに見たくて旅をしているようなものだ。でも、そんなものに惑わされてはいけない。
 等と思っていると、山の稜線辺りが霞みに隠れ始めた。このまま予報通りの進行だとすると、お昼前に滝上から西興部へ向かう途中で雨に捕まり、そのまま朱鞠内湖までずっと最大4〜5mmの雨に降られ続けることになるのだ。

北海道Tour20#5 2020/8/10(月)生田原→朱鞠内湖 北海道遠軽市生田原 ホテルノースキングにて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 カップ麺を食べながら荷造りしてチェックアウト、ホテルの前で自転車に荷物を積んで、5:15、もう生田原ホテルノースキングを出発。200mぐらいしか離れていない生田原駅へ自転車で向かう。わざわざ自転車に荷物を付けるのは一見面倒だが、結局これが一番楽なのだ。

 駅に着いて「到着〜」などとつぶやいてみる。あまりの近さに我ながら可笑しくなる。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 まだ駅の鍵は閉まっている。始発は6:45の北見行きなので、しばらく待合室が開くことは無いだろう。自転車を1番線ホームへ移し、輪行作業を始めるとする。屋根も何も無い場所なので、今のところはまだ曇りで良かった。それにホテル前で自転車を片付けるより、無人駅の方がより旅っぽい気分になれる。

 
北海道Tour20#5 2020/8/10(月)生田原→朱鞠内湖 北海道遠軽市生田原 生田原駅にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 特急オホーツク発車までまだ2時間以上もあるので、輪行作業はかなりのんびりと進めた。のんびり作業だと、却って体を動かすのがいちいちかったるい。疲れているのかもしれない。今日は休めて良かったかもしれない。
 作業完了でちょうど6時。のんびりやったはずが意外に早くできた。輪行袋、1つにまとめたサイドバッグ、そして肩掛けベルトでショルダーバッグになったフロントバッグを見下ろし、朱鞠内湖までこの荷物を運ぶのか、と改めて思う。
 北側の空には、やや濃い雲が次第に増えていた。一応頭上は晴れていて、薄日が時々はっきりした陽差しに変わったりしていた。外にいると暑い。昨日は1日走れて楽しかった、等と思う。でも今日はもう輪行で決まりなんだもんね。

 6時過ぎに鍵が開いた。待合室に入るとする。町の古い地図、昔の鉱山の詳細イラストが掲示してあって、最初は去年見かけたかどうか、そんなことも気にならない位に見逃していた。缶コーヒーを飲んでホームで2〜3カット撮ってトイレに行って、暇つぶしのネタも尽きそうになってようやく、こういうのも見ておくかという気になって見直してみると、それはかつて生田原にあった「北の王鉱山」という名前の鉱山の記録だった。
 昭和18年に閉山したというその鉱山は、掲示されている写真資料で見る限り、かなりの規模だったようだ。北の王会館等という体育館みたいな集会施設みたいな建物の写真もあった。やや看板建築みたいな気はしないではないものの、いやいやいやアールデコと築地本願寺を足して2で割ったみたいな、当時の東京でもなかなか見かけないのではないか、というほどかなり立派な建物である。驚いた。とともにここで気が付いた。ホテルノースキング、つまり北の王。それは生田原にとって大切な意味を持つ名前だったのだ。

 PENTAX K-1 MarkII HD PENTAX-D FA★50mm1:1.4 SDM AW
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 毎回思うが、遠軽から山間に入りこんで丸瀬布から上川までまるっきり山の中。石北本線という線は、かなりの山間路線である。遠軽・丸瀬布・白滝・上川、駅が廃止されて少なくなっているため、特急オホーツクの実態はもはや各駅停車に近い。空は遠軽まで概ね晴れだったものの、谷間に入って白滝まで曇り、石北トンネルを抜けると雲が低くなって、俄然薄暗くなってきた。

 10:46、旭川で降りずにそのまま深川へ。本線とはいえかなりの山間ローカル線でもある石北本線から、押しも押されぬ120km/h区間高規格軌道の函館本線に移って、旭川まで哀愁のロートル気動車特急だった183系オホーツクは、まるで別人のように快調に走り始めた。場内ポイントを通過後滑るようにどんどん加速、変速してますます加速を続け、旭川市外を後に一気に120km/hまで速度を上げてロングレールを快走してゆく。久々に183系本来の、1990年代初頭に新札幌・苫小牧間でしびれた熱い走りを見た気がする。ごめんね183系、哀愁のロートル気動車とか言って。

 私にとって格好いい183系は北海道の183系気動車であり、電気釜の183系電車ではない。
 183系電車は、あの地上最強に格好良い181系電車を駆逐してしまった宿敵だ。例え183系電車があずさや房総でガタピシ悲鳴を上げながら使い倒され、外板がべこべこ凹んだり内装がくすんだりしてゆく姿に接しても、183系電車全数引退の日まで、やはり私にとって宿敵電気釜なのは変わることが無かった。
 183系気動車は北の求道者だ。求道者なのは183系ではなく特急北斗とJR北海道(車両部門)だったかもしれない。酷寒の気動車という悪条件の下、駆動系チューンアップや鋳鉄ブレーキシュー開発、検査期間短縮という裏技まで投入してまさに限界を追求、第2世代500番台や第3世代550番台の改造後、遂に営業運転130km/hを達成した。そして次の281系で在来線最高表定速度到達後、更に285系で夢の在来線140km/hを達成するはずだった…(この話は毎回長くなってしまうので省略します)。そんな特急北斗激走浪花節の前半が、183系気動車のパートなのだ。
 2020年現在、183系のエンジンは往年のものから換装されている。現在のJR北海道の主力261系と同じエンジンながら、261系がエンジンを1両2台積んでいるところ、183系は1台のため、編成全体としてかつてより出力が下がっているのが忸怩たるところではある。しかし今日、オホーツクの5両編成は、そんな気持ちを吹き飛ばすような走りを見せてくれたのであった。
 熱い感動のひとときは20分で終了し、11:10、深川着。ドアが閉まって特急オホーツクは札幌へ旅立っていった。ああ、札幌まで、いやせめて岩見沢まで乗っていたい。まあしかし、今晩や明日のことも私には大切なのである。私は朱鞠内湖へ向かわなければならない。

 
北海道Tour20#5 2020/8/10(月)生田原→朱鞠内湖 北海道深川市1条 深川駅にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 深川駅前に降り立つのは、確か2004年以来である。駅舎自体は全く変わっていない。駅の中にあった地産関係の売店には記憶が無い。地元キャラっぽいイラストが描かれたポテチを仕入れ、幌加内までのバス行程に備えることにした。

 11:25、深川発。
 幌加内行きバスの乗客は最初から最後まで私1人だけだった。出発して多度志峠を越えるまではなんとか記憶がある。その後居眠りして起きたら辺りは既に霧と雨、まるでどんより雲の中だった。

 国道275幌加内トンネルの手前で再び目が覚めた。私的に旭川方面・幌加内のメインルートはこちらではなく江丹別峠だし、今日ここまでバスで通ってみて多度志側が意外に交通量があることがわかってしまったし、そもそも多度志に出ても旭川方面は遠回りなので、今後幌加内トンネルを自転車で通り抜けるケースはあまり無さそうに思われる。かつて工事中のトンネルを眺めつつ旧道(とはいえばりばりの舗装国道)の峠を越えた者としては、新道区間と旧道の記憶を意識しながら通れて感慨深かった。

 11:35、幌加内着。雨は一旦上がったようだ。一見これなら走れそうに見えるものの、こういう感じの空で、幌加内市街の外で普通に雨が降っていたことは過去何回かある。
 あまり天気に心を向けないようにして、バス乗り場に輪行袋を置き、バス待合所の蕎麦屋「雪月花」へ。ここは幌加内町で一番好きな蕎麦屋である。今回その感を新たにした。ここのように香り高く腰があって切れが良い、三拍子揃った蕎麦はなかなか無い。十割ではなく見識の二八蕎麦、付け物のネギ、新鮮なわさびと完璧だ。天ぷらもカリッとした揚げ方といい薄めの衣といいジューシーな中身といい素晴らしい。濃い方のお汁がもう少しだけ出汁っぽいと私的最高点である。

 12:58、幌加内発。今度のバスは名寄行きだ。乗客は3人。しかし私以外の乗客2名は、政和までに降りてしまった。横目に通過した政和温泉ルオントは、ぱっと見で夏に私が訪れる時の1/3〜1/4ぐらいの人出のように見えた。

 雨煙内から政和にかけて、降ったり止んだりしていた小雨は、添牛内を出て共和辺りから終着の湖畔まで大雨に変わった。

 13:55湖畔着。湖畔と言っても昔の湖畔駅ではなく、本当の朱鞠内湖畔である。こういう所は一見過去の国鉄深名線と現代のジェイアール北海道バス深名線は別のものとして切り離されているようでに見えるものの、実態として大変わかりやすく運用されている。
 とは言え湖畔のバス停からレークハウスしゅまりないまで2〜300mある。大雨の中をびしょ濡れになる覚悟を一旦決めたものの、結論から言えばとある有り難い理由であまり濡れずに済ませることができた。

 去年秋以来のレークハウスしゅまりない、今回は宿泊棟の部屋である。コンクリート打ち放し塗装の外観は何となく70年代後半〜80年代の建築っぽいものの、内装はリニューアルされていて、旅の宿としてのんびりくつろぐのに何の不足も無い。

   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 明日は晴れの朱鞠内湖が拝めるといいな、などと思いながら自転車を輪行袋から出して組み立てる。時間があると思っていると、身体も頭もなかなか動かないのはいつも同じだ。
 出発5日目にして終日輪行の日が2日になってしまった。でも、3日走って1日休憩、意外にこういうペースはいいかもしれない。
 自分は楽をしたいだけなのかもしれない。しかし天気が悪いという大義名分付きで楽をする、毎度のことだが良いアイデアだ。そもそも、生田原からのオホーツク内陸移動日が輪行になってしまう年が多いのは、天気が変わりやすいこの時期に、生田原から仁宇布や朱鞠内まで雨に降られず移動しようとすることに無理があるのかもしれない。

 自転車を組んで居眠りした後、17時に沸いたお風呂に入り、夕食は18時から。食道から眺める朱鞠内湖方面は雨に煙っていて視界が利かない。そういえば、幌加内の少し北に雨煙内などという地名があったな、と思い出させるような雨の夕暮れだ。

 

 食堂でダッチオーブンの鶏肉に酔いしれ、クラシック大瓶を引っ掛け、歯磨きコンタクト外しを終え、良い気分の絶頂だ。さあ!明るい内から寝るぞ!と思って明日の天気をチェックしてみると、天気予報ががらっと変わっていた。
 台風5号が南の海上からやってきて、明日の夕方に台風から熱帯低気圧に変わって道北、特に宗谷地方を直撃するようだ。猿払村では18時から雨だったのが、13時以降雨、15時以降は降水量3mmとか4mmとか。おまけに音威子府村〜浜頓別で11時以降雨である。この分だと、雨だけじゃなくて風も強まるだろう。明日の行程は絶望的だ。

発着地点 パターン1 パターン2
朱鞠内湖畔発
朱鞠内発
JRバス
名寄着
自走&輪行
06:45

07:47
10:16


11:29
名寄発

JR宗谷本線

音威子府着
09:56

宗谷

10:41
14:31

サロベツ1

15:24
音威子府発
宗谷バス
さるふつ公園着
11:20

13:44
16:05

18:15

 せっかく自転車を組み立てたばかりではあるものの、迷うこと無く早々にほぼ全行程の輪行を決めた。とはいえ、ここから朱鞠内のバス乗り場までは自転車に乗る必要があるので、自転車を組み立てたことは無駄にはならない、というのが救いではある。
 乗り継ぎ時間を調べると、朱鞠内6:45→13:44さるふつ公園着、その次は湖畔10:16→18:15さるふつ公園。ここは何が何でも朱鞠内6:45に乗らねば。早朝から輪行はちょっとしんどいものの、気持ちを切り替えねば。

記 2020/11/25

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Last Update 2021/3/7
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